ルノー ルーテシア

WRCで大活躍“マシン”の変身ぶりはいかに?

エンジン音は静か、乗り心地もパワーモード以外ならいい。一般走行はエコで十分かも。

一見マイナーチェンジのようにも見えるが完全な世代交代。世界レベルでも名機だ。

トランクスペースは330リッターから391リッターに増えた。床板は上下2段階式。


インパネの質感は素材も向上(表面がソフトになった)。センターコンソールは高めに。

現地ではディーゼルも含めて5種類あるが日本は直噴4気筒ターボのみ。コレがいい。

トランクの側面にBoseが開発した薄いサブウーハーを組み込む。スペーを取らない。


※画像クリックで拡大表示します。

 ルノー・ルーテシアと言えば、ヨーロッパではルノー・クリオと呼ばれ、WRCやヨーロッパ選手権などで大活躍しているFFマシンだ。そのルーテシアがフルモデルチェンジ。ラリーをたしなんでいる身としては大いに気になる1台でもある。

ドッカンターボの迫力と意外な気難しさ

 やはり気になるのはその走りっぷり。エンジンは1.3リッター直噴ターボ。いわゆるダウンサイジングターボだ。ただ、最近のこのクラスの国産ターボは3気筒が多いが、このルーテシアは4気筒。3気筒が多い軽自動車特有のエンジン音はないし、静粛性も高いのは個人的には好感が持てる。
 エンジンの出力モードはパワーモード、エコモードに加え、ハンドルの重さやメーターデザインを自由に選べるマイ・センスモードの3モード。特にパワーモードはかなり速い。
 ただ、パワーモードではいわゆる「ドッカンターボ」になる。交差点などでアクセルを踏み込むとハンドルがとられるトルクステアも発生しやすく気は抜けない。
ワインディングやサーキットを攻めるなら別だが、街中を普通に走るだけならエコモードかマイ・センスモードでハンドルの重さもコンフォートという最も軽くなるモードで走行した方が乗りやすいかもしれない。
 駆動系ではデュアルクラッチを使用した7速ミッションを搭載。システムとしてはワーゲンのDSGと同じで、通常のDレンジで走行することもできるが、シフトレバーはそのままでパドルシフトによる変速も可能だ。何より変速ショックがほとんど感じられないのは快適性という点でもスグレモノだろう。

ライバルに負けない、充実した安全性能
 ハンドリングに関しては、良く言えばニュートラルステアでステアリングに対して素直に動いてくれるが、悪く言えば可もなく不可もなく、というフィールか。乗り心地は悪くないのにコーナリングでは踏ん張ってくれる味付けはヨーロッパ車特有のものかもしれない。ボディも横幅1725mmの3ナンバーボディだが、車重は1200kgと最近のボディにしては軽い方。それもハンドリングに好影響を与えているのかもしれない。
 安全面ではアダプティブクルーズコントロールをはじめ、レーンセンタリングアシストや360度カメラによるアラウンドビューモニターやオートライト、車線逸脱警報など、最近の車種に装備されているほとんどのものが装備されている。
ただ少し気になったのがオートブレーキ。センターコンソーにあるこのスイッチをオンにしておくと、信号などで停止した際に自動で3秒間サイドブレーキを作動させてくれる電動サイドで、発進の際はアクセルを踏み込むと自動で解除される仕組み。
だが、モーターのレスポンスが悪いのか、サイドの解除が遅く発進がワンテンポ遅れてしまうのが気になった。もちろん、オートブレーキを使用しなければ、通常と変わらないレスポンスで発進できるので問題はない。

報告:若槻幸治郎
写真:佐久間 健

最終更新:2020/12/19