メルセデスベンツ Eクラス クーペ
Mercedes-Benz E-Class Coupe

高いだけのことはある。他の高級車とは次元が違う上質感

試乗車は最上級のE400 4MATIC(エアサス仕様)。クセがなく素直で落ち着いた走りを提供する。

2ドアクーペスタイルは新しい“セダン”のカタチでもある。SUVだけでなくコチラへも積極的。

リアビューはフロントに比べるとあっさりした印象。タイヤは前245/40R19、後275/35R19。


インテリアの特徴は横長の12.3インチディスプレイと、タービンをイメージしたエアアウトレット。

先代よりも後席レッグルームが74mm、ショルダーが34mm、ヘッドルームが15mm増えた。

エンジンは直4気筒ターボ(135kW/180kW)とV6気筒ツインターボ(245kW)。V6のみ4WD。


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 今やメルセデスもSUV系モデルを多数揃える時代になったが、古典的な2ドアクーペが今でも売れるのは、老舗高級車メーカーだからこそだろう。そもそも元となるセダンが上から下まで揃うこと自体が稀有だ。
 先代のEクラス クーペは後席が狭かったが、新型はホイールベースが伸びて後にしっかり2人乗れるのが売り。全長4855mmなら当然ともいえるが、この美しいルーフラインを4名乗車で実現するにはそれくらい必要なのだろう。
 ボディサイドの造形もスムーズで、なかなか新鮮な印象だが、Eセダンやほかの各モデルにはあるショルダー高さのプレスラインがクーペにはない。メルセデスの最も新しいデザインだという。近年のメルセデスは、ほかのブランドよりもシンプルで有機的な曲面のデザインが目立っているが、それをさらに極めようというわけだ。
 とはいえボンネットには、セダンにはないパワードームと呼ぶふくらみがふた筋付けられている。せっかくサイドがスムーズさを極めたのに、ちょっと残念な気はする。
 もうひとつのポイントがベルトライン。近年のとくにクーペ系モデルではなだからな弧を描いてリア下がりだったのが、このクルマはそれを直線的にした。それでもまだ全体としては比較的なで肩で、ソフトな印象があるが、それがメルセデス・ブランドの優雅さなのだろう。
リアシートの余裕とスムーズな走りが魅力だ
 乗り込むと、コクピットはEクラスと基本的に同じ。エアコン吹き出し口が、やや凝ったデザインになるのだけが違う。ダッシュの造形はSクラスとも似ており、モダンで華やか。12.3インチ大画面のモニターをメーターパネルと同じ高さ、同じ面にまとめているのは、見やすさとしても、造形としても良好だと思う。ドライバーズカーだぞと強調して運転席前のメーターナセルを独立させていないのが、メルセデスの大人たるゆえんだと感じる。
 後席はたしかに十分な空間があり、頭上も足元もまずは不足ない。窓は後席も開き、ピラーレスなので前席と合わせて全開できる。ただし後席には窓開閉のスイッチがなく、ドライバーに頼むしかない。後席が偉いセダンとはそこが違いで、座らせられるのはやはり友人か家族ぐらいか。乗り降りもちょっと難儀する。
 走りは、セダンとあまり変わらない印象。ホイールベースが短いぶんの差が多少あるかどうかぐらいの感じ。中級以上のメルセデスの常道的で、安定性と快適性重視の仕立て。今回速い弩級モデルと同行する場面もあったが、ロールはするし、右へ左への活発な走りはあまり気がすすまず、外観相応に快速でも優美に走るぐらいがちょうどよい。
 今回のグレードは、最上級のE400 4MATICクーペ スポーツなので、エアサスが付き、標準のComfortのほかに、Sport、Sport+へとサスのセッティングが変更可能。なので、今回は試さなかったが、Sport+なら、しっかり締めあげられて俊敏に走るだろう。乗り心地としては、Sport+だとだいぶ硬く、市街地ではComfortで走りたい印象。エアサスならではの快適感はあるが、Sクラスのようなとろけるほどの滑らかさではない。目地段差などもショックがないわけでないが、不快なことはなかった。速度が上がればがぜんスムーズさは増す。さすがに価格相応の上質感に包まれており、同じ快適といっても、大衆車とはやはり基本的に次元が違う。
 試乗車はV6エンジンを搭載しており、3リッターでターボもふたつ付き、最大出力245kW(333ps)、トルクも480Nmある。ひと昔前なら大変なパワーだが、今どきはそうでもなくなった。実際車重が1970kgもあって、過激なほどの加速には感じない。とはいえ常時快速走行できるだけの余裕は十分ある。遮音が充実しているので静かだが、回すとV6らしい快音が聞こえてきた。
報告:武田隆
写真:佐久間健

<武田 隆> 最終更新:2018/01/29