11月14日、2021年次RJCカーオブザイヤーの表彰式が都内の会場で行われた。今年は異例の年だった。もちろんコロナ禍の影響である。表彰式も3密に配慮して各メーカー/インポーターともに出席は3名までとお願いした。
リモート中継などでお存知のように、カーオブザイヤーの座についたのはスズキ ハスラーとの激戦を制したトヨタのヤリス/ヤリスクロス。ヤリスファミリーの中にはGRヤリスもあるが、開発チーフの末沢泰謙氏が担当したのはヤリス/ヤリスクロスで、GRヤリスは別部署になる。
輸入車の方は今回からRJCカーオブザイヤー・インポートではなくRJCインポート・カーオブザイヤーと呼称を変えた。その座を圧倒的強さで射止めたのはBMW2シリーズ グランクーペ。4ドアクーペのボディとFF&4WDの駆動方式を組み合わせたモデル。ただ、2位、3位にA1とe-tronというアウディ勢が占めたのはちょっと驚きだった。
テクノロジーオブザイヤーは日産の進化したe-POWERである。e-POWERは日産として初めてではない。最大出力はノート比で19%アップ、静粛性も向上している。このあたりが"進化した"の意味らしい。
2050年の脱炭素化(カーボンニュートラル)に向けて社会は大きく動き出した。一挙にそこまで行くのか、紆余曲折があるのかはまだわからない。いずれにしても燃料電池車同様、方法論の違いはあれEVもメインストリートに飛び出した。解決すべき問題点はまだまだあるがe-POWERはその有力な尖兵である。
左から、日産自動車の車両開発主管・山本陽一氏、パワートレイン主管・羽二生倫之氏、トヨタ自動車の広報部主査・築城健仁氏、広報部・深沢真里氏、BMWのマーケティングマネジャー・佐伯 要氏、プロダクトマネジャー・古山 弓氏。
ヤリスクロス。開発担当はヤリス同様に末沢泰謙氏。よく売れている。
BMW2シリーズグランクーペ。スポーティでスタイリッシュ。居住性も上々。
エンジンで発電して走る。大きく進化した日産e-POWER。その先に何を見る?
授賞車:ヤリス/ヤリス クロス トヨタ自動車
スズキのハスラーと大接戦の末、トヨタのヤリス(ヤリスクロスを含む)がカーオブザイヤーを受賞した。3位に日産のキックス、4位にホンダの万能コンパクトカー・フィット、5位にスバルのレヴォーグ、6位にロッキー(ダイハツ)/ライズ(トヨタ)が入った。
順位 |
得点 |
車 名 |
メーカー名 |
1 |
152 |
ヤリス/ヤリス クロス |
トヨタ自動車 |
2 |
146 |
ハスラー |
スズキ |
3 |
117 |
キックス |
日産自動車 |
4 |
111 |
フィット |
本田技研工業 |
5 |
74 |
レヴォーグ |
SUBARU |
6 |
72 |
ロッキー/ライズ |
ダイハツ工業/トヨタ自動車 |
7 |
67 |
ルークス/eKスペース |
日産自動車/三菱自動車工業 |
8 |
53 |
MX-30 |
マツダ |
9 |
51 |
タフト |
ダイハツ工業 |
10 |
49 |
Honda e |
本田技研工業 |
11 |
16 |
ハリアー |
トヨタ自動車 |
12 |
9 |
グランエース |
トヨタ自動車 |
13 |
7 |
アコード |
本田技研工業 |
授賞車:BMW 2シリーズ グランクーペ
こちらはBMWの独走だった。2、3位にアウディが入ったのは最近ではないことだ。4位のボルボS60はこれまでの同社のRJCへの対応の良さもあるかもしれない。5位にVWのT クロス、同率5位にルノーのルーテシアが。ルノーの6 ベスト入りは珍しい。
順位 |
得点 |
車 名 |
インポーター/ブランド名 |
1 |
179 |
BMW 2シリーズ グランクーペ |
ビー・エム・ダブリュー |
2 |
97 |
アウディ A1スポーツバック |
アウディジャパン |
3 |
94 |
アウディ e-トロン スポーツバック |
アウディジャパン |
4 |
90 |
ボルボ S60 |
ボルボ・カー・ジャパン |
5 |
78 |
VW Tクロス |
フォルクスワーゲン グループ ジャパン |
5 |
78 |
ルノー ルーテシア |
ルノー ジャポン |
7 |
77 |
プジョー 208/e-208 |
グループPSAジャパン |
8 |
56 |
VW Tロック |
フォルクスワーゲン グループ ジャパン |
9 |
46 |
BMW X6 |
ビー・エム・ダブリュー |
10 |
41 |
ランドローバー ディフェンダー |
ジャガー・ランドローバー・ジャパン |
11 |
38 |
プジョー SUV 2008/SUV e-2008 |
グループPSAジャパン |
12 |
20 |
アウディ Q3/Q3 スポーツバック |
アウディジャパン |
13 |
9 |
キャデラック XT6 |
ゼネラルモーターズ・ジャパン |
最優秀技術:進化したe-POWER
日産のe-POWERとSUBARUのアイサイトもかなり競り合った。マツダのSKYACTIV Xもなかなかの善戦と言えるだろう。極細ピラーによる爽快視界(ホンダ)、新開発CVT(スズキ)、TNGAプラットフォーム(トヨタ)、ここまでが6 ベスト。
順位 |
得点 |
技 術 名 |
搭 載 車 種 名 |
1 | 140 | 進化した e-POWER | 日産 キックス |
2 | 132 | 新世代アイサイト/アイサイトX | SUBARU レヴォーグ |
3 | 99 | SKYACTIV X 2.0 エンジン | マツダ CX-30/MAZDA 3 |
4 | 87 | 世界初極細ピラーによる爽快視界技術 | ホンダ フィット |
5 | 78 | 新開発 CVT | スズキ ハスラー |
6 | 76 | TNGA プラットフォーム(GA-B) | トヨタ ヤリス/ヤリスクロス |
7 | 60 | ワイドビジョンインストルメントパネル | ホンダ Honda e |
7 | 60 | 高度駐車支援システム | トヨタ ヤリス/ヤリスクロス |
9 | 48 | 新開発1.8L 直噴ターボエンジン | SUBARU レヴォーグ |
10 | 47 | e-SKYACTIV G エンジン | マツダ MX-30 |
11 | 34 | 35TFSI エンジン | アウディ A1スポーツバック |
12 | 32 | CMF-B プラットフォーム | ルノー ルーテシア |
13 | 31 | 高精彩映像を実現したインテリジェントルームミラー | 日産 キックス |
今回のRJCイヤーカー選びは新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。
通常なら9月頭にメーカーやインポーターの方々、そして会員を集めて国産車、輸入車、テクノロジーの候補を示す。これが説明会。
9月と10月に対象車の試乗、取材をして各6種を会員が選ぶ。10月の末か11月の頭に6台(6技術)をピックアップする。これが「6 ベスト」であり第一次選考会である。
次は6ベスト各車を「もてぎ」に運び込んでもらい最終選考会(テストデー)を実施する。会員は、試乗後すぐ投票(テクノロジー、輸入車、国産車の順)を行いその得点によってカーオブザイヤーなどが決まる。特別賞やパーソンオブザイヤーがある場合はそれらも決める。
しかし、コロナウイルスのことを考えると「3密」は避けなければならない。何度も理事会で議論を重ねた。その結果、今回は一次選考会も最終選考会も中止しようということになった。それが説明会のわずか10日ほど前のことである。
では具体的に選考をどうするか。今年は選考自体もやめた方がいいと言う理事もいた。しかし、紡いできたRJCカーオブザイヤー30年の歴史をここで途絶えさせるわけにはゆかないということで、6 ベストとイヤーカー(テクノロジー)は続けることにした。
その方法として選んだのが一次選考会と「もてぎ」の最終選考会をともに省略し、すべての選考対象車に最初から点数(6,5,4,3,2,1点)を付けるというものである。選考は原則として理事のみで行い、メーカー関係の方や会員の同席はお断りする。代わりに選考の透明性を確保するためにその様子をリモート公開する。その結果が上記の表である。