猫アシと優れたシート形状により、クラス随一の乗り心地を誇る。

 

 

 

 

 

 

 

207Cieloのリアシートは寸法的に全く不満はない。シートバックはもちろん可倒式。

 

 かつて、プジョーのサスペンションは、猫アシと呼んでいた。そのしなやかなサスペンションの動きを、「ライオン」ならぬ「猫」に例えていたのだ。その猫アシがグレードアップして207に採用されている。猫アシの特徴は路面をキッチリと捉えながら、路面からのショックをいなし、心地よい乗心地を提供する。
 それでいてハンドリングはシャープで、狙ったラインを外すことはない。中でも高速道路の追い越しなどに伴うレーンチェンジの挙動が好ましい。スポーツカーなどは、ボディのロールが少ないほどシャープなハンドリングとして評価されることが多いもの。207は適度なボディロールを伴いながらシャープにコーナリングする。その様子は、ゆったりとしていることで鈍い挙動と思われがちだが、意外にコーナリングスピードは速いのだ。ボディロールのコントロールが巧みなことが、サスペンションの固さを感じさせず、パッセンジャーも含めて気持ちの良いコーナリングを楽しむことができる。この長所は、もちろん今回の旅でも十分に発揮された。取り回しが素直な分、1日中走り続けても疲れは感じず、あらゆるシチュエーションでとても楽しいドライブが味わえた。猫アシ、恐るべし!!

 

 プジョー207Cieloに搭載のエンジンは、1598ccのDOHCで最高出力は120ps/6000rpm、最大トルク16.3kg−m/4250rpmを発生する。これに4速オートマチックが組み合わされている。このコンビネーションには特別の仕掛けがあるワケではないのだが、徹底して気持ちの良いドライブを提供することに注力している。そのポイントがトルク特性。1600ccのエンジンとしては比較的余力のあるトルクを発生しているが、最大トルクに近い性能を広い回転域で発生していることが気持ちの良いドライブを提供するポイント。登坂時に変速を頻繁に繰り返させないことがドライバー&パッセンジャーにストレスを与えない。ある意味、この絶妙とも言えるセッティングは、長距離を走る時も強い味方となるはず。右足の動きにスムーズ&シャープに応えてくれるから、何百キロでも無意識の内に走れてしまう。実用車のエンジンはかくあるべき、という見本のような秀逸なパワーユニットであった。ということで、このクルマを誘い出して、もう一度、何処かへ行きたくなった!!

 さてさて、ここで難題に直面。あなたなら207CieloとCCのどちらを選びますか? 瀟洒で実用的なHBボディを選ぶか、はたまたフランス流のエスプリに溢れた注目度抜群のCCをチョイスするのか…。
ま、どちらを選択するにしても、プジョー207はお洒落なカーライフを演出するためのよき伴侶となるのは間違いないのだが……。ウ〜ン、困ったなぁ!

 

 今回の総走行距離は207Cielo、207CC GTとも2日間で約730kmを走破した。
往路は東京・青山を起点に首都高速→アクアライン→木更津→富浦→勝浦→九十九里→大洗→那珂湊→東海村→日立の430km区間で、Cieloが31.74リットル、CC GTが31.01リットルを消費した。1リットル当たりCieloが約13.55km、CCが約13.87kmを走った計算だ。
帰路は日立→鵜の岬→常磐自動車道→成田→東関東自動車道→館山自動車道→アクアライン→首都高速→都内の経路でCielo295.4km、CC297.1kmを走行し、各々13.24km/L、13.69km/Lをマーク。全行程トータルではCieloが13.07km/L、CCが13.76km/Lとなり、ともに1.6リッタークラスの実用車としては十分以上の経済性を実証した。
CieloとCC GTの燃費差は、単純に比較すればATとMTの差がそのまま表れたと言えるのだが、面白いのは燃費面で不利と言われるタ−ボエンジン付きCC GTが、NAのCieloよりも僅かながら優れた経済性を立証したことである。ごくごく低回転から効果的なトルクを発生するターボユニットの優秀性と優位性が端的に出たワケで、こうなると『ドッチを選ぶか』またまた頭の中が混乱する!?

 ■INDEX ■光の妖精が躍る海へ  ■<お役立ち!!>♪♪見どころ 食べ処♪♪ ■長く付き合って再認識したプジョ−207CC GTの真価と奥の深さ 

 ■プジョー 207 Cieloの猫アシに魅了され続けた720キロの旅 ■個性豊かなバリエ−ション展開と高い基本性能が魅力です!!