アバルト124スパイダー
メイドインHIROSHIMAのイタリアン・ロードスター

 8月5日から7日の三日間にわたり、千葉県の幕張メッセ2・3ホールで日本初のヘリテージカーイベント「オートモビル カウンシル 2016」が開かれている。歴史的な名車が中心だが、メーカー主催の展示もあり、そのなかにはボルボ、FCA、スバル、マツダなどが顔をそろえる。ボルボやスバルも国内初公開のモデルを並べているが、ここではFCAのアバルト124スパイダーを紹介する。
 アバルトはモータースポーツ界では知らない人はいない存在だ(あのサソリマークのクルマです)。この124スパイダーにもその豊な経験とノウハウがいかんなく投入されている。この発表会のために来日したFCA アバルトのデザインヘッドのルーベン・ワインバーグ(もちろん124スパイダーも彼の手による)の言によれば「アバルトの手にかかればすべてのクルマが別物に生まれ変わる!」ということらしい。
 124スパイダーはマツダのロードスターとプラットフォームを共用するものの、全長は145mm、幅と高さはそれぞれ5mm大きい。生産は広島のマツダ本社。メイドイン広島のイタリアンである。しかし、パワートレイン、スタイリング、インテリア、サスペンション、ステアリングはFCAの独自開発だ。
 まずエンジン。1.4リッター4気筒ターボで最高出力は170馬力。これをフロントに縦置きする(ボンネットの膨らみがそれを示唆)。124スパイダーの車重は軽いほうだが、ロードスターよりは重い。乾燥重量1060kg、パワーウエイトレシオは6.2kg/hpになる。かなり立派な数値だ。0-100km/h加速は6.8秒 最高速度は230km/h。速い。
 スタイリングは見てのとおり2シーターオープンカー。これはデザイン担当のルーベン氏お得意の“いい仕事”である。ヘキサゴン(六角形)のグリルや横長のリアランプは、1966年に登場した先代124スパイダーの伝統を引き継いだものだ。ソフトトップの開閉は運転席から片手で簡単にできる。
 スポーツカーにとっては運動性がもっとも大きなポイントになる。124スパイダーは、エンジンをできるだけ後ろに置き、前後の重量バランスの最適化をはかった。同時にサスペンションにもこだわる。フロントはダブルウイッシュボーン、リアは5アームのマルチリンク。ショックアブソーバーはビルシュタイン、ブレーキはブレンボと、聞きなれたスポーツパーツ名が並ぶ。タイヤは205/45R17である。
 発売は10月8日から。価格は、6速MTが388万8000円、6速ATが399万6000円(税込)。レザーシートとナビゲーションのパッケージは21万6000円だ。
報告:神谷龍彦
撮影:佐久間健

1949年生まれのアバルト。一時フィアット傘下になったが、高性能車メーカーとして復活した。

左でプレゼンテーションをしているのがイタリアから来た、デザインチーフのルーベン・ワインバーグ。

六角形グリルは初代124スパイダーからの伝統。ヘッドランプは丸から今日的なデザインに変わった。

この横長のテールランプも初代の伝統を引き継ぐ。シンプレで嫌味がない。

170馬力を発生するフィアット製の1.4リッター・マルチエア直4ターボ。最大トルクは250Nm。

ステアリング中央のサソリマークがアバルトの証し。ナビはレザーシートとのパッケージオプション。


最終更新日:2016/08/06