ルノー メガーヌ R.S.
Renault MEGANE R.S.

DRIVING is BELIEVING!

LEDの採用でどのクルマもフロントのデザインの自由度が増した。メガーヌもその例に漏れない。

センターエキパイとリアディフューザー。テールランプのデザインも個性的かつすっきり。

チェッカーフラッグ・イメージのR.S.ビジョン。スモール、コーナリング、フォグ、ハイビームなど。


フロントフェンダーのアウトレットでエンジンルーム内の熱を放出。タイヤは245/35R19。

基本デザインはGTと同じ。R.S.オーナメント、アルカンタラ・スポーツシートなどが特徴だ。

ダンパー底部にセカンダリーダンパーを装備。ストップラバーがないから反力が発生しない。


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 狙い通りにスーッと曲がる。違和感はない。高速コーナリングも安定している。ハンドリングは抜群。しかも乗り心地がいい。先代も外観や過去の経歴から想像するよりずっと乗り心地が良かった。それをさらに進化させた。ハンドリングと乗り心地の超グッドバランス。それが新R.Sの真骨頂だ。箱根の試乗会で見せたメガーヌR.S.の走りはとてもレベルが高かった。

4輪操舵とダンパーの効果絶大
 操安性の向上には理由がある。それは4コントロールと呼ばれる4輪操舵の採用だ。ただしR.S.が初めてというわけではない。すでにメガーヌGTに搭載されている。これをR.S.専用に仕立て直した。逆位相と同位相の切り替えは車速だけでなく操舵角や操舵スピードなども検知して行われる。
 低速では後輪が前輪とは逆に最大2.7度までステアする。だからよく曲がる。焦ることの多いUターンもしやすい。高速では同位相に1度まで。これによって高速でのコーナリングの安定性が増す。感覚的にはリアがどっしりしたようなフィーリング。同位相と逆位相の切り替えは原則として60km/hを境に行われる。5種類選べるマルチセンスをレース・モードにするとそれが100km/hまで上がる。
 マルチセンスはコンフォート、ニュートラル、スポーツ、ペルソ(個人設定)とレースの5種類。スポーツとレースはセンターパネルR.S.ドライブスイッチで行えるが、他のモードはディスプレイにタッチして変える。
 逆位相のセッティングは、ターンパイクを含めて日本での試行錯誤を(プロトタイプで)繰り返した。煮詰めには3年もかかったらしい。「ワインディングの多い日本の道には合うんじゃないか」とルノーは言う。
 乗り心地の良さにはショックアブソーバーも貢献している。先代R.S.ではトルコのサプライヤーとルノーの共同開発だったが、今回は日本のカヤバを提供先に選んだ。HCC(ハイドロ・コンプレッション・コントロール)と呼ぶ。
その特徴はダンパーの中にもう一つダンパーを組み込んでラバーの機能を代用させたこと。バンプ・ラバーがないからボトムで反発力が発生しない。大雑把に言えば大入力時にも底突きが少ないし乗り心地がいい。日本特有の高速道路の目地にも強い。
 トランスミッションはルノー・スポールとゲトラグで共同開発したマルチシフトダウン6速AT(ツインクラッチ)。ステアリングホイールから手を離さずにパドルシフトができる。スポーツかレース・モードで走行中にブレーキペダル踏み左側のパドル(ステアリングコラムに装着)を引き続けると車速に応じて複数段のシフトダウンができる。本国にはMTも用意されている。

メガーヌとルーテシアの“最新”を最大限活用
 どこかで見たような、という人もいるかもしれない──でもそれ、決してデジャブではありません。昨年の9月にGTシリーズ(GT、GT-Line、スポーツ・ツアラーGT)としてこのボディは日本デビューを果たしているのだから。
 スポーツ・ツアラーはワゴンだが、R.S.とGTやGT-Lineは5ドアハッチバックだ。従来の3ドアではなく5ドアを選んだ。新型メガーヌ R.S.の目指す地平がうかがえる。先代のユーザーの9割以上が5ドアを選んだという。だからR.S.の裾野を広げる方向に舵を切った。シビック・タイプRやゴルフGTIなどとの、ニュルブルクリンクで量産FF最速ラップタイム争いは、年内に発表される予定のトロフィー(300ps)に任せるのだろう。
 全幅はGTに比べるとリアが45mm、フロントが60mm広い。言うまでもなくオーバーフェンダーの分だ。補助ランプも違う。ヘッドランプの下に3個の小さいランプがチェッカーフラッグのように並ぶ。上から、ポジション、コーナリング&フォグランプ、ハイビーム、ハイビーム&フォグランプ。ルノーはこのランプをR.S.ビジョンと呼ぶ。これも初めてではない。ルーテシアのR.S.にすでに採用されているからだ。ちょっとややこしい。
 さらに言えば、エアインテークブレード(ダウンフォースの約8割を生む)も備えたフロントバンパー、専用デザインのルーフスポイラー、リアディフューザーと一体化したセンターマフラーなどはF1のイメージを取り入れたものだとルノーは解説する。
 エンジンは1.8ℓターボで最高出力は279ps。基本的には先日発表されたアルピーヌA110と同じである。ルーテシアR.S.の出力はA110(252ps)を上回る。それなのに0-100km/加速が5.8秒とA110の4.5秒に届かない。その理由は車重だろう。ルーテシアR.S.が1480kgなのに対してA110は1110kgしかない。370kgの差は大きい。
 価格は税込みで440万円。シビック・タイプRが450万円。相対的には決して高くはない。このところのルノー車の価格はリーゾナブルだ。販売台数の立ち上がりも、サーキットでのスタートダッシュに役立つローンチコントロールが効くといいのに。

報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

最終更新:2018/09/10