日産セレナ e-POWER
NISSAN SERENA e-POWER

ノートで大成功を収めたe-POWER搭載車を追加

 日産はセレナのパワートレーンを全面的に変更した「セレナe-POWER」を発売した。5代目になる現行のセレナも歴代のセレナ同様、好調な販売実績を持つ人気ミニバンだが、それにノートで大成功を収めた「e-POWER」搭載車を加えたわけである。
 しかし、1.2Lのノートと2.0Lのセレナでは車格がちがうので、ノートe-POWERのユニットをそのまま移植しただけではない。エンジンはHR12DEで同じだが、駆動モーターの出力を高めている。ノートe-POWERのモーターの出力/トルクは80kW/254Nmに対し、セレナe-POWERでは100kW/320Nmと、出力で20kW、トルクで66Nmほど高めている。実はモーターの出力を高めたといっても、EM57というモーターの形式は同じである。なぜ出力が増したかというと、そこに流す電力量を増やした結果である。もともとEM57はリーフで使っているモーターで、リーフもモデルチェンジ時に従来の80kWを110kWに上げている。すなわちEM57はもともとポテンシャルの大きなモーターであった、言葉を替えれば旧リーフやノートe-POWERにはオーバークオリティであったともいえる。
 次にセレナのエンジン駆動車(スマートシンプルハイブリッド車)とe-POWERを比べてみる。エンジン駆動車の最高出力は110kWに対し、e-POWERのモーターは100kWとやや低いが、最大トルクではエンジン駆動車の200Nmに対しe-POWERでは320Nmと圧倒的に大きい。これこそがe-POWERの特徴だ。燃費は同じ「X」グレードでエンジン駆動車が17.2km/L、e-POWER車が26.2km/Lと大きな差があり、クラストップレベルを達成している。
e-POWERの第2弾、セレナのさらなる拡販を狙う
 モーターの特性であるゼロ回転からの大トルクを持つe-POWERだから、レスポンスの良い加速性能とともに静粛性も備えている。また、ノートe-POWERと同様、強い回生ブレーキによりブレーキペダルを踏む機会を減らしたワンペダル感覚の運転もできる。日産はこれを「e-POWER Drive」と呼んでいるが、通常の加減速度の「ノーマルモード」も選べる。今回のセレナに加えられた機能としては、深夜に帰宅する場合にバッテリーとモーターだけで走行する「マナーモード」や、そのマナーモードをフルに活用できるよう事前に充電しておく「チャージモード」の設定がある。
 エクステリアデザインではe-POWERを象徴するブルーアクセントを随所に施しているほか、ルーフサイドスポイラーを新たにデザインし、空力を向上させている。インテリアではシフトレバーが「シフトバイワイヤー」となったことでデザインが変わるとともに、操作方法も変わった。すなわちプリウスなどと同方式だ。
 運転支援の先進技術「プロパイロット」はグレードによりメーカーオプションで装備できる。また踏み間違い衝突防止アシストもメーカーオプションで用意されている。衝突回避・軽減支援の「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」、「車線逸脱警報」、「ハイビームアシスト(自動切替え)」は標準装備だ。キャップレス給油口は他社にあるが、日産車としては初めて採用した。価格は296万8920円〜340万4160円。(2018年3月17日改訂)
報告:飯塚昭三
写真:怒谷彰久


最終更新日:2018/03/11