日産 キックス

新SUVはヤリスより長く、C-HRより短い

まず感じるのは低中速でのエンジン音の静かさ。ノートと比較してエンジンON時の室内音は4dBA低く、遮音性は約2倍だという。

エクステリアは、Vモーショングリル、フローティングルーフ、LEDランプなどによりSUVとしてなかなか魅力的なものになっている。

ノートとは似て非なる存在。タイヤはノート15インチに対して17インチ、バンプストップもウレタン製、ボディ剛性も向上している。


インテリアは乗用車的。必要以上の緊張感を強いることはない。ホイールベース増は20个世居住・荷室空間はノートよりずっと広い。

シートはわりと大き目。筋負荷が最小になる姿勢で支えて疲労を低減、Tシェイプサポートで横G時の揺れを抑え、骨盤もサポートする。

今回のe-POWERは、低速時にはエンジンをかけない方向にセット、熱効率の良い領域でエンジンを使うなど、システムを改善した。


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 日産のコンパクトSUVは近年までジュークがあったが、キックスがそれにとって代わるようだ。国内市場向けキックスの最大の特色は、ノート、セレナで好評を得てきたe-POWERの仕様のみとなることだ。サイズ的には全長がトヨタのヤリスクロスに比べて110伉垢、C-HRより95价擦、ちょうどその中間だ。コンパクトSUVクラスにはそのほかトヨタライズ、ダイハツロッキー、ホンダベゼル、フィットクロスター、マツダCX-3、CX-30、三菱RVRなど競合車が多い。

e-POWERはノートよりも出力と容量を向上

 プラットフォームのベースはノートだが、後方空間、ラゲッジスペース、トレッド、全幅、トレッドなどがノートより一回り大きく、加えて車体剛性、車体の衝撃吸収性もアップ、大径のダンパーも採用されているため、走り始めた瞬間から動的質感の高さを感じた。
 加えて、キックスに搭載された、それまでのノートe-POWERに比べてバッテリーとエンジンの出力を向上したため、静止状態、更には中速からの加速も非常に良好なうえに、エンジン稼働時の回転数が下げられ、中低速のエンジン稼働頻度が大幅に下がったことにより、EVらしい静かさも向上、ノートe-POWERで脱帽したワンペダル走行は、一段と進化したように感じられた。
 以下は山本洋一車両開発主管のコメントだ。『e-POWERは「ストップ&ゴー」の多い交通事情に有利であり、キックスは世界市場では日本とタイやインドネシアなどのアジア地域に展開している。欧州などでではその走行状況から燃費に不利な点もあり、グローバル展開は今後の課題と考えている。今回キックス用に開発したe-POWERは、低速時にはエンジンをかけない方向にセッティング、熱効率の良い領域でエンジンを使うなど、これまでのシステムに比べてシステム全体の効率を良くしている。

造形と質感の造りこみは上々、細か点では不満も

 キックスの外観スタイルは、Vモーショングリル、フローティングルーフ、先進的なLEDランプなどによりSUVとしてなかなか魅力的なものになっており、内装デザインも、新しさこそあまりないが、造形と質感のつくりこみも良好で好感が持てる。
 フロントシートの着座感、サポート感も良好で、ロングドライブを是非やってみたいところだ。後席乗員のスペースも十分で、側方視野も広い。ただし後席がフラットにならず、車中泊が困難なことは、アウトドア活動が大切な対象となるクルマとしては残念だ。
 また後席でのタイヤからの突き上げ感ももう一歩改善を期待してほしい。プロパイロット、SOSコールなどの先進安全技術の標準装備にも拍手したいが、価格が競合車に比べてやや高めなのもちょっと心配だ。
 キックスに限らず、e-POWER、更には日産車の市場拡大を期待したいが、そのためにも、e-POWERのメリットをもう一歩わかりやすくすることも必要なのではないだろうか。まずは、ワンペダル走行と適切なペダル操作による燃費への影響を精査して、最も効率の良い走り方を分かりやすく解説し、エンジン駆動競合車との燃費の有意差をアピールしたいところだ。
 また一般的なエンジン駆動車両に比べての大気汚染への影響の少なさもe-POWERのメリットではないだろうか?なぜならe-POWRの場合、エンジンは熱効率の良い回転数、負荷状態で使われることがほとんどのはずで、それによる大気を汚染する排気ガスの排出量の少なさなどがアピールできれば、より購入希望者の心に響くはずだ。
 6月末に導入されたばかりなので、目下の販売台数は、7月456台、8月1178台、9月3493台と比較的限られているが、今後どのように推移してゆくか、キックスが日産のリカバリーの一つの原動力となってゆくかなどを見守ってゆきたい。

報告:小早川隆治
写真:佐久間 健

最終更新:2020/11/08