「日産 新型ルークスのショートインプレッション」

ターボによる加速は十分で、バンジージャンプ的にはならない。クルージング時はわりと静かで、前後席間の会話も問題ない。

前後のウインドーを立ててルーフ前端を伸ばしたので、シルエットは少し没個性となった。スライドドアの開口幅は軽ナンバーワンの650mm。

テールランプにも「かどまる四角」のモチーフを採用。従来型で特徴的だったDピラー部のキックアップは廃された。


軽自動車とは思えないほど上質なインテリア。メーター表示も見やすい。プロパイロット付きは電気式パーキングブレーキとなる。

フロントシートはセンターアームレスト付きのベンチタイプ。写真のプレミアムインテリアはメーカーオプションとなる。

マイルドハイブリッドは廃したがエンジン本体の改良で従来型と変わらない燃費を達成。トランスミッションはCVTのみでパドルシフトはない。


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 9月19日に発表され、10月27日からデリバリーが開始される日産の軽スーパーハイトワゴン、新型「ルークス」。公道での試乗はこれからだが、事前取材会においてプロトタイプをテストコースで短時間だが試乗する機会を得た。実車を見て、触っての印象と、実際に乗ってみてのショートインプレッションを紹介しておこう。

スタイリングを一新。もはや「セレナの弟分」ではない?

 試乗車は、ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(4WD)。従来型にも同名のグレードがあるが、ルークスのラインナップではトップグレードにあたる。

 エクステリアの雰囲気は、現行型からかなり変わった。現行型は、とくにハイウェイスターでは細目のヘッドランプやVモーションを取り入れたフロントグリルなど、顔つきは兄貴分のミドルサイズ ミニバン、一昨年のRJCカーオブザイヤーに輝いたセレナに良く似た雰囲気だった。

 だが新型では、全体のフォルムから前後のランプ、フロントグリル、ドアハンドル部、そしてホイールまで、いたるところにデザインモチーフである「かどまる四角」を取り入れている。なかなか遊び心があって楽しい。

 サイズ的には軽自動車の規格いっぱいなので従来型と変わらないが、カドを丸めてランプ類をサイドに回り込ませることで実際より大きく見え、その伸びやかなスタイリングは黄色いナンバープレートが付いていなければ軽自動車と思われないかもしれない。

 フロントウインドーを約8度立て、ルーフ前端を約10cm前方に伸ばしたことで室内長は広がったが、そのかわりサイドのシルエットは他社の軽スーパーハイトワゴンと見分けがつきにくくなった。従来型で特徴的だったDピラー部のキックアップもなくなってしまった点も少々残念だが、居住性を重視すれば仕方ないことなのかもしれない。


その走りっぷりは、軽スーパーハイトワゴンとしては好印象

 試乗時間は限られていたので、まずはコクピットに乗り込んで走り出す。テストコースは直線は100km/hまで、コーナーによって制限速度が決められており、走行シチュエーションとしてはゴーストップのない郊外路を走るような感じだ。

 エンジンはターボ付きではあるが3気筒の0.66L、最高出力は自主規制値の64ps、試乗車は4WDだったので車両重量は1040kg(FFは990kg)。エンジンそのものは従来型と基本的に同じだが、ピストンのフリクション低減など改良を施し、マイルドハイブリッドなしでも従来型同等の燃費を実現した。それゆえ、コスト面も鑑みて新型ではマイルドハイブリッドをやめたという。トランスミッションはCVTのみで、パドルシフトはない。

 最近のトルクフルなBEVをはじめとする電動車に乗り慣れている身としては、加速感は「軽自動車としては元気がいいかな?」というレベルだ。相対比較したわけではないが、体感的に他の軽ターボ車と大きくは変わらない。CVTもチューンして過度な回転上昇を抑えたそうで、低回転からトルクはリニアに立ち上がり、アクセルペダルに応じた回転上昇を実現している。CVT独特のエンジン回転数が上がってから車速がついてくる、いわゆるラバーバンドフィールは少ない。それは発進加速だけでなく、追い越しなどの中間加速でも同様だった。

 またエンジンサウンドの音質は悪くなく、クルージング状態では室内はわりと静かで、前後席間で普通に会話もできる。風切り音もおさえられているようだ。ドライブモードはスポーツ/ノーマル/エコの切り替えが可能で、短時間の試乗ゆえ細かくは試せなかったが、加速の度合いはけっこう異なっていた。

 テストコースでは多少のアップダウンやハンドリングも試せたが、ステアリングフィールは滑らかで応答性も悪くない。ハードなコーナリングを試みたわけではないが、軽スーパーハイトワゴンとしてはロールも抑えられており、なかなか良い感触だった。

 直線路でプロパイロットも試してみたが、アダプティブクルーズコントロールはセットしやすく、車線キープも安定していた。ただし前後にクルマはいなかったので、加減速の様子はチェックできなかったが、従来型の精度を考えれば問題ないと思われる。


インテリアは軽自動車とは思えない上質なもの

 インプレッションを先に紹介してしまったが、インテリアの印象も紹介しておこう。軽ナンバーワンの室内長とアイポイントの高さを謳うだけあって、室内は十分以上に広く、また運転席からの視界も良い。また、Aピラーを立てて細くしたことでフロントウインドー脇の細いウインドーからの視野も拡大されており、右左折時の視界も良さそうだ。

 試乗車はトップグレードとはいえ、インテリアの雰囲気は軽自動車とは思えない上質なもの。12.3インチの大型統合型インターフェースディスプレイ右側のメーター部分は、「かどまる四角」のタコメーター内にデジタルのスピードメーターを配し、比較的シンプルで見やすい。

 インパネ左側にはオプションのカーナビゲーションなどを操作できるタッチディスプレイが備わり、短時間の試乗ではあまり試していられなかったが、タッチのレスポンスは良く使いやすそうだ。

 その下にはインパネシフトのATセレクターとイグニッション、パーキングブレーキ、ドライブモードのスイッチやエアコンの操作パネルが備わる。またステアリングホイールのスイッチも含めて、これらの配置は従来型とも似ており、乗り替えても違和感は少ないだろう。

 リアシートにも乗ってみた。いちばん前にスライドさせてもニースペースはコブシ1個くらいあり、十分に快適だ。カヤバ製のプロスムーズ ダンパーを採用し、振動を吸収する素材の採用でリアシートでも揺れにくくして車酔いを防ぐとのことだが、実際、テストコースの不整路面などでも乗り心地は悪くなかった。

 上質な軽を目指して生まれ変わった新型ルークス。発表から1カ月で受注台数は1万1000台を突破するなど、人気は上々のようだ。姉妹車となる三菱 デリカミニ&eKスペースとともに、絶対王者のN-BOXをはじめ、タントやスペーシアといったライバルひしめく軽スーパーハイトワゴン市場を、ますます活性化させていくことは間違いないだろう。


■ 日産 ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション 4WD 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1805mm
●ホイールベース:2315mm
●車両重量:1040kg
●エンジン:直3 DOHCターボ
●総排気量:659cc
●最高出力:47kW(64ps)/5600rpm
●最大トルク:100Nm(10.2kgm)/2400-4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・27L
●WLTCモード燃費:17.4km/L
●タイヤサイズ:165/55R15
●車両価格(税込):236万3900円

(報告:篠原 政明/写真:日産自動車、ほか)

最終更新:2025/11/03