アウディの最新エンジン車&BEV、Q5とA6 eトロン

第3世代にフルモデルチェンジされた、アウディのミッドサイズSUV、Q5。クーペSUVのQ5スポーツバックも設定される。

スタイリングは従来型のイメージを踏襲しているが、シルエットはより立体的になり力強くなった。

試乗車はSラインパッケージ装着車。上下をフラットにしたステアリングホイールやスポーツシートなどを装備する。


204psと400Nmを発生する2Lの直4ディーゼルターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせる。

流麗な4ドアクーペのA6スポーツバック eトロン。Cd値は、アウディ史上でもっとも優れた空力性能となる0.21を達成。

助手席前までディスプレイが並ぶ、近未来的感覚のA6スポーツバック eトロンのコクピット。バーチャルエクステリアミラーはオプション。


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 日本市場においても車両だけでなくインフラまで含めて電動化を進めるアウディだが、エンジン車のニューモデルも忘れてはいない。エンジン車とBEV(バッテリー電気自動車)で拡販を進める、そんなアウディの最新モデル2台を試乗してきた。

Q5の人気の秘密は、乗ってみれば分かる

 3代目にフルモデルチェンジされたアウディのミッドサイズSUV「Q5」。全世界で初代は160万台、従来型の2代目も110万台を販売し、いまやアウディで最も売れているモデルのひとつだ。スタイリング的には従来型のコンセプトを継承しているが、シルエットはより立体的で力強くなった。ボディサイズは全長が少し長くなったものの全幅は同じ、全高はわずかに低められたが、従来型とほぼ変わらない。

 ボディタイプも従来型同様、コンベンショナルなSUVとクーペSUVのスポーツバックが設定される。パワートレーンは2Lの直4ガソリンターボ/2Lの直4ディーゼルターボ/3LのV6ターボの3種で、いずれも48Vマイルドハイブリッドを組み合わせる。

 また、ブレーキペダルとブレーキの油圧システムが完全に切り離されている統合型ブレーキ制御システムや、ブレーキトルクベクタリングなどを搭載したPPC(プレミアム プラットフォーム コンバッション)を採用した初のSUVとなる。

 今回試乗したのは、日本では最も売れ筋になると思われるディーゼルターボを搭載したSUVの「Q5 TDIクワトロ 150kW アドバンスト」だ。試乗車は19インチタイヤやドレスアップパーツなどのSラインパッケージも装着していた。

 Sライン専用のスポーツシートに座ると、目の前には2つのディスプレイによるメーターパネルが展開する。インフォテインメントなどはタッチパネルで操作でき、かつてのダイヤル式MMIよりは扱いやすい。

 ディーゼルエンジンにスターター/ジェネレーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドは、発進時はモーターでスッと出てからエンジンが立ち上がる。マイルドハイブリッドゆえモーター走行はほとんどできないかと思われたが、充電量が十分なら静かな発進を試みれば36km/hくらいまでモーター走行が可能だった。

 ガソリンターボよりは低速域からトルクが出ており、しかもレスポンスも良い。ディーゼルエンジン独特の音は多少は感じるが、ほとんど気にならない。今回は郊外路が中心の試乗で高速走行は試していないが、Sラインのワイドな低偏平タイヤを装着していても乗り心地は良く、しかも締まった感じを与えてくれた。

 また前述の統合型ブレーキ制御システムにより、初期の減速ではアクセルペダルを戻すと摩擦ブレーキを使わずに回生ブレーキのみで行い、それからブレーキペダルを踏むと摩擦ブレーキが作動するが、その感触は変わらない。これはなかなか優れものだった。

 日本の街中での取り回しを考えると、これくらいのサイズまでが扱いやすい。アウディらしい洗練されたスタイリングに充実した装備、室内やラゲッジルームの広さも十分で使い勝手も高い。世界的にも日本でも、いちばん売れるアウディがQ5だというのは、実際に乗ってみると納得できるだろう。


■ アウディ Q5 TDIクワトロ 150kW アドバンスト 主要諸元

●全長×全幅×全高:4715×1900×1655mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:2000kg
●エンジン種類:直4 DOHCディーゼル+ターボ
●総排気量:1968cc
●エンジン最高出力:150kW(204ps)ps/3800-4200rpm
●エンジン最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1750-3250rpm
●モーター最高出力:18kW
●モーター最大トルク:230Nm
●WLTCモード燃費:16.1km/L
●燃料・タンク容量:軽油・68L
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●タイヤサイズ:235/55R19(Sラインパッケージ)
●車両価格(税込):788万円(Sラインパッケージは26万円)


スタイリッシュで走行距離も長い、A6スポーツバック eトロン

 以前に当サイトで石原氏がインプレッションを紹介したQ6 eトロンに続く、PPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)の2モデル目となるのがA6 eトロンだ。なお、今回の試乗会ではQ6 eトロンやA5(これも以前に当サイトで武田氏がインプレッションを紹介)も試乗したが、ここでは割愛しておく。

 さて、A6 eトロンはプレミアム アッパーミドルサイズのBEVだ。車名のA6が示すようにQシリーズのようなSUVではなく、4ドアクーペのA6スポーツバック eトロンとステーションワゴンのA6アバント eトロンの2タイプがあり、セダンは設定されていない。今回試乗したのは、A6スポーツバック eトロン パフォーマンスで、こちらもSラインパッケージを装着していた。

 アウディ BEVのフラッグシップであるeトロンGTをも彷彿とさせる4ドアクーペのスタイリングは、なかなか流麗だ。床下に駆動用バッテリーを搭載するBEVは、どうしてもボディ下半分が厚くなってしまい、セダンタイプではデザインが難しくなるのだが、このA6スポーツバックではサイドシルのブラックインサートでバッテリーを強調することで、うまくデザインを処理している。

 インテリアは最新のアウディらしく、メーターディスプレイとタッチディスプレイ、そしてオプションの助手席用ディスプレイがデジタルステージを形成して、まさに近未来的感覚のコクピットだ。ARヘッドアップディスプレイ(オプション)はフロントガラスに速度や標識、ナビゲーションなどの情報を200m先に焦点を合わせた位置に仮想表示し、これがすごく分かりやすい。

 試乗車は後輪のみをモーターで駆動するRWDで、それゆえ鼻先が軽く、軽快に向きを変えてくれる。全長は4.9m、全幅も1.9mを超える大柄なボディを感じさせない。SUVよりも視線は低いが、視界は良く運転はしやすい。

 Sラインの20インチタイヤを履いているとは思えないほど乗り心地は良く、また当然ながらエンジン車よりは遥かに静かで、しかも力強く加速する。回生ブレーキはパドルシフトでコントロールできるが、この段階も適切で加減速は大げさに言えば「思いのまま」という感じだ。

 このA6スポーツバック eトロン、一充電走行距離は769kmを達成している。オプションのレンジプラスパッケージを装着すれば、これは846kmとなり、現在の日本国内では最良の一充電走行距離を達成するEVになるという。

 4ドアクーペだがリアにはハッチゲートも備え、ワゴン的にも使える。よりラゲッジスペースが欲しいなら、ワゴンのアバントもある。車両価格はそれなりだが、補助金などの制度もある。SUVではない、スタイリッシュなBEVを探しているなら、このA6スポーツバック eトロンはひとつの選択肢になるだろう。


■ アウディ A6スポーツバック eトロン パフォーマンス 主要諸元

●全長×全幅×全高:4930×1925×1470mm
●ホイールベース:2950mm
●車両重量:2230kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:270kW(ローンチコントロール起動時:290kW)
●最大トルク:565Nm
●バッテリー総電力量:100kWh
●WLTCモード航続距離:769km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:前235/45R20、後265/40R20
●車両価格(税込):981万円(Sラインパッケージは65万円

(報告/写真:篠原 政明)

最終更新:2025/10/19