アウディ AUDI Q2
手頃なサイズ。比較的若い層にターゲット・オン!

 アウディQ2は、同社のラインナップで現在もっともコンパクトなSUVとなる。都内などでは、せいぜいドライバーとナビシートにしか乗らないクルマが多いのが実情なのにも関わらず、本当に必要なのか? と疑問がわくほど大きく背の高いクルマが多い中、全長4205mm、全幅1795mm、全高1520mmというサイズは手頃感がある。
 デザインはポリゴン(多角形)がキーワードとなっているという。アウディを特徴づけるグリルは六角形ではなく独特な八角形となった。サイドビューもフロントフェンダー後端からリヤドアまでを六角形に削り落としたようなデザインが印象的だ。Cピラーブレードの色を変えることでポップさを演出するなど、手頃なサイズ感とともに既存のアウディファンだけでなく、新しい若い層を取り込もうという意欲が見える。 搭載されているエンジンは、4気筒1.4LのTFSI(過給機付き直噴エンジン)。これはCOD(シリンダーオンデマンド)と呼ばれる気筒休止システムを採用している。具体的には負荷が100Nm以下の運転領域と1400rpm〜3200rpmで無負荷走行をしているときに2番と3番のシリンダーを休止し、1番、4番のシリンダーはバルブの作動を変更することにより効率を高めているというもの。最高出力は110kW(150PS)/5000-6000rpm、最大トルクは250Nm/1500-3500rpmとなる。これに7速Sトロニックトランスミッションが組み合わされる。
 駆動方式は今回のQ2に関してはFWD。本国にはクワトロの設定はあるが、現在日本には導入されていない。サスペンションは前輪がマクファーソンストラット、後輪がトーションビームというFWDとしては標準的なものだ。

軽量ボディとシャープなステアリング。意外に軽快な走行感。
 試乗した感想は、「意外に? 軽快」というもの。特に直前に乗ったのがアウディA5クワトロという、典型的なアウディの重厚な走りを体感した後という面も割り引かなければいけないとは思うが、比較的軽量な1340kgというボディを150PSで引っ張るということでアクセルレスポンスも良好。前述のとおり特に高級な? サスペンション形式を採用しているわけではないが、22%に超高張力鋼板を採用した剛性の高いボディシェルと相まって、スポーティな走りを実現している。
シャープというほどではないが、特に舵角一定で中速コーナリングをしているときなどは気持ちよい走りができた。それなりのスピードでコーナーに入っても、大きなロールも感じさせず、軽量なボディと相まってドライビングを楽しめるものとなっている。ロックトゥーロックが2回転というステアリングギヤレシオも軽快感に一役かっているように思えた。乗り心地はリヤを中心にやや硬さを感じさせるが、好みの問題の範囲で、個人的にはこのくらいでいいのではないか? と思った。
 やや不満に思えたのは後部座席のスペース。これはボディサイズを考えると致し方ない部分ではあるが、後席の足元はかなり窮屈だ。冒頭に書いたように、フル乗車するという機会がそれほど多くない都市部のコミューターと割り切れば、欠点とまでは言い切れないだろう。そうした向きにはQ3以上のグレードが用意されているとも言える。
 エンジンの気筒休止に関しては、低負荷の状態などでかなり頻繁に行われているようだが体感できるものではない。メーターパネルのインジケーターを見ることによって確認ができるだけだ。2気筒ということで振動や騒音の心配があるところだが、それが完璧に近い形で抑えられている。また、気筒休止だけではなく、下り坂をアクセルオフで走っていると1800rpm当たりからエンジンブレーキが強くかかっているような感覚がする。これはオルタネーターによるエネルギー回生によるものと試乗後に広報から説明があった。JC08モード燃費は17.9km/Lということで、燃料消費を抑えるのに一役買っているように思える。
報告:飯嶋洋治
撮影:佐久間健

低負荷時と1400rpm〜3200rpmの無負荷走行時には2番と3番のシリンダーを休止。さらに回生も。

ランプを目いっぱいサイドに出した後姿。リヤがやや硬く感じられたのはスポーツサスのせいかも。

試乗車は1.4べースで280台限定の「1st edition」。価格は490万円。発売は他モデル同様6月中旬。

サイド上部の六角形のエグレがお分かりいただけるだろうか。1st editionのタイヤは18インチ。

オプションのナビ・パッケージのほか、10色から選べるアンビエントライティング(専用)等を装備。

試乗車は1.4だったが、3気筒の1.0(116PS)も用意されていた。でもナンバーなしで試乗不可。


最終更新日:2017/05/19