NISSAN 360参加報告1/確かに感じられた日産の勢い

飯塚 昭三

 まずNISSAN 360といイベントがどのようなもので、その参加がどのようなものであったのかについて、RJC会員向けに報告したい。

◆NISSAN 360ってなに?
 NISSAN 360は8月19日から9月15日まで約1か月にわたり、カリフォルニア州で行なわれたイベントである。一口で言うと大試乗会といったものだが、そのイベントの開催趣旨は、今年で創立80周年になる日産の過去、現在、そして未来への意気込みを見てほしいというもの。そのためにEl Toroという元海兵隊の航空基地であった広大な敷地を借り切り、各種コースを設定しての試乗。また仮設ながら冷房の効いた立派な建物の中でのプレゼンテーションが用意されていた。したがって単なる試乗だけでなく、新テクノロジーやブランドの拡大、デザインの方向性からモータースポーツへの取り組みなど、多岐にわたるプレゼンテーションが用意されていた。また、宿泊先のホテルにはEVやレーシングカーも含めた日産の歴史に残る代表的な車両も展示され、日産の歴史を感じ取ることもできるようになっていた。

我々の実際の参加日程は9月6日(金)〜10日の5日間。懇親ディナー&プレゼンはロサンゼルス到着日の夕方から毎晩形を変え3回あり、実際のEl Toroでの試乗は2日間である。参加者は全世界からメディア関係者約900人、我々RJC理事6人はこの900人の中に入れていただいたわけである。その他ディーラー、投資家、各界のエキスパートなども含めると1500人にも及んだという。今回が3回目で、前回は4年前にポルトガルで行なわれたとのこと。

◆参加の実態は?
 私個人は海外渡航が15年以上もなく、このイベントへの参加に際してはパスポートや国際免許証も取得し直した。当然ながら航空券の予約等は旅行会社がやってくれたが、最近のシステムの進歩には少々驚きと戸惑いを感じた。旅行会社からは予約内容が書かれた書類をいただいたが、単にそれを持って成田空港に行き、直接チェックインの手続きをするというもの。スムーズにそれを行なうにはインターネットを通じて搭乗券をプリントアウトしておくとよいとも書かれていたので、それに挑んだが、宿泊先の郵便番号を含むデータ等々、書類をひっくり返して調べながら1時間格闘することになった。それにしても、搭乗券が自宅のプリンターで打ち出せてしまうのだ。要するに搭乗に際してはバーコードを読むシステムであるから、バーコードがそこにプリントされていればよいわけである。結果的にはプリントしてなくても手続きは簡単だったようで、苦労してプリントする必要もなかったが……。
 
私は同じ池袋を経由する植木会員と日暮里で待ち合わせて成田に向かった。このツアーにはもちろん添乗員がいるわけでもなく、旗を持った人が成田に来ているわけでない。ロスまではすべて自己管理のもと向かう。まあ、同行者がいるので不安はないが。ビジネスクラスは2度目だが、20年前はただ前後左右がゆったりしているだけだったが、今回のANAはスタッガード(いれこ)式で、シートは水平近くにまで倒れるので楽だし、「個」が保たれるようになっていた。だが、カップルには不向きだと思った。ロスの空港には日産の関係者が来ており、バスでホテルに移動する。
 到着すると直ぐにホテルへのチェックイン手続きと、NISSAN 360参加のための誓約書を書くなど手続きをする。ホテルはペリカンヒルというリゾート地のホテルで、客室は5〜6室で1棟のコテージ風で、中はやたら広くて一人では持て余す。RJCメンバーの部屋はバラバラで離れている。
 
到着日のディナーは旧い日産車を展示したホテルの庭でのガーデンパーティー風。2日目は庭で軽く杯を交わした後、屋内に入ってテーブルでのコース料理。日産の方々も適宜席の間に入り懇親を深める。私の隣は、たまたまモータースポーツの担当者であった。最後の3日目はバスで10分足らずの海岸。初日の受付でビーチサンダルを渡された理由はこのためだった。ここにも旧車が数台飾られていた。その場で調理した料理が食べられるが、肉片やソーセージが大きくて、小食の私などは直ぐにおなかが一杯になって、多種の料理が食べられない。夕日が太平洋に沈む光景が見られたが、夜になると急に冷え込んできて、薄着の人はつらそうであった。
 
試乗会場El Toroまではホテルからバスで40〜50分。プレゼンは到着して直ぐに、そしてお昼に、さらに試乗後にいろいろテーマを変えて行なわれた。
 ところで、初日の参加受付でスマホのような端末を渡されていた。これには電話機能はないが、このイベントのスケジュールから車両の情報がいろいろ書き込まれている。試乗にはこれを持って臨む。予約するにもこの端末を使うし、試乗するクルマのフロントウインドに張ってあるステッカーにこの端末をかざすと、この車両を認識するとともに、車両情報が表示されるといった具合。これは最後に回収さ、その情報は後に専用サイトで見ることができるようになっている。また、メーカー側も誰がどのクルマに乗ったかが分かる。もっともこの端末をかざさずに試乗してしまったクルマも多かったが。

 試乗コースはいろいろある。パイロンで設定した数分のコースとしてパフォーマンスコース、ハイパフォーマンスコース、アドベンチャーコース、ライトコマーシャルビークルコースほか、市街地に出るコース、また見学だけだが自動運転のプログラムもある。この見学コースへの移動はニューヨークタクシーに採用が決まっているNV-200タクシー仕様で、客席に試乗できる。短時間にたくさんの試乗をするので、1車ずつ丹念に味わって入られなかったが、貴重な経験をさせていただいた。

 それにしても、かつての経営危機は一体何だったのだろう。日産は今や日本の日産ではなく世界の日産であり、思考は全くグローバル。日産の「勢い」を感じたイベントであった。

配布されたスマホのような端末。試乗時にフロントウインドのステッカーにかざしてデータのやり取りをする。電話機能はない。

試乗会場でのプレゼンテーション。朝、昼、夕と何度も行なわれ、その内容も販売戦略からモータースポーツまで多岐にわたった。

ハイパフォーマンスコースではニスモ仕様のレーシングリーフの試乗もできた。他にインフィニティQ50Sハイブリッドもあった。

商用車の試乗コースの目玉はe-NV200。つまりEVのNV200だ。発売も間近で、このほかトラックのタイタンのEVもあった。

初日のディナーは懐かしい日産車を展示してあるホテルの庭で、ガーデンパーティー風に立食で行なわれた。

2日目のディナー前。理事とは別枠で参加した鞍智会員とともに。道田 理事、神谷理事は別の場所でここには写っていない。


最終更新日:2013/10/03