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先ごろフルモデルチェンジされた新型フォレスターに乗ってきた。スバル車と言えばアイサイトをはじめとする安全装備の草分け的存在として知られているが、新型フォレスターにも当然それらの装備を搭載。0〜120km/hの車速域でアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動でアシストしてくれるツーリングアシストも採用されている。
だが、何と言っても新型フォレスターの目玉は駆動系にハイブリッドを採用したe-BOXERが採用されたことだろう。エンジンに直結されたミッション内部にモーターを内蔵し、加速時や中速走行時にエンジン出力をアシスト。エンジン効率の悪い低回転時にはモーターだけでも走行することもできる。
スバルではこれまでもハイブリッド車をユーザーに提供してきたが、従来のハイブリッド車のEV走行頻度が20%程度だったのに対し、新型フォレスターは30%を超える頻度を実現。もちろんモーターアシストによる中間加速も大きく性能がアップしている。
そんな新型フォレスターを今回は一般道で試乗させてくれた。特に川崎〜横浜という一般道と首都高を使用しての試乗となったが、多くの一般車両が走行し、なかには渋滞もあるという、あえて混雑した一般道での試乗に大きな意味がある。そういった混雑した状況のなかでも安心して快適に走行できることを確認してほしいということだ。
アクセルレスポンス、ブレーキフィールとも好感触の2.5ℓ
今回の試乗車は2種類。新型フォレスターのラインナップには2.5リッターNAエンジンを搭載したモデルもある。e-BOXERのほかに2.5リッターモデルにも試乗することができた。試乗は川崎の東扇島にある川崎マリエンをスタート、産業道路から首都高横羽線に入り、パシフィコ横浜を往復する片道約20kmの区間だ。
まずは2.5リッターモデルからスタート。エンジンの出力スペックは最大出力136kW(184PS)/239Nmを発生するが、1.5トンオーバーの車体を軽々と加速させてくれた。渋滞こそしていないものの、交通量の多い首都高でもアクセルを踏み込めば一気に流れに乗れるイメージだ。アクセルレスポンスも悪くない。車重を感じさせない加速感を味合わせてくれた。
新型フォレスターは減速フィールの向上にもこだわったそうで、ブレーキペダルの踏力に応じた減速Gを発揮できるフィールを目指したそうだが、確かにブレーキング時もペダルストロークが多くなるに連れて急に減速することなく、違和感なくブレーキを踏むことができた。
また、新型フォレスターは乗り味の向上にも力を入れたそうで、ボディ剛性を大きく向上させているのも特徴のひとつだ。ボディの横曲げ剛性を2倍、ねじれ剛性を1.4倍に高めたという。特にリヤまわりの剛性をアップさせた。リヤスタビライザーが、これまではリヤのサブフレームに固定されていたが、これをボディに直接固定することでコーナリング時のボディのねじれを50%低減させている。
混雑している市内での走行ということで、ワインディングを気持ち良く攻めるという走らせ方はできなかったが、足まわりのしっかり感は感じ取ることできた。ただし、乗り心地にかんしては多少突き上げ感も感じた。極端にゴツゴツした乗り心地ではないが、この手のクルマにしては小さなギャップでも身体に感じる突き上げ感が大きいという印象だ。もちろん、それが悪いと言っているわけではい。個人的には首都高の車速域でもコーナリングでしっかり踏ん張ってくれる安心感があるし、グラベルロードでも安定した走りができるだろう。
走行中のエンジン再始動、停止が実になめらかなe-BOXER
そして乗り換えたe-BOXERでは、107kW(145PS)/188Nmの2.0リッターNAエンジンに10kW(13.6PS)/65Nmのモーターを組み合わせているが、発進時のモーターアシストがしっかり効いているのが体感できる。ステアリングにはSI-DRIVEのSモードとIモードを切り替えるスイッチも装備されており、Iモードはエンジンの出力曲線を抑えたマイルドな走りになるが、Sモードに切り替えるとかなりピックアップのいい走りを体感することができる。
ただ、Sモードでは逆にモーターアシストが効くとアクセルレスポンスがややシビアになってしまうような気がした。たしかにアシストは強力なのだが、ちょっとアクセルを踏んだだけでグンと加速してしまうからだ。単純な加速感は2.5リッターモデルと大きく変わらないが、個人的には2.5リッターモデルの方が扱いやすさは上だと感じた。
また、20〜30km/hで住宅街も走ってみたが、たまにタコメーターが動かないモーターだけの走行に自動で切り替わる。ある程度モーターだけで走行すると走行中にエンジンが再始動するのだが、タコメーターを見ていないといつエンジンが止まったのか始動したのか分からないくらいエンジン音の静粛性は高い。
e-BOXERはモーター駆動用のバッテリーがトランクにある。したがってスペアタイヤを搭載するスペースがなく、タイヤパンク修理キットが搭載されているだけだ。2.5リッターモデルにはスペアタイヤが搭載されているが、個人的には最近多くなってきているパンク修理キットだけの搭載には懐疑的だ。普段、使い慣れていないだけに、いざパンクした際に、年配のドライバーが本当に使いこなせるか疑問だからだ。しかもサイドカットしてしまえばパンク修理キットも使えない。
室内はシート形状もより広い面積で身体が接触する形状が採用され、サポート性能も向上している。だが、運転していて最も感じたのはボディの大きさだ。実際には前モデルから横幅で30mm程度しか大きくなっていないそうだが、特に首都高を高速で走っていると、隣を走行しているクルマとコンクリートウォールに挟まれている感覚が強い。慣れの問題もあるかもしれないが、かなり気を使った運転となった。ただ視界は悪くない。
またツーリングアシストは最近のクルマらしく、前車追従能力はさすがアイサイトという感じ。ステアリングのアシストも効くが、これまた個人的な感覚で恐縮だが、なかなかクルマを信用できないたちなので、多少の恐怖感を感じてしまう。信用できないから常に右足をブレーキパダルの上で待機させてしまうので、逆に足が疲れてしまう。首都高や混雑した一般道でなく、高速道路のロングドライブではラクできるのかもしれない。
報告:若槻幸次郎
写真:佐久間健