【新車&NEWS】BYDシーライオン6
意欲的なPHEV技術

 2025年12月、BYDシーライオン6の発表会と試乗会に参加させていただいた。発表会では、試乗会にないインフォメーションも多くあったので、そのプレゼン画像を主に、この新しいPHEV車の概要を紹介したい。新技術のデパートというべきか、日本や欧州の電動車では、あまり見慣れない技術が多いのに、あらためて驚いた。

発表会では、ハイブリッドのDMシステムの開発責任者、魯 超 氏が来日、登壇した(正しい漢字は画面をご参照)。発表後のQ&Aでは、司会進行のジャーナリスト清水和夫氏が、ルノーの独特なハイブリッドシステムをどう思うかと、ちょっと“いじわる”な質問をしたところ、即座にさらりとその特徴を述べていた。メーカー開発者ならあたりまえかもしれないが、さすが世界の技術動向をしっかり研究しているのだと感心した。

シーライオン6のプラグインハイブリッド・システムの名称はDM-iスーパーハイブリッド。この画像は、右が進行方向で、FFである。PHEVでありながら、バッテリーをBEVと同じように床下に搭載している。

BYDは2008年にPHEVを市販化。これは世界初だったとのこと。それ以来、多様なシステムを開発し、進化してきている。シーライオン6のものは、2021年初登場の第4世代に相当。2023年の易四方というのは、4モーター方式で、その場回転(いわゆるタンクターン)もできる。

シーライオン6のDM-i。エンジン熱効率43.04%、モーターは最高効率時で97.5%。システムとして、従来型ハイブリッド車60%に対し、70%の高効率をアピール。ちなみにエンジン車の熱効率は25%になっている。

いちばん気になる、パワーユニット部分。エンジン横にモーター2個を置き、日産e-POWERなどのシリーズ式と同じ配置だが、正確にはシリーズ・パラレル式。エンジンは発電だけでなく直結駆動モードも持ち、ホンダや三菱のストロングハイブリッドと同様のようである。

バッテリーはBYD得意のLFP(リン酸鉄)ブレードバッテリー。ただし、PHEV専用設計とのこと。BEVとは、電力の出し入れの仕方が異なるので、セルの特性がPHEVに特化したものになっているのだろう。空間効率が65%だとアピールしている。

バッテリーの温度管理は、最新のBEVで重要性が増しているが、このクルマでは「パルス自己加熱バッテリー」を採用した。充電時に断続的に電流を流すパルス充電は、効率が高まると同時に、発熱をともなうものらしい。昇温速度が60%向上とアピールしている。

バッテリーが自己発熱するとはいえ、冷却も必要だから、外部からの熱マネジメントシステムの回路はやはり持っている。冷媒による直冷式はBYDの日本導入のBEV各車でも採用しているが、日本のスタッフによるとシーライオン6のこれは、また違うシステムだとのことだった。

エンジンは熱効率が43.04%と高いが、圧縮比が15.5と高いので、当然ノッキング対策に、尽力しているよう。この圧縮比実現には、モーター駆動が主体であることが貢献しているとのこと。

DM-pは4WD、e3は3モーターの4WDで易三方という。e4は易四方。

これは易三方のシステム。なかなかすごそうな技術が盛りだくさんの印象。

シーライオン6に戻ると、EV優先の市街地モードでは、SOC(充電量)低下時、エンジンで発電してモーターで駆動する「シリーズ駆動」が18%、「EV走行」が81%。グラフを見ると、エンジンを直接駆動にも使う「パラレル走行」はほとんどしない。

「EV走行モード」、「シリーズハイブリッド・モード」、「シリーズ・パラレル・モード」の、3モードのシステムを図案化したもの。エンジン直結駆動時に、モーターのアシストも可能なのは、ホンダなどと同じ。

3日後の試乗会では、エンジンの作動がどうなのかがまず気になった。なにしろBYDのエンジンは初の体験。第一印象は、とにかく車内が静かなこと。エンジン音の遮音に非常に力を入れているのが窺えた。中国ではEVでクルマを覚えた人も多いだろうから、そこからの乗り換えでうるさく感じないように、ということもあるのかもしれない。

モニター画面で、目標SOC(充電量)を25%〜75%の間で設定できる。SOCが高いほどエンジンはかかることになり、さらに走行モードをスポーツモードにして、できるだけエンジンがかかるように設定して、試乗した。

ふつうに走っていると、最初はエンジンがいつかかったかわからなかった。しばらく観察して、かすかにわかるようになった。アクセルを踏み込むと、ウワーンとエンジンが回るが、アクセルを抜いても、惰性でしばらく勢いよく回っている。節度がない昔のオートマ車のようだが、燃費にとってはそれでよいのだろう。エンジン直結の状態は判別できなかった。エンジンの遮音にとにかく力を入れている。ホンダのハイブリッドなどはエンジンの快音を聴く楽しみもあるが、シーライオン6では、そういう趣向は感じられない。とにかく高効率で、静かであることを重視している印象。クルマとしてはオーソドックスなSUVだから、それでよいのだろうし、それがBYDの哲学なのかもしれない。とにかく、日本市場においては、新しいハイブリッド車。今後、PHEVモデルは続々投入される予定のようである。

(報告/写真:武田 隆)


最終更新日:2026/01/17