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トヨタRAV4といえば1994年に初代が発売され、当時大人気だった三菱パジェロやトヨタ・ランドクルーザーといった本格的なクロスカントリー車とは一線を画し、ライトクロカンという新ジャンルを開拓して大ヒットしたクルマだった。しかし、その後はトヨタ・ハリアーなどのよりスタイリッシュなクロスオーバーSUVに市場を席巻され、一時は日本市場から姿を消していた。そのRAV4が5世代目モデルとなって復活した。発売1カ月で2万4000台を受注するほどの人気だが、なかでもクルマ離れが叫ばれている20〜30代が約4割を占めることにも注目すべきだろう。
好評な理由は一目でわかる気がした。とにかく、かっこいいのだ。北米などで販売されているタンドラなどの流れをくむフロントマスクや樹脂製のバンパー&ホイールアーチモールなどでSUVらしい力強さを、程よくスラントしたAピラーとサイドラインなどで都会的な洗練さを表現。試乗車のAdventureに標準装備されている19インチアルミホイールもよく似合っていた。運転席に乗り込むと、シンプルながら使い勝手にすぐれたインテリアが広がる。オプションの快適温熱シート+ベンチレーションはぜひとも装着したいところ。細かく温度が設定できて実に快適だった。また、運転視界の良さも抜群だ。ボンネットの四隅がしっかりと視認できるため、全幅1865?と大柄なボディながら細い道でも安心して運転できた。
多くのデバイスを標準装備して319万円。価格も魅力的
パワートレインは2リッター直噴ガソリンエンジンとCVTの組み合わせで、動力性能に不満はない。スポーツモードを選択すればキビキビとした走りも楽しめるが、できればパドルシフトが欲しい。せっかくの10速シーケンシャルシフトなのだから…。ハンドリングは直進性重視のおだやかな味付けながら、コーナリングは意外なほど安定感がある。これには、新採用のダイナミックトルクベクタリングAWDが寄与しているのだろう。たっぷりとしたサスペンションストロークがもたらす快適な乗り心地も特筆ものだった。
様々な路面に対応できるマルチテレインセレクトや予防安全技術のトヨタセーフティセンス、専用のエクステリアなどがすべて標準装備で319万5500円という価格設定も魅力的。最近、クルマの購入意欲が少なくなってきていた筆者だが、久しぶりに欲しいと思った一台であった。
報告:小堀和則
写真:佐久間健