マツダ CX-30 (1)

ジャストサイズの新しいカタチと性能

これがマツダのマスク。新しい顔を創るのはけっこう難しいし時間もかかる。それを成し遂げた。

SKYACTIVE-D。1.8リッターディーゼルターボ。トルクは270Nmもある。扱いやすい。

この光と影の競演。どのクルマにもなかったボディサイドの処理。一種の色気すら感じさせる。



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 ジャストサイズ、人はよく口にする。でもコレってクルマの場合むずかしい。人によって使い方も違うし、生活環境も異なる。たとえば、アメリカではフルサイズは不思議じゃないが、ヨーロッパでは事情が異なる。環境問題とも無縁ではない。
 このところクルマは大きくなった。SUVはとくにそうだ。そんな風潮に一石を投じたのがマツダ CX-30だ。全幅1795?。これでも昔に比べればかなり大きいが、市場を見据えて新しいジャストサイズを探ろうという意思はうかがえる。全高1540?。これも歓迎できる。タワーパーキングを恐れる必要はない。実質的に大きな差はないが心理的安心感は高い。
 マツダはデザインがいい。デザインに対するこだわりを以前から同社は主張してきたが、本当に洗練を手にしたのはここ数年のことだ。それはとくにエクステリアに現れる。CX-30のサイドはその典型だ。大胆かつ微妙な面とラインで構成される。光と影の移ろいはおそらくどのモデルよりも美しい。インテリアもそう。黒一色の室内はない。ブラックからの決別と同時にドライバーへの優先度を増した。
 エンジンは3種類。2リッターのガソリン「SKYACTIVE-G」(115kW/156ps)、1.8リッターのディーゼルターボ「SKYACTIVE-D」(85kW/116ps)と、来年発売されるSKYACTIVE-X 2.0(マイルドハイブリッド) だ。
 試乗の印象はディーゼルの方が良かった。少なくとも市街地や都市高速道路では……。ディーゼル特有の低中速トルクがクルマをグングン前に進める。外ではノイズが聞こえるがドアを閉めた途端に車内はほぼ静寂に包まれる。ガソリンは高速の伸びは明らかにいい。しかし、うなり音が出る領域が気になった。
 G-ベクタリング コントロール(GVC)との協調制御によるハンドリングの良さも特筆ものだ。クルマがスーッとコーナーに入っていく。あまりにも自然だから運転が上手くなったと勘違いするかもしれない。新しい日本的ジャストサイズへの挑戦。CX-30、いいSUVである。
税込み価格は239万2500円(20S FF)〜371万3600円(X L・Package 4WD)。※Xは来年発売予定。

報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

最終更新:2019/11/04