ボルボ S90/V90
VOLVO S90/V90

得意の使い勝手と新たな高級感へ──北欧の挑戦。

過給機のおかげでずっと大きな排気量のような加速と余裕を感じさせる。初期加速、高回転の伸びとも不満なし。快適である。

たぶん最も売れるのはV70の後継モデルとなるV90だろう。セダンは500台の限定販売。クロスカントリーの導入は少し遅れる。

自動運転レベル2を標準装備。オーディオのサウンド(一部オプション)もハイレベルだし、音声入力もずいぶんスムーズになった。


パワートレインは3種類。T5(254ps)、T6(320ps)、T8(320ps+87ps)。エンジンは2.0リッター過給機付き。変速機は8速AT。

内側にカーブしたフロントグリル。往年の名車「P1800」へのオマージュだという。こんなところにもボルボの伝統が──。

LEDのヘッドライト。ポジショニングライトやウインカー、さらにはフルアクティブ・コーナリングランプの役目もする。


※画像クリックで拡大表示します。

 今回試乗したのは、セダンの上級グレードとなるS90 T6 AWD Inscription。エンジンは直4/2.0リッターで、スーパーチャージャーとターボチャージャーによる過給によって最高出力320PS、最大トルク400Nmを発生するパワーユニットを搭載したモデルだ。このパワースペックだけを眺めると豪快さを感じさせるが、実際には大排気量エンジン的なフィーリングに通じるジェントルさ、ゆとりにあふれている。それは発進から感じられるもの。アクセルペダルに乗せた足に僅かに力を入れたところからスッとトルクが立ち上がり、その後は踏み込み加減にリンクしてきれいに加速していく。
 高速走行ではどの回転域からでも不足ない加速を披露するが、特に印象的だったのは高回転域での伸び。これは、低回転をスーパーチャージャーに任せられた分、ターボチャージャーを高回転側で使えたことで得られたものだが、それはストレスなく、まさに伸びやかと表現できるもので、爽快といわんばかりの気持ちよさがある。
 もちろん、ハンドリングや乗り心地もそれに見合ったもの。タイヤサイズは255/35R20だったが、意外にも路面からの衝撃はしっかりと角が取り去られており、また、バネ下の重たさを感じさせることもなく、路面が少々荒れていようとも、ドタバタするようなことも全くなく、驚きを覚えたほど。
 ただ、タイヤがハイパフォーマンス系に位置づけられるピレリのP ZEROだったこと、35という扁平率、さらには空気圧もあって、乗り味の中にハーシュネスを感じ取れるようなシーンではコンコンという周波数の高い音がキャビンに届くこともあったが、このタイヤ(サイズ)との組み合わせを考えると、気にならないレベル。つまり、不快感は見当たらなかった。逆に、クイック感を意識させることない、素直さや快適性を最優先にしたステアリングフィーリングの作り込みに感心し、そこにボルボ流の尖ったところを作らず、乗る者を選ばないといった、ボルボが求める快適性たる作り込みを感じた。
 車線維持、追従といった先進技術においては、設定に従って走るだけではなく、いかに戸惑うことなく走れるかを丁寧に作り込んでいる。ACCにおいて、先行車がいなくなり設定速度までスピードを上げていくシーンでは、見えぬ何かを追いかけるかのように唐突に加速していくのではなく、また、加速しようかどうしようかというような戸惑いを見せることなく、まさに乗員にストレスを感じさない、そんな走りをしてくれる。車線維持支援機能も同様に唐突なアシストを感じることはなく、こういった面でも、また快適性がある。また、試すことはもちろんできなかったが、世界初となる先進安全技術の積極的な採用にも、ボルボらしいスタンスを感じた。
 プラットフォームは一新され、その雰囲気(デザイン)もかつてとは大きく変わったかのような印象がある。しかし、最新を身に纏ったとしても、ボルボらしさである、安心感がもたらす快適性というボルボらしさは、かつてと少しも変わっていなかった。
 そう、あいかわらず、ボルボはぶれていない。そんなことを感じたテストドライブだった。
報告:吉田直志
撮影:佐久間健

<吉田 直志> 最終更新:2017/03/07