オートモビル カウンシル 2018
AUTOMOBILE COUNCIL 2018
真夏の"クラシック" 

 8月3日〜5日、千葉市の幕張メッセでオートモビル カウンシルが開かれた。今年で3年目を迎えるヘリテッジカーのイベントだ。過去には「アバルト 124 スパイダ−」と「ボルボV90 90thアニバーサリー・エディション」といった新型車がこの会場を日本初公開の場に選んだ。
 今年は完全なニューモデルというわけではないが(一部マスコミには発表されている)、20年ぶりに復活した「アルピーヌA110」とアストン・マーティンのフラッグシップ「DBSスーパーレッジェーラ」が日本で初めて一般公開された。
 A110はWRCで大活躍した初代も隣に並んでいた。改めて見るととても小さい。これでよくダートを飛んだり跳ねたりしたものだなと感心させられる。一方、新A110プルミエール・エディションの790万円というプライスはとっても安い。「あんまり売れたら困りますよ」とアルピーヌサイドの人が言うくらいだ。
 国内メーカーで頑張っていたのはマツダとトヨタ。
マツダは、昨年の東京モーターショウで公開された魁(カイ)コンセプトを前にそのデザイナーの土田康剛氏とFRからFFに変わった時のデザイナーの鈴木秀樹氏のトークショーがあり、短時間ではあったが内容の濃いものだった。鈴木氏は、
「もっと強いデザインにしなくてはアメリカではアピールしない」
「それまでの80点主義から100点か100点オーバー主義に変えた」
「あのZoom、Zoomのコピーはアクセラから始まった」など興味深い話を披露してくれた。大ヒットした初代FFファミリアを見られたのも個人的には懐かしかった。
 トヨタのブースには「トヨタ2000GT」のスピードトライアル車(レプリカ)を始め「トヨタ7」や「セドリック」も展示されていた。数々の伝説を生んだトヨタ7に触れられたのは感激もの。なぜトヨタのブースに日産車が? という疑問は会場で氷解した。要するに「元気ニッポン!! 1960's」という企画の出し物だったのだ。で、この時セドリックは何をしたかというと聖火を運んだのだ。後席を見ると振動を抑えるために蕎麦屋の出前機が積まれていた。なんか"ほこっ"とした。ヘリテッジカーの良さでもある。
 で、その日産はどうかというとテスト車として十数台製作された「MID 4 II」が展示の中心。大パワー受け止めるために4輪駆動を採用したが、市販価格が約2000万円になることから生産には移されなかった"残念な1台"である。
 このイベントの主役はこういった国産車ではなくいわゆる往年の外名車だ。多くのモデルはその場で購入交渉もできるし、パーツや書籍のマルシェもある。日本も今や品質自慢だけでは世界に通用しない。新しい試みが必要だろう。そのためにも広い意味で過去を振り返えることが必要なのかもしれない。 報告:神谷龍彦
写真:怒谷彰久

 

 

アストン・マーティンはやる気満々。フラッグシップのスーパージェッレーラ初めて一般公開。

これが70年代のWRCで大活躍した初代A110。今見るととっても小さい。でもすごかった。

OB&現役デザイナーの話を聞くと最近のマツダのデザインが良くなってきた理由が分かる。

これが初代FFファミリア。大ヒットした。今ではフツーのドアミラーに移行したのも早かった。

トヨタ2000GTのスピードトライアルモデル(レプリカ)。僕達の知らないところで歴史は進んでいた。

"7"は当時の国際自動車連盟(FIA)の車両規格グループ7(オープン2シーターレーシンカー)からとられた。2000GTのスピードトライアルにも参加した福沢幸雄が事故死したマシンそのものではない。

開発当時はずいぶん話題になったが現在では忘れ去られたかのような感じさえするMID 4。

会場風景。手前がアルピーヌA110。その奥がトヨタのコーナー。プレスデーだから人は少ない。

 

 

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