スズキ・バレーノ

Bセグメントに旋風を起こせるか? インド製スズキ車。


 小型車10万台計画の実現を目指すスズキの攻勢は続く。1月のイグニスの発表からわずか2カ月足らず、2月9日にBセグメントカーの「バレーノ」をデビューさせた。
 スイフトもBセグメントだが、プラットフォームが異なる。バレーノは新プラットフォームを初めて採用したモデルだ。そのメリットは大きい。兄貴分にあたるスイフトより約90kg軽い。同じくBセグメントに属するポロなどは1トンを超すが、バレーノは900kg台。ちなみにイグニスはAセグメントのモデルである。
 エンジンは1リッターターボ(111ps)と1.2リッター(91ps)。1.2リッターはソリオと同じだが、1リッターターボは新開発。燃費は1リッターが20.0㎞/ℓ、1.2リッターが24.6㎞/ℓ、最近のコンパクトカーとしては標準レベルだ。1リッターはXT、1.2リッターはXGとネーミングされる。トランスミッションは、XTがパドルシフト付6速AT、XGは副変速機付のCVTだ。
 デザインの基本は内外とも「リキッドフロー」、言葉を換えれば流麗でエレガントということ。エクステリアのサイズは全長×全幅が3995×1745㎜。全幅は1700㎜を少しだけ超えるから日本では3ナンバーになるが、最近の小型車ではそう珍しいことではない。トランク容量320ℓはこのクラスとしては広い方。ゴルフバッグも入る。ルーフエンドスポイラーも全車標準装備だ。
 バレーノのもうひとつの大きな特徴はインド製(スズキ・マルチ・インディア社)であること。インドにおける同社のシェアは、一時ほどではないとはいえ46〜47%もある。クオリティに問題はないのかという疑問についてスズキは答える。
 「ここからアルト(排気量は軽自動車とは別)をヨーロッパに輸出してきたが問題はありませんでした。インドのマネサール工場には日本人の指導者もいるし、現地の人々のレベルも十分高い。しかも、PDIと完成検査は湖西(静岡県)でやります。問題ありません」ではコスト的にはどうなのか。さらに安くはできなかったのか。
 「たとえば1リッターターボエンジンは日本から輸出しています。鋼板の一部もそう。もちろん為替レートの問題もあります。組み立てに関する人件費の面では安いんですが」。
 価格はXGが141.1万円、XTが161.1万円。XGは発表日=発売日だが、XTは5月13日から。XTが遅れる理由はNA(自然吸気)優先で開発されたからだと言う。

 

全長は3995㎜だが全幅は1745㎜で3ナンバー。最上グレードはXTのセットオプション装着車(172.8万円)。発売は5月。

イグニスを思わせるリアのランプ。ラゲッジスペースは320リッター。後ろ足は後席の乗り心地にも配慮したというトーションビーム。

インパネのデザインもユニーク。ナビゲーションはディーラーオプション。実用車としてだけではなく走りにも力を入れたという。

XGの1.2リッターはソリオと同じ。XTの1.0リッタ―ターボは新開発で111psの性能。1.2優先で開発したため1.0のXTの発売が遅れるらしい。

室内は広い方だ。本革シートはセットオプション。自動ブレーキ機能を持つRBS鵺(レーダーブレーキサポート鵺などが乗員を守る。

 

報告:神谷龍彦
写真:スズキ/神谷龍彦


最終更新日:2016/03/13