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新型N-WGNのプラットフォームは現行型Nボックスと共通化しながら、さらに高剛性化を実現しているのが特徴。フロアのクロスメンバーを専用設計にして剛性を向上させると同時に、ボディ接合部に高粘度接着剤を拡大採用して高剛性化。振動も低減することで走りの質感を高めている。
ボディ全体の64%にハイテン材使用し、そのうち約10%に1180MPaの超ハイテン材を採用。ボディ剛性アップに開発エンジニアがこだわる理由のトップが、パッシブセーフティーを向上させること。車両重量が重い普通車との衝突時は、軽量な軽自動車がダメージを負うことが多くなってしまう。ボディ剛性アップさせることでより高度なコンパティビリティ対応ボディに進化させ、全方位安全性を目指している。
アクティブセーフティーで注目したいのが、安全運転支援システムの「ホンダセンシング」の機能の向上。衝突軽減ブレーキはハードウエアの大きな変更はないものの、ソフトを改良したことで夜間の歩行者認識性能をさらにアップさせている。軽自動車もついにここまできたかと思わせるのが横断自転車を認識する衝突軽減ブレーキ。この機能は上級車の一部に採用されているが、コンパクトカーには採用例がなく、軽自動車では初装備だ。
豪雨と強風のなかでもACCとレーンキープ不安なし
N-WGNに試乗するのは今回で3回目。最初の試乗は豪雨と強風のなか都内からアクアラインを通って木更津で折り返すというルート。2回目は晴天のなか都内を走り、今回はドライと少雨のなかでの試乗。特に最初の試乗では豪雨のなかでホンダセンシングがしっかりと機能することに驚いた。
標準LとカスタムLターボは、豪雨と強風のなかでもACCとレーンキープの正確さが際立っていた。先行車のトラックが巻き上げる水煙があってもNワゴンのミリ波レーダーは作動を続け、適切な距離を保って追従走行。こうした天候ではカメラシステムだけのACCでは制御が難しくなる場面だ。
豪雨のためレーンキープのための路面の白線を検知しづらい厳しい走行条件下でも、強い横風にも負けずレーンキープが作動したため安心感が高かった。クロスウインドー(横風)制御があるとはアナウンスされていないが、横風があってもレーンキープしてくれる性能は、上級車に迫る性能といっていいだろう。
静粛性と走りの質感でカスタムが断然おススメ
3回の試乗でわかったのは、N-WGNは標準とカスタムで走りの質感にも大きな違いがあるということ。標準は豪雨のなかでの室内騒音はライバルより少し静かという印象だが、カスタムは静粛性が格段にアップしている。確実に雨音が小さくなってロードノイズも小さくなっていて、フロアの遮音性が向上したように感じる。
この点をエンジニアに確認したところフロアの遮音材などは同じだが、カスタムは4枚のドアとルーフに遮音材の一種であるインシュレーターを装着しているというではないか。降雨時以外はルーフの遮音材の存在の有無は大きな影響がないが、ドライ路面でもドアの遮音材はロードノイズの減少に効果がある。静かで快適な居住性を求めるならカスタムを選ぶことをオススメする。
コンパクトカー以上の走りの質感としっかりしたハンドリングを求めるなら前後サスペンションにスタビライザーを装着するカスタムターボのFF(4WDはリヤスタビライザーが非装着)がおススメ。カスタムLターボは、車両の動きにしっとりとした落ち着き感があり、軽自動車であることを忘れてしまうほど走りの質感が高い。
報告:丸山誠
写真:佐久間健 武田隆 ホンダ