相反するテーマの両立を図る メーカー開発陣の苦労に敬意

永長 隆房

 RJCはクルマを中心に、様々な分野の専門家集団だけに、多岐にわたる忌憚のない意見交換が行われるのが楽しい。元レーサーのメカ・オタクからのかたい話、クルマを中心としたファッションや、ライフスタイルといったトレンディな話題、交通や環境問題、少子高齢化を迎えたクルマ社会、グローバル化した日本の自動車産業の行方など、多様な意見が飛び出してくる。

 今回で17回を迎えたRJCカー オブ ザ イヤー賞選考会が行われたが、近年、クルマを取り巻く環境は大きく変化しており、クルマづくり性能だけでなく、安全はもとより環境や省資源の立場から、電子化の導入によるハイテク化に加え、新素材の開発による軽量化など、特にこの10年、自動車技術の進歩には著しいものがあり、評価する側の視点も多面性を求められている。

 近頃のモータリゼーションは、これまで流行に敏感だった若者のクルマ離れが顕著になっており、ユーザーの中心が高齢者や、主婦を中心とした女性層に変わったため、使いやすさを求めるあまり、どのクルマも同じに見え、個性が失われているのが寂しい。

 新型車の発表会・試乗会で、メーカー開発陣との意見交換を通して、「性能を維持しながらの環境・省エネ」が、これからのテーマであるだけに、相反するテーマの両立を図る開発陣の苦労が見えてくる。 


最終更新日:2010/04/16