プジョー207CC GTはパワフルな1.6リッターDOHCターボチャ−ジャ−ユニットを搭載する。これに組み合わされるトランスミッションは5速MT。と言ってしまうと、ATが主流の現代では、「ちょっと乗り難い?!」というイメージが浮かぶが、これは即座に否定してしまおう。
 このエンジン、実は1300rpmから既に最大トルクを発揮してしまう優れモノで、高めのギアに放り込みっぱなしにしてズボラ運転を決め込んでも、スイスイとまるで浅田真央チャンのような見事な滑走?を披露する。反面、その気になれば強力なタ−ボパワーを利してのスポーツドライビングも可能だから、海辺のワインディングロードを豪快&爽快にカッ飛ぶこともOK!!  ただ3回転半のジャンプ?! などという高難度の技は、無論御法度ではありますが……。

 

 今回のドライブでとても好い印象を得たのがシート。いかにもフランス車らしい、ソフトライドな感覚を持つそれは、1日中座り続けていても全く疲れ知らずでいられる。身体を優しく包み込んでくれるソフトなクッションを与えられているのだが、支えるべきところはきっちりと支え、700キロ余りを一気に走破した後も疲労を全く感じなかったのだから、これは凄い!!
 シートの良さをより際立たせているのが、縁の下の力持ちである足回りだ。
150馬力のターボパワーを存分に支えるシッカリ感を持ちながら、それでいてネコ科の動物のような、えも言われぬしなやかさを具現しているのである。潮風で荒れてしまった路面を強行突破しても、キャビンに強い衝撃は全く伝わらず、平穏なドライブ気分を損ねるなどという野暮も起こらない。
 だが、このサスは実はとんでもない実力の持ち主でもある。
ターボがフル過給ゾーンに到達した途端に、それまでのネコ足的な穏やかな挙動は影を潜め、まるで秀逸なラリーマシンに変身したかのようなハイレベルな運動性能を示すことになる。この魅力の虜になって、海岸線の屈曲路を異次元的速度領域の中で走らせるのがクセになってしまっては、ちょっと困るのだが……。

 

ソフトでホ−ルド性に優れるフロントシート。長時間座り続けたが、疲れは全く感じなかった。

 207CCはその名の通り、いわば全天候型カブリオレ・ボディが特徴。電動のリトラクタブルルーフをリアのトランクスペースに仕舞い込んだ時の開放感は、他のクルマでは味わえないものであり、このクルマの絶対的なアドバンテージとなっている。
 カブリオレだが、風の巻き込みによる乗りづらさとは無縁だ。スピ−ドメ−タ−上で3ケタの高速域でも、サイドのガラスを上げてしまうことで室内への風の侵入は効果的に抑え込むことができるし、真冬でさえヒーター温度を少し上げてブロアー量を増してやれば、そのまま走り続けても寒さで凍えることはない。ちなみにルーフ開閉に要する時間は僅か25秒と短く、信号待ちの間に屋根を取り払うなどという芸当もできてしまう!!

 

プジョー207CC GTには広大なトランクルームが備わる。ルーフはここに収納されるが、それでもラゲッジスペースはゆとり十分だ。

 オープンカーは非実用的などと考えるのは、いまや時代遅れの感覚。風の影響を極力抑え込み、日常使用にも十分に対応出来るラゲッジスペースを確保しているのが207CCだ。ル−フを折り畳んでリアのトランクに仕舞い込む複雑なボディ構造を持っているが、この状態でもトランクにはちゃんと実用的な空間が残される。ルーフをクロ−ズしてク−ペ状態に戻したときにはトランクスペースはさらに拡大するから、旅先で土産物をしこたま買い込んでも困ることはない。
 リアシートの存在も、こんな時の助け舟となるハズ。ここは子供2人が風と戯れながら過ごすことができる素敵な空間なのだが、旅行用スーツケース4つくらいは楽に放り込める容量があり、GTとして十分な資質を持っている。

 ■INDEX ■光の妖精が躍る海へ  ■<お役立ち!!>♪♪見どころ 食べ処♪♪ ■長く付き合って再認識したプジョ−207CC GTの真価と奥の深さ 

 ■プジョー 207 Cieloの猫アシに魅了され続けた720キロの旅 ■個性豊かなバリエ−ション展開と高い基本性能が魅力です!!