ハイテク論議と自己責任

渋谷 英紀

 えー、ガソリンが超高いのなんのてんで、ビミョウに安いセルフスタンドが渋滞のようで。が、友人の友人がこんなこともアルカイな、と教えてくれました−→セルフ初体験らしきご婦人が「給油したのにエンストしちゃうわよ」とマジギレでね。でもこれ、当然の報い?の勘違いで“軽油”を入れちゃったんですな。なおもご婦人がボヤきました。「だって私の車“軽”なのよ……」。

 さてこの小話、選考会の懇談でも話題となったが、実は現実の出来事だと知ったら、どんだけーなんて笑えない。一方では「各賞の中でも特にハイテクが競う“テクノロジー賞”の選考が難しい」などと語らいながら、先のご婦人にはどんなハイテクもKY(空気が読めない)だろうな、と空しくなった。

 日進月歩のハイテクの進化に終わりなし、だが、ユーザーは益々車まかせで甘えて?ばかり。ミスって川や海に落ちると、水中で窓が開かない車が悪者扱い。ペダルを踏み違えてコンビニに突っ込み、立体ガレージから飛び出しても、車や車を止めきれない「車止め」が責められる。事故犠牲者をムチ打つつもりは毛頭ないが、居眠り・飲酒運転の防止まで車に責任を押し付ける現実は、やはり考えもの。とまぁ、以上が懇談の席での繰り言。

 ハイテクがどんなに安全をサポートしてくれても、ハンドルを握る責任の重さはこれからも変わらぬはず。かつての流行語「自己責任」のなんたるかは、はからずもセルフスタンドの小さな出来事が教えてくれたようだ。


最終更新日:2010/04/16