【JAIA 2018】フレンチ・ホットハッチ対決
プジョー308 GT BlueHDI vs. ルノー・メガーヌ GT

ホットハッチの一大大国

サイズは両車似たようなもの。全幅も308 GT 、メガーヌ GTともに1.8mを超える。

308 GTのエンジンは2ℓ直4ディーゼルターボ。出力(133kW)は劣るがトルクが凄い。

ダッシュボードデザインは308の方が近代的。とくにメーター周りのデザインに個性が。


エクステリア・デザインのユニークさではメガーヌの方が勝る。強い顔つきである。

メガーヌは1.6ℓ直4ターボ。ガソリンユニットの極みともいえる仕上がりである。

室内全体の雰囲気はロークリアランス気味のメガーヌの方が近代的な印象を与える。


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 隙あらば人生を愉しもうとするのがラテンのサガだ。生活そのものはむろんのことクルマも然りで、たとえなんの変哲もないチープな小型車に乗っていても荒れて畝ったB級道路で、霧に包まれたアルペンルートで、好んで右足を床まで踏み付ける。
 戦後の耐乏期はカトリック故の大家族主義や禁欲的な税制と折り合いを付けるために小排気量/ハイギアリング/分不相応な外寸でおよそ俊敏さとは無縁のクルマづくりを強いられたフランス車だが、それが一変したのは1970年代末にフォルクスワーゲン・ゴルフGTIの後を追ってルノー・サンク・アルピーヌが、80年代前半にプジョー205 GTiが鮮烈なデビューを飾ってからのこと。
 当初サンク・アルピーヌはB級道路で鍛えられたストロークが長く路面を執拗に捉える「猫足」を売り物とし、205 GTiはGTIでピックアップの鋭いエンジンやレーシングカー的なダイレクト感、優れた回頭性を身上とするなどそれぞれ独自のキャラクターをアピールし、両メイクともそのためのチューニング部門まで設けて以後今日に続くホットハッチ路線を充実させてきた。
濃いのはどっちだ?
 そのフレンチ・ホットハッチ上級篇となるのがいずれもCセグメントに属するガチンコ・ライバルのプジョー308 GT BlueHDIとルノー・メガーヌ GTだ。けれどもこの2台、実は中身を知れば知るほど、そして実際に乗れば乗るほど、同クラスとしての類似点よりもむしろ違いの方が大きいのに気が付く。“エブリデイスポーツ”として目指すところは同じでもそのための手段と方向性が異なる、そのこと自体が豊かな選択肢の提供であり、ジャンルそのものの厚みを示すものでもある。
 片やマイナーチェンジで、片やフルチェンジで、日本市場に顔を揃えた最新モデルは同じく“GT”を名乗りながら2ℓ 308が直4ターボディーゼル133kW(180PS)、400Nm、メガーヌが1.6ℓ直4(ガソリン)ターボ151kW(205PS)、280Nmと基本的なスペックからしてまさに対照的。いざステアリングを握って走り出してみると違いはさらに大きく、一言で言えばひたすら五感の歓びに訴える「官能派」の308とモデルチェンジの有り様そのものがそうであるように一気に高級路線へと舵を切った「大人の」メガーヌと評することができそうだ。
 308はなんと言っても踏めばドカンと背中を押されるようなトルクの塊が印象的で、カートのような小径ステアリングホイールを操ってコーナーを駆け抜ける時、気分はすでにモータースポーツの世界に浸ることができる。それでいてファームだがダンピングの効いた乗り心地は苦痛とは無縁で快適だ。
 対するメガーヌはガソリンユニットが洗練の極み。やや線の細いキライはあるものの、肌理の細かい極上のスムーズさでタコメーターの針は盤面上を6000rpm+まで一気に駆け上がり、ライバルより1段多い7ATがその感を助長する。乗り心地はスムーズでフラットそのもの。かといってダンパーが自らその存在を主張するほど硬くもなく、ハーシュネスの遮断は秀逸である。
 「トールボーイ」風の308に対してメガーヌの室内はロースタンスでその分、絶対的なヘッドクリアランスはやや低めだが、全体の雰囲気はより今日風でもある。
 伝統的なバター味たっぷりの308とヌーヴェル・キュイジーヌ風のメガーヌ……。テイストは異なるが「フランス味」はどちらも間違いなく濃い。
報告:道田宣和
写真:怒谷彰久

<道田 宣和> 最終更新:2018/02/21