三菱ふそうトラック・バス MITSUBISHI FUSO TRUCK & BUS
スーパーグレート

21年ぶりのフルチェンジ。ヘリポートで発表会敢行。
観光バス「エアロクイーン」「エアロエース」も発表

 三菱ふそうトラック・バス(株)が満を持して新型「スーパーグレート」を発表した。エンジンやトランスミッションも新設計で、経済性、安全性、快適性、さらにコネクティビティを追求して開発したという。パワーユニットは10.7Lと7.7Lの2種で、全くの新設計。10.7Lの「6R20」型は従来の12.8Lエンジン以上の低速トルクを発揮するとともに全回転域でパワフルになっている。出力特性の違いで3種の仕様がある。エンジン重量も従来エンジン比で約170kg軽量化されている。
 7.7Lの「6S10」型は従来の12.8L直6の「6R10」から排気量を40%縮小している。2ステージターボを採用し高速での力強さと低速での応答性の良さを両立している。両エンジンとも噴射圧は従来の210MPaから240MPaに高められている。NOxに対しては尿素SCRを採用しているが、アドブルーの噴射装置を新しくし、その消費量も抑えられている。
 Shift Pilotと名付けられたトランスミッションはAMTすなわち自動クラッチによるマニュアルトランスミッションで、2ペダル式である。ステアリングコラム左のレバーにセレクトのダイアルがあり操作も簡単容易。前進12段、後退2段で、クリープ走行ができるのも特徴だ。
 オートクルーズの付加機能としてのオプション設定だが、GPSと3D地図情報いよって道路勾配を予測し、アクセル開度や最適ギヤ段を自動的に選択する機能があり、燃費向上に貢献している。
 大型トラックにとって安全性は重要事項だが、スーパーグレートも従来のシステムをさらに強化、衝突の危険を察知した場合に警報ブザーやディスプレイ表示とともに、自動ブレーキを作動させる「AMB plus」を装備。これをさらに発展させた「ABA4」は歩行者の衝突のリスクを検出した場合も、自動ブレーキによる減速操作を行う。左折時の巻き込み事故を防ぐためのシステムも備えている。「アクティブサイドガード・アシスト」は車体の前方と後方に向けた2つのミリ波レーダーで左側面を監視し、歩行者や自転車を認識すると助手席側前方ピラー部のランプが黄色に点灯する。ドライバーが左ウィンカーを操作、または左へハンドルを切るとランプは赤色に点滅するとともに、警報ブザーが鳴って左折の中止を促す。
 一方、ドライバーの運転注意力を判断する機構も装備している。「アクティブ・アテンション・アシスト」はダッシュボード上に取り付けたカメラにより、ドライバーの顔の向きや動きを捉え、脇見やまぶたの動きを感知して注意力低下を判断、警報ブザーとディスプレイ表示で注意を促す。
 ドライバーにとっての快適性向上も数々の工夫があるが、「プロキシミティー・コントロール・アシスト」は従来機能を大幅に向上させている。従来の「車間距離保持機能付きオートクルーズ」との違いは、前走車に合わせて自動的に停止状態まで追従する「自動停止機能」と自車が停止後2秒以内に前走車が発進した場合に自動的に追従走行を開始する「自動発進機能」が追加されている。ちなみに6R20(T2)エンジン搭載の型式2PG-FU74HZの価格は2105万2440円。
 なお、新型スーパーグレートの発表とともに、国内大型観光バスの新型「エアロクイーン」と「エアロエース」の発表もあった。こちらは直列6気筒7.7Lの「6S10」型エンジンと8速AMTを全車搭載している。スーパーグレート同様2ペダル式で、マルチファンクションレバーのダイアル操作でドライブモードをセレクトするのも同じで、運転操作を容易、快適にしている。
報告:飯塚昭三
写真:三菱ふそう/佐久間健

当然だが乗用車とはスケールが異なる。エンジンは直列6気筒ながら排気量は10.7Lと7.7L。10.7Lのトルク2000Nm〜2100Nm、7.7Lでも1400Nmもある。

従来の12.8Lに代わって新開発された10.7Lエンジン。小型軽量化されたにも関わらず動力性能は向上、環境性能も進化している。ほかに7.7Lエンジンもある。

新開発されたAMTは「Shift Pilot(シフトパイロット)」と呼ぶ12速機械式自動トランスミッション。クラッチ操作の必要のない2ペダル方式である。

インパネ。この写真では見にくいが、走行モードのセレクトはステアリングコラムに設けられたマルチファンクションレバーのダイアルを回して行う。

なんと言っても21年ぶりのモデルチェンジ(トラックではわりと普通だが)、気合が入る。スーパーグレートの前に立つ、CEO兼のマーク・リストセーヤ社長と開発責任者たち。

こちらはバス「エアロスペース」のインテリア。さすがにゆったり快適そうである。ちなみに価格は4600〜4900万円台だ。


最終更新日:2017/05/28