ルノー・ルーテシア・インテンス

これだからヨーロッパ車は眼が離せない

低中速では軽快に、高速ではよりダイレクトに。アジリティとスタビリティのセッティングは絶妙。コーナリングがさらに楽しくなった。

エクステリアに大きな変更はない。あえていえば、フロントのルノーエンブレムのスペースが大きくなった。もともと個性的な外観のクルマだ。

グレードはインテンス、ゼン、GT。ゼンには1.2 リッターと0.9リッターがある。今回のマイナーチェンジの対象はインテンスとゼン。


フランス車のインテリアはどちらかというとデザイン先行になりがちだったが、最近は各メーカーともクオリティも充実してきた。

メガーヌのスポーティバージョン“RS“ですら乗り心地が良かった。シートも含めてベーシック・ルノーの乗り心地はさらにいい。

1.2リッターターボはパワーを少しだけ落としてトルクをアップした。ギアはメルセデスのスマートや登場間近のトゥインゴと基本的には同じだ。


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 なんだかすべてが見違えるようにいい。現行のルーテシアは2012年の本国デビューだからもう4年目に突入、さしずめ日本車ならそろそろ新型と入れ替わる頃だが、息の長いヨーロッパ車の常で今頃になってようやくマイナーチェンジを実施したところ、これが同じクルマかと呆れるほどあらゆる点で進化しているのには驚いた。
 リバイズだから基本設計はもちろん同じ。変わったのはエンジンのセッティングとギア比、インテリアの彩りくらいなものだが、不思議なことにサスペンションのしなやかさや果てはボディ剛性まで明らかにアップしているのである。恐らくはこれもヨーロッパ車の常でここに至るまでの生産過程で目に見えない改良が積み上げられてのことに違いない。
 好印象の最たるものがパワートレーンの気持ち良さ。主眼はユーロ5からユーロ6排ガス規制への対応だったはずだが、出力を若干落とす(120PS→118PS)代わりにトルクを太らせ(190Nm→205Nm)、全6段のデュアルクラッチトランスミッションを前半低速化/後半高速化したこのレタッチは思わぬ副次効果をもたらした。今やありきたりと言ってもいい1.2ℓ4気筒ダウンサイジングターボが一転してまるでフライホイールの軽いレーシングユニットでもあるかのように自ら積極的に回りたがるようになったのだ。“猫足”を誉められることはあってもエンジンを誉められたためしがなかったフランス製ヴォワチュレットにとってこれは「事件」に違いない。
 桜色のようにあでやかな試乗車の“ルージュ フラム”メタリックはうら若いマドモアゼルにこそお似合いだろうが、オジさんでもいいだろうか? 239.9万円(メタリックカラーは+3.24万円)の価格も魅力的だ。

写真:佐久間 健

最終更新:2016/04/03