ルノー・キャプチャ―・カンヌの発表会は、ちょっと変わってた。

 6月23日、都内新宿区のアンスティチュ・フランセ東京(旧・東京日仏学院)でルノー・キャプチャー・カンヌの発表会が行われた。ボディパネルなど細かい違いはあるが、キャプチャーは基本的にはルーテシアのSUVと考えていい。1.2リッターターボエンジン(118馬力)も6速デュアルクラッチトランスミッションも同じである。

 ではこのカンヌ、ノーマルと何が違うかというと、ルーフ部がブラウンになったこと(ボディはホワイトorブルー)、室内がブラウン基調になったこと、ナビがパナソニック製(モニター=9インチ)なったことくらいだ。でも、注意深く見るとリアピラーに一風変わったエンブレムがある。これは、車名の由来であるカンヌ国際映画祭の最高賞に与えられるパルム・ドールのマークだという。

 ルノーと映画のかかわりは長い。110年以上の歴史がある。ルノー本社のあるパリのブローニュ・ビヤンクールはかつて映画産業の中心地だった。そのせいもあってカンヌ映画祭との関係も深い。その協力関係は1983年にさかのぼる。今年のカンヌには300台以上のルノー車が公式車両として提供された。

 キャプチャー・カンヌはまさにこの伝統を引き継ぐ。他のメーカーは付けられないネーミングだ。とは言え、このカンヌは日本だけの50台限定販売車で価格は289万円。新型車紹介で扱うほどのモデルではない。

 ここでポイントとなるのが映画との関係である。この発表会もそれを大いにアピールしていた。会場の多目的ホール(108席)にマスコミを入れ、クルマのプレゼンテーションだけでなく、6月24日から26日のあいだ開催される「フランス映画祭2016」で上映予定の約10作品の予告編を見せた。ちょっと昔の、いやかなり昔の映画館のようだった。上映館は有楽町朝日ホールとTOHOシネマ日劇だが(上映作品は異なる)、現時点では間に合わない作品もある。

 ひと頃前の発表会は規模の違いこそあれ、各メーカーそれなりに工夫を凝らすことが多かった。最近は芸能人でお茶を濁すことはあるが、ルノーのようなささやか工夫は少ない。あまり期待していなかったこの発表会、そういう意味で、久しぶりに新鮮だった。

 

ボディカラーはこのホワイトとブルーの2色。ブラウンの屋根が外観上の特徴。

 

パナソニック製の9インチモニターナビと新シートの高い質感も「カンヌ」のウリ。

 

リアピラーの独特なマーク。カンヌ国際映画祭の公式エンブレムデカールである。

 

多目的ホールでのカンヌ映画祭の説明。楢山節考の受賞など日本ともかかわりが深い。

報告:神谷龍彦
写真:佐久間健