トヨタGRヤリス

モータースポーツ参戦で得た学びを反映



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 トヨタがWRC(世界ラリー選手権)で勝つために開発した車両のホモロゲーション(競技モデルのベース車両)となるのが2020年の20式GRヤリス。そこからすでに6年を経て、「24式」「25式」を経た最新の「26式」はどんな進化を果たしたのか。

26式GRヤリスはどんな車?

 「〜式」のそれぞれ数字は、マイナーチェンジを施した年式を表すものだ。GRヤリスの山田寛之PGM(プロジェクトジェネラルマネージャー)と開発担当ドライバーの大嶋和也選手によると、26式はモータースポーツ参戦で得た学びを反映したのがポイントで、具体的には「ステアリング」「EPS」「タイヤ/足回り」「快適装備」という部分で“4大進化“を果たしたことという。一方でパワートレインとなる305PS/400Nmを発生する1.6L3気筒ターボエンジンについての変更は行われていない。
 26式に乗り込んでまず目につくのが、GRステアリングのデザイン変更だ。従来型では操作中に手のひらがスイッチに触れたり、パドル操作時(プロドライバーは中指で操作するとのこと)の指挟みが起きたりする可能性があったので、26式ではそれを解消するためにステアリングとパドルの形状を変更するとともに、サイズの小径化(365mm→360mm)が行われている。さらにセンターパッド周囲に各スイッチを独立配置し、リング状イルミネーションを追加したことで、誤操作抑制や夜間の視認性が向上している。
 ドライブしてみると、ちょっと細身の握りとともに各操作がやりやすくなっていて、常に手に触れる部分でもあるだけにその恩恵はかなり大きいことに気がつく。ただし、GR-FOURの切り替えやドライブモード選択など走行面に関係する操作系は(スーパーカーによくある)ステアリング部分に配されていない点に注意。このあたりは次の27式で進化するのかどうか(検討中、とのお返事)。

走ってみると

 タイヤは、モータースポーツ現場でのテストから新開発した専用の「ブリヂストン ポテンザRACE」を標準装着。前モデルまでのミシュランが「ドンピシャ専用」ではなかった、というのがその理由で、新タイヤの性能を活かすため前後ショックアブソーバーの減衰力特性を最適化するとともに、高負荷がかかる強い旋回時でもEPS(電動パワーステアリング)のアシストがしっかり効くようチューニングしたそうだ。事実緩いコーナリングや単純な右左折時でも、ハイグリップタイヤを履いているにも関わらず違和感なくスイスイと向きを変えることができたことから、そのアシスト量の適切さが想像できる。走行時のタイヤノイズもわずかに減少している。
 4WDのGR-FOUR制御は、「TRACK」モードでは前後駆動力が60:40〜30:70まで状況に応じて連続して変化する。富士スピードウェイの100Rや300Rなど、高速度域でしばらく同じ横方向にGがかかったままになるようなコーナーを抜ける時には、その効果で上手に車体の向きを変えてくれる。一方「GRAVEL」モードにすると、これが50:50に固定される。同じクルマでも、化を感じつつ楽しめるという点は、GRヤリスらしいところだろう。

「MORIZO RR」は別格の出来?

 今回の試乗会には、「MORIZO RR」と命名された特別仕様車がお目見えしていた。こちらはモリゾウ(豊田章男会長)とともに、2025年ニュルブルクリンク24時間レース参戦を通じてつくり上げたGR-DAT搭載車で、日本で100台限定、欧州一部でも100台限定となる特別仕様車だ。
 エクステリアでは、ニュル24時間で開発したカーボン製専用リアウイングやカーボン製エンジンフード、フロントスポイラー、サイドスカート、グラベルカーキのボディやマットブロンズホイール、イエロブレーキキャリパーが専用となる。フロントウインドウ左下には筆記体で「MORIZO」のサインが入るのもスペシャル感を助長している。
 インテリアでは、ステアリングやシフトノブ(ブーツ含む)、パーキングレバーがスエード表皮&イエローステッチの専用品となるとともに、イエローステッチのシートも専用となる。ダッシュボードにはシリアルナンバープレートが取り付けられるほか、MORIZOモードのメーター表示も行える。
走りとしてのベース車との大きな違いは、カーボン製リアウイング装着による強力なダウンフォースを前提として、路面追従性を高める専用ショックアブソーバー設定を行ったことだ。高速域での沈み込み姿勢での旋回性と、モリゾウさんが日常の愛車として使用する際の中低速での乗り心地を両立したという大嶋選手提案の足回りだ。短い時間ではあるが試乗した印象では、この日乗ったどのGRモデルに比べても、乗り心地がもっとも良かった、というもの。フラットな姿勢をキープしながら路面を舐めるように走るそのセッティングは素晴らしく、手に入れることができる資金力とラッキーさを持ち合わせた御仁に、ぜひおすすめしたいモデルだ。(了)
報告:石原 彰

最終更新:2026/06/29

 

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