ダイハツ ロッキー

脱クロカン。都会派SUVの新しいカタチ

一般道での乗り心地は不満なし。ラフロードや山岳路ではサスペンションのストローク不足が。

これ一台でファミリーカーとして文句なし。比較的低価格のコンパクトSUVだ。人気に納得。

見切り良し小回りもきく(4.9〜5.0m)。最低地上高185?も立派。軽ベースプラットフォーム。


タコメーターが回転する、ちょっとユニークなメーター表示。エンジニアの遊びかサービスか。

右はトヨタのライズ。開発はダイハツが担当したが、販売はディーラー数の多いライズが勝る。

ラゲッジ収容量は369リットル。床下のトランクが特徴。2WDと4WDでは収容量が異なる。


※画像クリックで拡大表示します。

 ロッキーと耳にした時、懐かしい姿が思い浮かんだ。小型で扱いやすく、オフロードの走破性も優れていた都会派クロカンのロッキー。けれど新型ロッキーの姿をテレビCMで見かけた時、全く違うものになっていることに驚いた。その姿はクロカンのゴツさとは違う、New typeのコンパクトSUVだった。

コンパクトボディに豊かなユーティリティ

 使い方はいろいろで、なかなか自由な発想で楽しめそう。聞けば、ダイハツのDNGAの小型車第1号として、大径タイヤを履きながらも小回りがいい、コンパクトボディなのに車内、荷室が広いという二律背反の両立に挑戦し、新しいSUVを作り上げたのだという。
 コンパクトだが都会的で洒落感のあるスタイルは、個人的にはいまどきの好青年を彷彿させ、なかなかの好印象だ。キレ角を損なわずに履いた大径タイヤ、アプローチアングルやディパーチャーアングルの角度など、オフロードユースにも気を配ったSUVテイストが加わっている。
 超ハードなオフロードを走るってわけにはいかないかもしれないが、これなら河原や林間のキャンプ地まで、気にせずどんどん走って行けそうだ。もちろん、SUVらしくゆとりのラゲージスにたくさん荷物が積み込める。2段可変式デッキボードで、フラットラゲージモードと下段モードが切り替えられ、デッキボードを外せば大容量モードにもなるのは頼もしい。

全長4m以下×全幅1.7m以下。懐かしいサイズ

 実際に試乗してみると、ヒップポイントが高く、ボンネットフードの左右前端が見えるため、視界も良好で街中の狭い路地をキビキビ走り、運転操作がしやすい。高速走行時の余裕を感じる走りは、1ℓターボエンジンとは思えないほどで、ステアリングの右側にあるD assistのPWRボタンを押すとグンと加速する。気持ちの良い力強さだった。
 また、安全装備のスマアシは、移動中も安心感あり。多様な衝突軽減機能だけでなく、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールも、とても便利だった。この機能を使うと、長時間運転の疲労度合いが格段に下がる。車線逸脱の警報も的確に作動し、長時間ドライブ時もサポートしてもらっている感じがして安心だ。
 プラットフォーム、サスペンションを一新し、全く新しいコンパクトSUVを作り上げたダイハツ。直接開発者にインタビューできなかったのは残念だけど、旧型ロッキーが都会派クロカンとしてSUVの礎を築いたとも言われているから(本当にオフロード走行も良く、都会的な感じも持っていた)DNGA小型車第1号として世に送り出した自信作に、「ロッキー」の名を復活させたのかもしれないと、勝手に思っている。それほど新型ロッキーは、良くできていた。

報告:緒方昌子
写真:佐久間 健

最終更新:2020/12/19