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日本独自の規格で販売されている軽自動車。過去には「ちょい乗りするだけの安くてチープなクルマ」という印象も強かったが、今では時に普通車をも上回るアイテムを装備するほどにスキルアップしてきた。日産が発表した新型デイズは、まさに普通車以上の装備を身にまとった、軽自動車という概念を吹っ飛ばす軽自動車と言って言いかもしれない。デイズはそれほどのポテンシャルを見せつけてくれた。
軽自動車の常識破る静粛性と乗り心地
試乗したのはデイズ・ハイウェイスターのNAモデルとターボモデル。いずれもモーターアシストのS-ハイブリッド仕様だ。本当はハイブリッドなし車も試乗したかったが、用意されていなかった。最初に試乗したのはNA仕様車。
走り出してすぐに気が付いたのが静粛性だ。すべての軽自動車に採用されている660ccエンジンは3気筒だ。軽自動車では走行中、3気筒エンジン特有のエンジン音が気になるものだ。だが、走り出してすぐにエンジン音が気にならないレベルまで低減されているのが実感できた。
自分はたまに知り合いの旧型デイズも運転することがある。旧型デイズの静粛性は「まぁこんなもんだろうな」という程度で、他社のライバル軽自動車も似たような静粛性だが、今回の新型デイズは普通車と言われてもおかしくないほどの静粛性を実現していた。軽自動車でこれだけの静粛性を実現したのは特筆できるレベルだと思う。
乗り味の方も十分に満足できるレベルだった。NAモデルもターボモデルもS-ハイブリッド仕様で、モーターアシストが装備されている。実際に走ってみるとモーターアシストの恩恵はそれほど感じられない。エンジニアの話によれば、発進時のアシストはなく、あくまで走行中の30〜40Km/h以上での、効率のいい状態だけアシストし、知らない間に燃費が良くなっている「アシスト」とのことだった。
ハイウェイスターのノンターボ仕様がベスト
特に好印象だったのがNAエンジン仕様。ターボモデルは確かに加速感はいいのだが、アクセル開度に対するパワーの出方が急激すぎる面がある。扱いやすさはNAモデルの方が上だと感じた。
今回は市街地だけの試乗だったこともあり、ワインディングを攻めることはできなかったが、ロール剛性は高い。一般的な軽自動車に感じられるコーナリング時のフロントアウト側にすべての荷重がかかり、いわゆる「犬のションベン」スタイルという3輪走行になる印象はない。
軽自動車初となる自動運転の運転支援システム「プロパイロット」も装備された。メーカー側では「これまでのプロパイロットのなかで最もスムースな運転」ということだったが、正直そこまでの印象は受けなかった。だが、従来どおりの性能は発揮してくれたし、室内装備に関しても何より後席の足元の広さは、驚きを越えて驚愕さえも感じるほどのゆとりがある。なんでもフーガと同じ程度のゆとりを確保したそうだ。
これまでの軽自動車はセカンドカーというイメージが強かったが、新型デイズはファーストカーとしての性能を持っているのはもちろん、家族そろってのロングドライブにも、十分なゆとりを与えてくれるポテンシャルを持っていると感じた。
報告:若槻幸次郎
写真:佐久間健