東京モーターショー2015に見る“COMING SOON” -輸入車編-

報告:神谷 龍彦/撮影:佐久間 健

ただいま真っ盛りの第44回東京モーターショー。 自動運転やら環境対応ももちろん大切だけど、やっぱり夢はほしい。 前回と異なり、今回は走りでもデザインでも楽しいモデルがいっぱい。 ここでは、近々市販されるモデルを中心に紹介する(一部コンセプトカーあり)。 さあ、東京ビッグサイトにいらっしゃい。

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輸入車編

■メルセデス・ベンツ

GLE●GLE

Mクラスにかわる新しいクロスオーバーカー。

Mクラスにかわるモデルだ。350dというディーゼルエンジンを搭載する 4MATIC(868万円〜)は年内の発売を予定。ガソリンエンジン車も来年導入されそう。GLEよりもスタイリッシュなGLEクーペも展示された。こちらは来年春に導入されるらしい。さらに、GLEの弟分といえる、CクラスベースのGLCも並ぶ。このほか、東京サプライズモデルとしてビジョンTokyoという全自動型コンセプトカーも展示されたが、これは今年同じく東京で展示されたF015の発展型。ただし、実用化は2030年と言われるからここでは省く。

 

smart fortwo & forfour●スマート フォーツー&フォーフォー

世界的には成功。新エンジンで日本でもヒットするか?

世界では150万台以上売れた。でも日本では、色々対応したにもかかわらず3万台程度だったスマートが捲土重来を期す。ポイントはforfourがカタログモデルで、fortwoは年に数回発売される限定仕様車になること。2人乗りのfortwoはまず限定車として発売された(199万円〜)。4人乗りのforfour(209万円〜)の発売は来年の1月。エンジンはともに新開発の1リッタ―3気筒(71馬力)。6速DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)。最小回転半径はforfourが4.1m、fortwoが3.3mと、小回り性に優れる。小柄だが、安全性はとびきりだ。

 

■BMW

7 Series●7シリーズ

今やフラッグシップカーでもエコと無縁ではいられない。

言うまでもなくBMWの最上級車。それだけに持てる技術がふんだんに取り入れられている。ボディにはアルミやスチールだけでなくカーボンファイバーも採用し、130kgの軽量化を達成した。レーザーライトと呼ばれるヘッドライトは状況によっては従来の2倍の距離を照らす。エンジンは3種類。3リッター直列6気筒ツインターボ(326馬力)とV8ツインターボ(450馬力)、それに加えて直列4気筒とモーターを組みわせたeDrive(740e=326馬力も用意される)。さらにリモートコントロールで駐車できるオートパーク機能も(後方駐車不可)などもある。多様な装備、使いこなすか、こなされるか。

 

330e/225xe●330e/225xe

ハイブリッドになってもBMWの走りは一味違う?

3シリーズにもプラグインハイブリッド(eDrive)モデルが追加される。330eである。同時に2シリーズアクティブツアラーにもその計画があるとアナウンスされた。さらに、740にも、X5にもハイブリッドを導入するという。これらの時期は公式には未定だが、おそらく来年中とみてよさそうだ。X1xDriveもこの場が一般公開。ただ、X1自体のプレス発表はこのショーの直前に行われた。同じくショー直前にクラブマンをお披露目したMINIは、ソフトトップの3ドアコンバーティブルを東京で出展した。30㎞/h以下なら走行中でもホロの開閉ができ、運転席上部だけを開けることもできる。ラゲッジルームが広くなったのも特徴だ。

 

M4 GTS●M4 GTS

M3 GTに端を発するスペシャルカーM4 GTS、ワールドプレミア!

いくつもあるプレス・プレゼンテーションのなかで一番面白かったのがこのGTS。M社の社長がGTSをドライブして登壇してきたが、それよりも興味をひかれたのがその前に流されたアニメと実写を組み合わせたプロモーションビデオだ。「カッ」とかいう日本語の擬態音が画面に出てきたり……うん、日本的で好感が持てた。エンジンは3リッター直4ターボ、最高出力は500馬力。タイヤは前19、後ろ20インチ。0-100㎞/h加速にはわずか3.8秒しか必要としない。メインステージはサーキットだが、このまま公道も走れるというのがミソだ。

 

■アルピナ

B3 BITURBO/B6 BITURBO●B3バイターボ/B6バイターボ

もっと豪華でもっと速いBMWを! その無い物ねだり叶えます。

BMW専門のメーカーであるアルピナからは、B3バイターボとB6バイターボカブリオ。B3はBMW3シリーズをベース新しいエンジンを搭載する。最高出力は410馬力、0-100㎞/h加速は4.3秒。B6はボディこそBMW6シリーズのモノを使うがエンジンは全く別物。600馬力を絞り出し、最高速度は330㎞/h。0-100㎞/hまで4.2秒。4WDもあり、それだとたったの3.8秒で100㎞/hに達してしまう。

 

■アウディ

A4●A4

正常進化の実力のほどと怖さを知らしめる。

アウディは市販予定モデルもコンセプトカーともに豊作だった。そのなかで最も関心を引くのは同車の中核でもあるA4だ。ボディは少し大きくなった。全長で10㎜、全幅で約16㎜、ホイールベースもやはり10㎜ほど伸びた。「A4よ、お前もか!」と言いたくなる。しかし、最初はあまり変わり映えしないなと思わせたエクステリアデザイン、じっくり見ていくと愛着を覚える。もともと定評のあった室内の質感もさらに増した。しかもメーターパネルはTTに採用された、ナビとスピード&タコが目の前に表示されるタイプ(バーチャルコックピット)。新しい。エンジンは各種あるが、ディーゼルはさしあたり入れないだろうから、2リッターターボの2タイプのガソリン(190馬力と252馬力)か。ボディはセダンとアバントがあり、まずセダンでこれが来年早々、アバントは少し遅れて第2四半期になりそうだ。

 

TTS Roadster●TTSロードスター

TTロードスターにも強力バージョンが追加された。

TTのロードスターはすでに発売されているが、TTSはクーペだけでロードスターにはなかった。で、ロードスターにも、ということかと思ったら、ことはそう単純ではないらしい。クーペのTTSは286馬力なのにこれは310馬力もある!でも、燃費はリッター14㎞を越える。ほかはTTロードスターと大きな変わりはない。メーターも当然バーチャルコックピットだ。

 

Q7 e-tron 2.0TFSI quattro●A4 e-tron 2.0TFSI クワトロ

EVモードで約50㎞。ハイブリッドで1000㎞オーバー。

新型Q7をベースに開発されたコンセプトカー。クワトロフルタイム4WDを採用した最初のプラグイン・ハイブリッドカーでもある。外部からの充電ができるバッテリーを搭載するため、EVモードで約50㎞走れる。エンジンとモーターを併用すれば1000㎞以上走れるという。パワーは190馬力と252馬力の2種類。

 

prologue allroad●プロローグ オールロード

どこでもOK! 最強のスタディコンセプトカー。

コンセプトスタディモデル。クーペ、ワゴンに続く3番目のモデルを探す。クワトロシステムと高い地上高で、走る路面を選ばない。4リッターV8とモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドは734馬力/900Nmを実現した。それだけにめっぽう速く、0-100㎞/hにはわずか3.5秒で達する。

 

R8 V10-plus●R8 V10-プラス

まさに異次元の世界にドライバー を運んでくれる。

アウディ史上もっとも速くもっとも運動性能に優れたロードカーだと同社は言う。2006年に初代がデビューしてから9年ぶりのモデルチェンジだ。ミッドシップ、超軽量ボディ、自然吸気のV10、クワトロなどは継承しつつ、乗員セルの一部にはカーボンも採用。610馬力の圧倒的パワーを駆使して3.2秒で時速100キロに、さらには330㎞/hの世界にと幸運なドライバーを運ぶ。

 

■フォルクスワーゲン

TIGUAN●ティグアン

う〜ん、ここでもプラグイン・ハイブリッドか。

ティグアンはフォルクスワーゲンの主力SUV。世界的に売れ行きもいい。これが2代目になったのはこの9月のフランクフルトショー。50kg以上の軽量化をしつつ、ラゲッジルームの容量も大幅に拡大した。このティグアンGTEはそのコンセプトカー。GTEと“E”がつくことからも分かるようにプラグイン・ハイブリッドである。1.4リッターのエンジンに加えて電気モーターも出力源とする。ルーフの上にはソーラーパネルも。市販化が望まれるモデルのひとつだ。

 

PASSAT●パサート

まずはパサートGTEなんていかがでしょうか?

いいクルマである。広いし、装備レベルも高いし、登場当初は硬すぎた乗り心地も随分改善された。しかも相対的に安い。ただ、物語性は薄い。輸入車にそれを求めるユーザーも多いからちょっとキツイ面もある。というなかで持ち上がったのが例の問題。別にディーゼルが悪いわけではないが、商売的にはタイミングが悪すぎた。来年はパサート・ディーゼルの導入を考えていたようだが、今回のショーでの展示は見送った。代わりに登場したのがこのパサートGTEとオールトラックだ。

 

■ポルシェ

911CARRERA 4S●911カレラ4S

ヘッドライトがLEDになりエンジンもターボに変わった。

カレラの最高出力は370馬力。カレラSは420馬力だから50馬力も多い。今回のもっとも大きな特徴はエンジンが載せ替えられたこと。これまで3.6リッター水平対向だったが、排気量が3リッターに減ってツインターボが装着された。911のベースモデルにターボがつくのは初めてのことだ。トランスミッションは7速MTとツインクラッチのPDK。0-100㎞/h加速はMTが4.2秒、PDKが4.0秒。最高速度はMTが305㎞/h、PDKが303㎞/hだ。

 

MACAN GTS●マカン GTS

ポルシェ栄光のエンブレム“GTS”を付けたSUV。

””

マカンはそうではないが、そのGTSモデルはワールドプレミアである。GTSというのはポルシェ最初のレーシングカーにつけられたエンブレム。だからマカンはSUVに属する。が、このモデルのスポーツ性は高い。エンジンは3リッターV6ツインターボで出力は360馬力。このパワーをツインクラッチギアボックス・PDKで4輪に送る。ポジションとしてはマカンSとターボの間くらいか。

 

■プジョー/シトロエン/DS

PEUGEOT 208●プジョー208

インターナショナル・エンジン・オブザイヤー2015を受賞。

デビューは2012年だからちょっと古いが、その1.2リッター3気筒ターボエンジン(110馬力)はインタ−ナショナル・エンジン・オブザイヤー2015に輝いている。 エンジンは1.2リッターと1.6リッター(208馬力)があり、トランスミッションは1.2が6速ATと5速MT、1.6が6速MT。価格は1.2(5速MT)の199万円からGTi by プジョースポールの368万6600円まで。発売はモーターショーのプレスデイの10月28日から。

 

PEUGEOT 308GTi by PEUGEOT SPORT●プジョー308GTi byプジョースポール

どうせやる気ならコンプリートでこれをお買いなさい。

デビューは今年のフランクフルトショー。日本には初お目見えのホットハッチバックである。1.6リッターターボから270馬力を発生する。会場の車名表示は308GTi 270となっていた。専用サスペンション、19インチホイール/タイヤ、トルセンLSD、フルバケットシートを装備する。これらをパーツで買うとびっくりするくらい高くなるとのこと。と言いつつ、現段階では価格も導入時期も未定。

 

PEUGEOT 508GT●プジョー508GT

プジョーのフラッグシップにディーゼル・スポーツが。

508はすでに日本でも売られている。これに2リッター・ディーゼルエンジンを搭載したスポーティバージョン。東京では初めて。最高出力は180馬力と控えめだが、ディーゼルの低回転でのトルクの太さがそのあたりを十分補ってくれる。日本発売は来年の比較的早い時期。

 

CITROËN C4 CACTUS●シトロエンC4カクタス

「デザインで勝つ! 」ってこともあるという好例のひとつ。

2013年のフランクフルトショーでスタディモデルとして展示されて以来世界の注目を集めて来た。そしてついにはワールドカー・デザイン・オブザイヤーに選ばれた。もっとも大きな特徴はサイドのエアバンプと呼ばれるボード。エンジンは定評のある1.2リッター直列3気筒(82馬力)。トランスミッションは5速ETCだが、日本導入時には6速ATになる。日本導入は2017年。価格はもちろん未定。日本J初公開。

 

DS4 CROSSBACK●DS4 クロスバック

DS4のクロスオーバーモデル。楽しめそうな1台。

プジョーとシトロエンが一緒になってPSAができたと思ったら、今度はシトロエンからDSが独立して三つの会社になった。それぞれの会社に社長もいる。で、そのDSが東京に送り込んできたのがこのモデル。基本スペックはDS4とほぼ同じだが、アイポイントが30㎜高いとか、ブラックのホイールとか、SUVらしさも十分主張している。エンジンは1.6リッターターボ。日本導入は来年の早い時期。トランスミッションは6速ATになる予定だ。

 

■ルノー

TWINGO●トゥィンゴ

サンクターボを想わせるリアエンジンで捲土重来を期す。

コンセプトはPLAY──数あるライフサイクルのなかでもこのクルマでは余暇を楽しもうということらしい。3代目はイチから創り直したという。丸っこい外観やトゥィンゴ初の5ドアというのもそうだが、何よりもRR(リアエンジン・リア駆動)方式を採用したことが気を引く。なにやら、昔のルノー5ターボを想わせるではないか。エンジンは0.9リッターターボ(66kW)でトランスミッションはデュアルクラッチ式の6速MT。日本にPLAYしに来るのは来春の予定だ。

 

■ジャガー

F-PACE●Fペイス

ベースはXE。期待高まるジャガー初のSUV。

全世界で2000台作られるファーストエディションのうち50台が日本に導入される。価格は1032万円。日本に輸入されるモデルのエンジンは3リッターV6スーパーチャージャー付きで380馬力。ほかにも3リッターV6ディーゼル、さらには2リッター直4ディーゼルも追加される可能性がある。走りはジャガーの名に恥じず俊敏で、0-100㎞/h加速は5.5秒、最高速度は250㎞/h(リミッタ―作動)に達する。先行予約はすでに始まっている。

 

■ランドローバー

RANGE ROVER SUPER SPORT SVR●レンジローバー スーパースポーツSVR

史上最速のレンジローバーが早くも受注を始めた。

ランドローバーにはスーパースポーツ・シリーズがあった。これはその最スポーティ&豪華モデルで1605万円もする。ちなみにシリーズで一番安いのは846万円だ。史上もっとも速いレンジローバーと言われ、5リッターV8スーパーチャージド・エンジンはベースよりも40馬力多い550馬力。すでに受注可能。映画「007スぺクター」ではアストンマーチンとともに出走している。ジュネーブショーで姿を見せたレンジローバー・イヴォークのオープンモデルは来年日本に導入される。

 

■フィアット

500X●500X

500としては太めだが、今の日本では実用的なサイズ。

フィアットとしては8年ぶりの東京モーターショーへの出展だ。今年からクライスラーも含めてFCAと社名を変えた。フィアット、クライスラーともに販売は比較的好調。500Xは500(チンクエチェント)のクロスオーバーSUV風だが、実際は全くの別モデル。フィアット初のスモールSUV。内外装ともに独特の親しみやすさ、可愛さがある。エンジンは1.4リッターターボ。トランスミッションは9速AT。価格は286万2000円から。すでに発売されている。

 

■アルファロメオ

ALFA ROMEO 4C SPIDER●アルファロメオ 4Cスパイダー

ミニバンとは違った楽しさがある。クセになるかも。

ミッドシップオープンになっても破綻はない。むしろクーペ以上にスタイリッシュだ。とくにロールバーから後方は野性味をいかんなく発揮している。彫刻的ですらある。ソフトトップは専用バッグに入れてトランクに収納できる。リアのエンジンフードには三つのエアアウトレットが。エンジンは1750ccターボ(240馬力)。クーペと同じだ。価格は861万8400円。11月21日から発売される。


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