アウディ AUDI Q2
アウディのコンパクトSUV。「型破り」だが親しみが持てる。

太いCピラーと上部が抉れたショルダーライン、低い全高(1530mm)がエクステリアの特徴。

リアランプは思いっきり左右に配置した。ルーフスポイラーのおかげでクーペを思わせる外観。

室内の質感もワンランクアップした。バーチャルコクピットは1.0スポーツと1.4にオプション。


エンジンは1.4リッター直4ターボ(写真)と1.0リッター直3ターボ。発売は6月中旬。

ラゲッジルーム容量は405〜1050リッター。リアのレッグスペースも十分。

Q3(右)と。全長4200mm、全幅1795mmは日本にぴったり。ライバルはジュークやCX-3?


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 予想に反して操作系はしっとり落ち着きがあった。最近のコンパクトSUVは軽めの設定が多い。操舵感も乗り心地もだ。そんな中ではQ2の“しっとり”セッティングはむしろ個性的に映る。プログレッシブ・ギアレシオを採用したステアリングのロック・ツウ・ロックはたった2回転。

 でもセンター付近は鈍めだから直進時の操舵に忙しさを強いられることはない。半面、切り込めばグッとシャープになる。ただしこの辺りは山岳路でも走らないと確認しきれない。最小回転半径は5.1メートル。このクラスのFF車としてはいい数値だ。 乗り心地もいい。静粛性も都内での短時間試乗ではまったく問題なかった。少し気になったのは大きな突起を乗り越えるときの後輪の突き上げがやや強いこと。いずれにしても基本的に快適である。超低速での7速エストロニック(VWのDSG=ダイレクト・シフト・ギアボックスと基本的には同じ)の動きも微妙にスムーズになったように感じた。

 試乗したのはパワーの多い1.4リッター・ターボ(150馬力)。街中での加速自体はそれほど刺激的ではない。むしろ好感を持ったのはパワーより250Nⅿ(1500〜3500rpm)のビッグトルクの方だ。乗りやすい。

 「Q3より下のモデルを作れ」

 会社からの指示はこれだけだったとエクステリアデザイナーのマティアス・フィンクは語る。で、当時30歳だったマティスは考えた。そうか、自分がほしいクルマつくればいいじゃないか。ターゲットは30〜40代の都市生活者、1台ですべてをこなせるクルマがいいだろうと。

 デザインのモチーフとなったのは河原に転がっていた石だと彼は言う。表面はあくまでも滑らかでも主張がある。デザイン・テーマはポリゴン=多角形。八角形のフロントグリルもさることながら、もっと大きいのはサイドのショルダーラインだ。普通に引いたショルダーラインを上から六角形に抉り取った。ユニークである。デザインでも「型を破った」。テールライトも思いっきり外側に出した。このため後姿は実寸以上に大きく見える。

 内外の仕上げは定評のあったこれまでのレベルをもさらに超えた。ドアとフェンダーの間はさらに狭くなり、室内の質感も上がった。

 エンジンは1リッター3気筒ターボ(116馬力)と冒頭の1.4リッター4気筒ターボ(JC08モード燃費=17.9km/ℓ)だ。おそらく販売の主流は1.0リッターになると思われる。

 価格は1.0が299万円、1.0スポーツが314万円、1.4スポーツが405万円。このほかに1.4スポーツをベースに特別装備を加えた1st edition(280台限定)が490万円で用意される。いずれのモデルも発売は6月中旬の予定である。

報告:神谷龍彦

写真:佐久間健


最終更新日:2017/04/29