ワゴンR/ワゴンRスティングレーがフルモデルチェンジし、2017年2月1日に発表発売になった。本来は昨2016年秋にも登場するはずであったが、例の燃費計測の問題が起きたことで遅れたものだ。
新型の大きな特徴としてスズキは4つを挙げている。
①デザインを大幅に刷新し、機能性とデザイン性を両立。
フロントの顔つきは3つある。ワゴンRの通常モデルのFXと上級モデルのFZが異なり、さらにスティングレーが独自のフロントマスクだ。ヘッドランプが四角、横長、縦長とそれに合わせたグリルデザインになっている。
②モーターのみで走行できるマイルドハイブリッドを搭載。
モーターのみで走れるといっても、アイドリングストップ時からブレーキペダルを離した時にクリープ走行ができるだけであり、アクセルを踏めばすぐにエンジンがかかりエンジン駆動になるレベルである。というのもS-エネチャージの発展型のマイルドハイブリッドで、ISGと呼ぶオルタネーターによるベルト駆動のシステムであるから、いわゆるEV走行まではいかない。それでもその意義は大きい。その実現のためにISGの出力を1.6kWから2.3kWに、リチウムイオンバッテリーの容量36Whから120Whに高めている。もちろん電圧は12Vで変わっていない。
なお、クリープ走行は最長10秒間可能。また発進から約100km/hまでの加速時にISGが駆動のアシストをする。ちなみにマイルドハイブリッド搭載のFXの燃費は33.4km/Lを達成している。
③様々な先進安全技術を採用。
デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)をスズキの軽で採用した(一部標準装備その他はメーカーオプション)。これは単眼カメラと赤外線レーザーレーダーによる自動ブレーキ機能、誤発進抑制機能、車線逸脱刑法機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、さらにハイビーム/ロービームを自動で切り替えるハイビームアシスト機能を持っている。このほかヘッドアップディスプレイを軽として初搭載したことも特筆される。
④広くなった室内空間と利便性の向上
室内長が+285mm長くなり室内幅も+60mm広くなっている。また、リヤのラゲッジルームの開口幅と荷室も拡大されている。収納に関してもいろいろ工夫しているが、特筆モノはリヤドア内側に設けた「アンブレラホルダー」だろう(軽初)。濡れたままの傘をそのまま収納しても雨水は車外に排出されるようになっている。
これら4つの特徴とともに紹介しておくべきはプラットフォームの刷新である。「HEARTECT(ハーテクト)」と呼ぶそれは、ボディ剛性を高めながら軽量化を図っている。ボディやサスペンションの軽量化と合わせて車重は従来比20kg軽量化された。
なお、駆動系については従来どおりR06A型エンジンと副変速機付きCVTの組み合わせである。軽ワゴンで唯一マニュアルミッション仕様をそろえていたワゴンRだが、今回の発表の時点ではなかった。ただ、少なくも発売しないという決定もしていないというから、早期に追加してほしいところである。
報告:飯塚昭三
写真:佐久間健
ヘッドランプは3タイプ。FA(107万8920円〜)とハイブリッドFX(117万7200円〜)は四角を選んだ。
上級グレードのハイブリッドFZ(135万円〜)はランプが角型2段式。もちろんグリルも異なる。
スティングレー(129万3840円〜)のヘッドライトは縦型。グリルにはメッキパーツを多用して個性を主張する。
前半はパーソナルスペース、後半は実用スペース。大柄なBピラーによってデザイン的にもはっきり区別する。
テールランプはどのグレードも横型タイプを低い位置に配置する。フロントに比してすっきりしたバックだ。
センターメータを選択。FAはスピードメーターだけだが、他のモデルは左側に小ぶりのタコメーターを配する。
出力を1.6kWから2.3kWに高めたISGと容量を36Whから120Whに増大したバッテリー。
HEARTECT(ハーテクト)と呼ばれる軽量高剛性の新プラットフォーム。最初に採用したのはアルトだった。