ホンダN-ONE e:に試乗〜電気の軽でもホンダらしさ十分

横浜市内を軽快に走るN-ONE e:の「e:L」グレード。ワンペダル走行で完全停止までできるので、とても運転しやすい。

N-ONE e:の「e:L」グレード。全長3395mm、全幅1475mm、全高1545mm。最近の背の高いスーパーハイトワゴン系の軽自動車を見慣れた目には、コンパクトに見えるその姿が愛らしい。ホイールはアルミで、フロントには急速と普通の2つの充電口が備わる。

9インチホンダコネクトナビや皮巻きステアリングホイールなどを装備する、上級版の「e:L」グレードのインテリア。


鉄チンホイールを装備するスタンダード版の「e:G」グレードのエクステリア。標準仕様では急速用の充電口は備わらない。

ディスプレイレスのシンプルさが自慢のe: Gグレードのインテリア。再生可能な植物由来原料を使用したダッシュボード、無染色表皮のシート、ホンダの作業着を再利用したカーペットなどを使用している。

インバーター、モーター、ギアボックスで構成するコンパクトなe-Axleパワーユニットをフロントに搭載。モータトルクとギア比を掛け合わせた駆動トルクはライバルを大きく凌ぐという。


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 ホンダの軽BEV「N-ONE e:」のベースモデルは、ご存知の通りガソリンエンジン搭載の軽自動車「N-ONE」。また日本国内で販売されるホンダ製乗用BEVとしては、すでにディスコンとなってしまった「ホンダe」に続く二番目のモデルだ(商用版BEVとしてはN-VAV e:がある)。横浜市内の一般道と高速を走ってみた。

N-ONEと同じサイズをキープ
 
 N-ONE e:のボディーサイズは全長3395mm、全幅1475mm、全高1545mmで、ベースとなったICEのN-ONEと全く同じサイズを実現しており、背が低くて小さくて、2BOX車らしくてとっても好ましい。丸い2眼のフロントフェースには普通と急速の給電口があり、樹脂のグリル部分は廃棄されたホンダ車のバンパーのリサイクル素材を使用している(N-VAN e:もこれだった)。一方、N-ONEと同じサイズでもe:モデルはリアの造形が異なり、リアガラスとテールゲートが空力を意識した綺麗な R(曲面)で整形されていて、最新のBEVらしさをアピールしているのが特徴だ。
 パワートレーンは、最高出力64PS、最大トルク162Nmを発生するフロント駆動用のモーターと、容量29.6kWhのリチウムイオンバッテリー。一充電の走行可能距離は295kmを実現している。


ホンダ車らしい走りができる

 N-ONE e:には、アルミホイールや9インチホンダコネクトナビ、皮巻きステアリングホイール、急速充電機能などを標準装備する上級版の「e: L」(319万8800円)と、鉄チンホイールとディスプレイなしのシンプルな室内で構成したスタンダード版の「e: G」(269万9400円)の2グレード構成。
筆者が乗ったのは前者の方で、フラットなダッシュボード下に配置されたボタン式のシフトセレクターで「D」を押してやれば、N-ONE e:はするすると街中に滑り出す。BEV車によくあるドライブモードボタンや回生をコントロールするシフトパドルなどは装備されず、運転に集中できる。あるのは、アクセルペダルの操作だけで加減速と完全停止までが行える「シングルペダルコントロール」ボタンだけで、これを押してやれば「オートマチックブレーキホールドからシングルペダルコントロールに切り替わりました」の文字表示が出て、ペダルの表示部分が緑色に変わる。街中でアクセルをポンッと離すとブレーキランプが点灯する様子がメーターに表示され、それが目視できて後続車にブレーキングしていることを伝えているのがわかるのは安心材料だ。減速は上手に行われ、すぐに慣れて狙った位置に停車できるようになる。
 加速するレベルはかなりのものを持っていて、信号からのゼロスタートで制限速度までなら、普通車を簡単に後にすることができるほど。また高速の合流では躊躇なく流れに乗ることができ、首都高のタイトなコーナーでも低重心を生かして、大きなロールを見せることなく出口に鼻先が向いていく。これはもうホンダ車ならでは、という走りが味わえた。
 一つだけ気になったのは、バックする時。R(リバース)操作だけがD、N、Pのようなボタンではなくレバーを引くタイプなので、急な操作の時にちょっと戸惑った。

ターゲットは40代〜50代の女性(+20代女性)

 もう1台のe: Gグレードは、「朝、子供を保育園に送った後職場に通勤し、仕事が終わると子供を迎えに行ってスーパーで買い物し、自宅に戻る」などといった短距離かつ同じルートを毎日走る多くの女性(当然男性もいるけれど)がメインターゲットだという。マイカーには「高価なナビや“墓石”のように見える(笑)大きなディプレイが不要」との意見を取り入れた仕様で、言われてみればそれもよくわかる。しかし、先ほどのような走りを堪能してみると、40代〜50代の女性(+20代女性)だけがターゲットというのはもったいない、と思ったのも確か。
 四輪開発本部の渡邊伸一郎チーフエンジニアによれば、ターゲットの40代〜50代の女性(+20代の女性)が運転することを考えて、不安にならない加速感だったり、交差点で曲がる際にハンドルの持ち替えを少なくできるクイックなステアリングだったりで対応。静粛性に関しては、路面が変わることで変動する音の量や質をなるべく少なくすることで、EVらしい静粛性を実現したそうだ。また、ホンダのEVは「後発」ということをよく聞くけれども、それはこれまでのものが単に台数が出なかったというだけで、技術はしっかりと磨き続けてきたという。

ホンダの充電環境も改善中

 ホンダのEV環境について話を聞いたのは、ホンダセールスオペレーションジャパン充電ネットワーク課の中西正明チーフ。給電用のAC外部給電器や、一般家庭で使用可能な200V普通充電器「Honda EV Charger」(22万2200円 工事費別途)を純正品として発売したほか、店舗用の充電ネットワークサービス「Honda Charge」(出力50kW)の設置・提供が9月12日からついに始まったという。スマホに「Honda Charge」アプリを入れてユーザー登録しておけば、店舗検索や予約取り置き(60分間まで)が行える。今回はN-ONE e:の試乗を兼ねて、チャージャーが設置してある「Honda Cars横浜 都筑中央店」に向かってみた。
 充電スペースの中央には入庫をコントロールする黄色いスマートバリアがあり、それが倒れていることを確認してケーブルを繋ぐのだが、高速SAのようにそのスペース面が緑色に塗られるなどの識別がなされておらず、充電器も真っ黒に塗られているのでちょっとわかりにくいな、というのが素直な印象だ。
 一方で、プラグを差し込むだけで自動でユーザー認証・充電・決済するプラグアンドチャージシステムなので、カードやスマホでの認証操作が不要になるのはいいところだと思った。(了)

報告:石原 彰

最終更新:2025/11/05