先進国から学んで得た知識と経験を日本が教授する時代へ

栗山 定幸

 日本の道路交通が、東京オリンピックへの準備もあってか、まだまだ混沌としていた時期に、ヨーロッパを走っていた。

 日本のような左側通行(イギリス、スウェーデンは別。当時)から右側になるから危険だとか、100キロ/時以上の高速で走れないとか、あるいは死亡事故などを起こすと、シャトー・ディフのような牢獄につながれて一生出られない−−、などといろいろ脅かされた。さすがに「鉄仮面をかぶせられ…」とまでは言われなかったが。

 しかし、さしたる経験を持たないこれらアドバイザーの言葉より実際の体験。案ずるより生むが易しで、そんなことは全く無かった。あらかたのリスクも先進的損害保険でカバーされていて。

 だがそれ以上に、安全に走れる要因は、何と言っても道路にきちんとレーンが引かれていたからに他ならない。そのレーン・システムは、やがて事故死半減を目指す日本に紹介され、あるいは日本の視察団が学んできて、日本的緻密さで国内に普及が進み、とにかく鼻先の出ている方が「接触しようが勝ち」といったジャパン・ルールは影を潜めることになる。

 これは一例だが、一口に言えばモータリゼーション先進国の知恵、ノウハウが日本に“輸入”された結果と言って良い。で、つぎは今や先進国日本の番だ。

 たとえばお隣中国の自動車排気公害の懸念。それならモータリゼーションのクリーン化についての経験と知識を、対中国輸出したらどうか。わがnpo−RJC主催の現地セミナーを開いてもいい。


最終更新日:2010/04/16