スズキ スペーシア
SUZUKI Spacia

優しさいっぱいのスペーシア、迫力グリルのカスタム

スペーシアのエンジンは自然吸気のみ。カスタムにはターボもある。この辺りの主張は明確。

前後誤発進抑制や後退時ブレーキサポートなどは全モデルに標準。安全性でも最先端を行く。

デザインモチーフはスーツケース。ドアサイド上下の凹みやインパネの一部でそれをアピール。


使いやすいアッパーボックスや、風が直接顔に当たらないエアコンルーバーなどの装備は歓迎。

低く段差の少ないリアステップは、子供を抱きかかえたお母さんや足の弱い高齢者に親切だ。

こちらがカスタムの顔。先代カスタムの人気はもうひとつだったらしく今回は思いっきり派手に。


※画像クリックで拡大表示します。

 広さを誇る軽自動車のハイトワゴンは、燃費とスペース競争の末、各社もう出尽くした感があったが、スズキのマイルドハイブリッド・新型スペーシア/スペーシア カスタムは、ちょっと違った。開発コンセプトは「みんなで乗って、ワクワクできるクルマに」。ターゲットユーザーは、30代のファミリー層とその親世代だそう。クルマに求められるワクワクする楽しさとは一体何だろうと、個人的にリアル親世代の代表として試乗させていただいた!
 スーツケースイメージをデザインしたという新型スペーシアは、優し気な表情で、スペーシア カスタムは、大きく迫力のあるフロントグリルが存在感を押し出している。広々した室内空間は、室内長2155mm、室内幅1345mm、室内高1410mm。後席にチャイルドシートを装着して子供を乗せる場合も、大人4名乗車でも、余裕を感じさせる広さを確保している。
 両サイドのスライドドアの開口部は高さ1250mm、幅600mmと、高さも幅も旧モデルと比較すると20mm拡大した。後席にチャイルドシートを1台装着して、祖父母が同乗することを前提に考えると、間口の幅が広く乗降グリップがあり、リアステップ地上高が345mmでステップとフロアの段差が少ないのはポイントが高い。寝ている子供を横抱きにして乗り込むときも、足が思うように上がらない高齢者も、乗り降りがしやすいからだ。また、後席は左右リクライニング&スライド可能。
 便利だと感じたのは、スライドドア側だけでなく荷室側からでもスライドできるところ。しかも、リアゲートに自転車のタイヤを溝に沿わせることで自転車を積みやすくするガイドを設置し、27インチの自転車が楽に積める。自転車で出かけた子供のお迎えや旅先などで、重宝しそうだ。さらにパワースライドドア予約ロック機能は、完全にスライドドアが閉まるまでロック操作を待たなくてもいいので、子供にせかされがちなユーザーには利便性が高いと言える。
軽自動車とは思えないほどの親切装備と安全ディバイス
 見晴らしの良さと運転のしやすさは、言うまでもないが、スーツケースをモチーフにした質感の良いカラーパネルを採用し、水平基調のデザインが左右への広がりを感じさせるインテリアは、洒落感がある。なかでもスーツケースのようなデザインのインパネアッパーボックスは、インパネボックス、インパネドリンクホルダーとともに、運転席からも手が届きやすく、使いやすい実用的な収納スペースになっている。快適性といえば、エアコンの風が直接顔に当たらないエアコンルーバー、室内全体を適温にするスリムサーキュレーターなど、軽自動車とは思えない贅沢な装備も設定されている。
 実際に子供や孫が乗るとなると、やはり気になるのは、安全装備のこと。新型スペーシア/スペーシア カスタムには、衝突被害軽減ブレーキ、後退時ブレーキサポートなどが全車標準装備するなど、先進安全技術「スズキ セーフティサポート」が、うっかりしてヒヤッとする危険を軽減して、毎日の安心とクルマの楽しさを支えてくれる。また、メーカーオプションで設定されている軽自動車初となるクルマの周囲360度を立体的に表示する全方位モニターやフロントガラス投影式のヘッドアップディスプレイなど、もはや高級車のようだ。
 価格帯は新型スペーシアが133万3800円〜158万9760円、スペーシア カスタムが157万6800円〜190万8360円。スペーシア カスタムにのみターボの設定があり、クルーズコントロールが装備されている。マイルドハイブリッドのJC08モード走行燃費は30.0km/L(HAYBRID G)、低燃費化技術もさることながら、パワーモードで力強い加速も楽しめるワクワクのあるクルマだった。
報告:緒方昌子
写真:佐久間健

最終更新:2018/02/01