アウディは年頭の記者会見で「2026年以降発売するクルマはすべてEVとする」としてEVの専業メーカーになることを宣言しているが、そのアウディが1月27日に静岡県浜松市で「Audi Sustainable Future Meeting」を開催した。これは持続可能な社会の実現の重要性を考える場の提供として、サステイナブルに取り組む地域、施設を訪問してきた事業の一環で、今回はアウディのディーラー「Audi 浜松」であった。
「Audi 浜松」は電気・ガスCO2排出量実質ゼロを達成し、カーボンニュートラル(CN)ショールーム、サービスセンターを実現した国内初のカーディーラーである。運営主体は「サーラカーズジャパン株式会社」で、店舗で使用する電気・ガス、さらに敷地内に設置した90kWの急速充電器も含めて、すべて再生可能エネルギーでまかなわれている。その電気は基本的には店舗建屋の屋根に設置した150kW容量の太陽光発電によっている。ただし、夜間や雨天・曇天では電力をすべてまかなうことはできないので、その場合は系列会社の「サーラエナジー株式会社」から再生可能エネルギー由来の電力を調達している。なお、サーラグループは元々ガス会社としてスタートした会社で、店舗の空調用として使う都市ガスもサーラエナジーがCN都市ガスを供給する。今後の課題としては蓄電池の設置があるが、当面は不足分をCN電力とCNガスの購入でカーボンニュートラルを達成している。
アウディ浜松の急速充電器は現在90kWだが、充電時間の短縮と車載電池の大容量化に対応するため、今後は150kWの充電器を設置していくという。ただ、サーラカーズジャパンはこの浜松のほか、豊橋と沼津にアウディ正規ディーラーを持っており、150kW充電器はまず先にそちらを優先にして導入するという。
当日のミーティングにはアウディジャパンのマティアス・シェイパース代表をはじめ、サーラコーポレーション代表、サーラカーズ代表、浜松市副市長、浜松市カーボンニュートラル推進事業本部本部長等も出席した。なお、浜松市は「スマートシティ浜松」をうたい2050年までにCO2排出実質ゼロを目指して積極的に活動している自治体である。
CO2を一切排出しないカーディーラーとして国内初を達成した「アウディ浜松」の外観。
屋根に150kWのソーラーパネルを設置。年間17万3000kWhの電力を発生させる。
90kWの急速充電器1基を設置。充電ケーブルは2本ある。基本はソーラー発電の電力で充電する。
プレゼンテーションに参加された左から浜松市の長田繁喜副市長、サーラコーポレーション神野吾郎代表、アウディジャパンのマティアス・シェーパース・ブランドディレクター、サーラカーズジャパンの坂爪謙治代表、浜松市カーボンニュートラル推進事業本部の村上隆康本部長の各氏。
アウディ浜松のカーボンニュートラル化スキーム。店舗屋根のソーラー発電を中心に不足電力は系列のエネルギー会社からCN電力を調達。
浜松市は2050年のカーボンニュートラルを目指し「エネルギー・スマートシティ」を表明しその実現に努力している。ちなみに浜松は日照時間が日本で最も長いという!