「今年の1月から5月までのBMWの売り上げはプラス1.6%でした。台数は1万8363台。輸入車全体がマイナス3.6%であることを考えると良い数字だと思います。その要因としては、3シリーズ、Z4、X5など新型車の投入があげられます。」
いつものようにペーター・クロンシュナーブルBMW日本社長の業績報告は明るかった。しかしそれもおそらくこれが最後になるだろう。なぜなら、この実績をひっさげて7月いっぱいで本社に戻るからだ。代わりにタイBMWの社長が日本を引き継ぐ。
SAVの世界に最大限のラグジュアリーを
今回デビューしたX7はXシリーズの頂点に立つべく開発されたモデルだ。BMWとしては初のフルサイズSAV(いわゆるSUV)である。だからともかく大きい。全長は5mを優に超え(5165mm)、全幅は2000mm、全高は1835mm。このクラスになると日本のタワーパーキングなどは全く意に介していない。ちなみに最低地上高は220mm。実際にやるかどうかはともかく、この巨体で楽しめる範囲は想像以上に広い。
足回りは全車ともエアサスペンション。これは単にエア使ったサスペンションというだけでなく、路面状況を感知し上下それぞれ40mmの間で車高を自動調整する(4輪アダプティブ・サスペンション)と同時にカメラによって前方の路面状況を確認しダンパー調整やロール回避を最適化する(エグゼクティブ・ドライブ・プロフェショナル=M50iに標準装備)。「空を飛んでいるかのような滑らかな乗り心地を実現した」とメーカーは言う。
外から見ても十分大きいが、乗り込むとさらに大きさを感じる。シートは3列で6人/7人乗り。セカンドシートに2座のコンフォート・シートを選べば、さらにラグジュアリーな空間が手に入る。ちなみにシートはすべてメモリー付き(運転席)電動調整式。表皮はメリノ・レザーが標準装備である。
セレクトレバーやスタート/ストップボタンなどにクリスタルを採用しているのもラグジュアリーの演出だろう。さらに、パノラマサンルーフも標準で付く。音声呼び出しも簡単で定番の「OK BMW」は任意に変更できる。
エンジンは2種類。基本は350dの3ℓ直6のディーゼル(195kW/265ps)。M50iにはV8のガソリンターボ(390kW/530ps)が用意される。ディーゼルも低速トルクたっぷりで乗りやすいと思われるが、M50iの0-100km/h加速タイムは4.7秒。十分すぎるほど速い。
X7には高速道路での渋滞時にドライバーがハンドルから手を離すことを許容する「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援システム」(前方注視が必要だから自動運転のレベルは2のまま)や35km/h以下で走行時に50ⅿの軌跡を記憶してバックする「リバース・アシスト」など最新の運転支援システムが採用されている。
価格(8%消費税込み)はxDrive35dが1079万円から1242万円、M50iが2566万円。
思ったより良く似合う超大型グリル
さて7シリーズ。デビューは2015年。フルモデルチェンジには早すぎるから、日本で言うところのマイナーチェンジだ。最大の変更点はフロントだ。あのキドニーグリルの面積を40%も増やし、ボンネット先端を5cm高くした。スリムなボディに堂々たる顔。これが意外にマッチする。
安全装備としては、X7同様に高速道路や渋滞路でのハンズ・オフ機能付き運転サポートが新しい(夏以降)。12.3インチのディスプレイを備えたフルデジタルのメーターパネルが新しく装備された。
グレード展開はちょっと複雑だが、740、745、750、そしてもっともスポーティなM760に大きく分けられる。740は3ℓ直6のガソリン/ディーゼル、745は3ℓ直6とモーターのハイブリッド、750は4.4ℓV8ガソリン、M760は6.6ℓV12ガソリンだ。M760は車名からも想像つくようにV12気筒エンジンを搭載する。
駆動方式は740と745、750にはFRと4WDが用意されるが、750とM760は4WDのみとなる。価格(8%消費税込み)は1090万から2523万円。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健 怒谷彰久
業績上々、7月一杯で本社に戻るクロンシュナーブル社長とXシリーズの頂点に立つX7。
全長は優に5mを超し全幅も7シリーズよりも広い。大きくて何が悪い!と言わんばかり。
3列目シートを倒せば750ℓ、2列目も倒せば2120ℓの広いラゲッジスペースができる。
インテリアデザインに荒々しさは感じられない。基本的には水平基調、あえて言えば優しい。
エンジン構成は3ℓ直6ガソリン/ディーゼル、ハイブリッド、V8、V12までと多種多様。
ニュー7シリーズの最大の特徴は40%も面積を増したキドニーグリルだ。意外にマッチする。