ボルボ XC40
VOLVO XC 40

想像以上のボルボに出会う

走りは不満なし。乗心地も大満足。ハンドリングも大大満足。積極的に選ぶに足るモデルだ。

この全幅が現在のコンパクトSUVのスタンダードだと分かってはいてもつい不満が口をつく。

リアビューの完成度も高い。エキパイは2本出し。カラーは単色もあるが、基本的にはツートン。


ティッシュボックス置きと取外し可能なゴミ箱。縦長ディスプレイは共通。まだ桜が咲いていた。

ラゲッジルームの工夫はおそらくナンバーワン。フロアを山形に立てて荷物置きをつくることも。

リアシートは背もたれ角が多少きついものの想像した以上にレッグスペースが確保されていた。


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 ニューヨーク・ショーでXC60がカー・オブ・ザ・イヤーを、ジュネーブ・ショーでXC40が欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。ともにボルボにとっては初めてのことである。同社の17年の世界販売台数は57万台以上。これはひと頃のメルセデス・ベンツの販売台数に匹敵する。日本も好調で去年は1万5751台売れた。前年比約20%のアップだ。 
 そこにXC40の導入。好調は続きそうだ。結論から先に言うとXC40、ある意味でベストボルボである。が、気になることもある。というのは“小さいけど大きい”こと。
 XC60と比べると全長は265个眞擦ぁじゃあ全幅も!と思いきや、そうはトンヤがおろさない。幅1875丿;XC90が1900个世ら小さいには小さいが、「もうひと声!」と言いたい。ドライブしているときは、その高めのポジションのおかげもあってあまり感じないが、止まって正面から見るとやはり大きい。と、無駄とは知りつつ敢えて言っておきたい。「40」というネーミングから判断(期待?)するとちょっと勝手が違います。
 その半面、ラゲッジルームの奥行きは50个靴減っていない。しかもフロアを山折りにたたんで荷物を安定して置ける空間を作ったり、ラゲッジカバーを床下に収納したりと、随所に新しい工夫がみられる。リアシートは肩部のレバーか荷室の電動スイッチで折りたためる。これも便利だ。
このハンドリングと乗り心地。感動
 試乗したのはT5 AWD R-Design 1stEditionという最高価&最スポーティ・モデルだ。タイヤはオプションの20インチPゼロを履いていた。荒れた路面や極端な突起ではさすがに粗さが顔をのぞかせることもあるが、それ以外はとても乗り心地がいい。
 乗り心地以上に評価したいのはハンドリングだ。軽めのセッティングだが、予想外に気持ちいい。単なるフィーリングの問題ではない。曖昧さはないし、操舵に対してリニアに方向を変えてくれる。しかもコーナーでのロールが少ない。同乗者にはいいプレゼントになるだろう。一方で高速道路でのしっかり感も高い。
 ファンドライブの原因のひとつはCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)という新しいプラットフォームにある。ボルボ初の小型車用のプラットフォームだ。
 足回りも変わった。フロントはこれまでのダブルウイッシュボーンからマクファーソン・ストラットに、リアは一応マルチリンクだが、XC60の革新的なインテグラル方式ではなく一般的なマルチリンクに。となれば、おそらく操安性や乗り心地が多少は犠牲になるだろうと考えるのが自然というものだ。が、さにあらず。時にXC60を凌ぐほどのバランスの良さを見せた。
 現時点でのエンジンは2ℓガソリンターボが2タイプ。出力は140kW(190ps)と185kW(252ps)。試乗車のT5 AWDは185kWの方。このエンジンはすでに他のシリーズにも採用されているもので、静かさや滑らかさに問題はない。
 さすがに350Nmのトルクは大きく、あらゆる場面で力不足を感じさせない。必要&少々十分以上だ。140kWの方も気になるが、試乗車以外のモデルのデリバリーは6月中旬以降になる。300台限定販売の試乗モデルはすでに完売。でも、こういうのってちょっとねえ……。
 CMA はXC60などのSPAとは異なり基本的には前輪駆動用のプラットフォーム。140kWのT4にはFFの用意されている。つまりT4はFFと4輪駆動が混在する。トランスミッションはどれも8速AT。このほかに欧州で販売されているディーゼルやマイルドハイブリッドの導入もありそうだ。
 全車16種類の安全・運転支援技術を標準装備する。ボルボらしい。ただし、XC60などに採用されていた前方自動ブレーキからステアリング制御が外された。その代り従来は警告音だけだった後退出庫時の自動ブレーキにオートブレーキ機能が新設された。
 最近のボルボ車の進歩は速い。これまでだとアンチ・ジャーマンという選び方もあったが、今やボルボは他の何かを意識してではなく、ボルボはボルボとして積極的に選ぶモデルになった。価格面ではXC60よりも150万円から300万円安い(389万〜559万円)。そういうことを考えると、1500台という今年の販売台数は少なすぎると思う。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

<神谷 龍彦> 最終更新:2018/04/25