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マイナーチェンジされたトゥインゴは、コンパクトカーのあるべき概念をまた一歩前進させる意欲を感じさせる。3気筒0.9LターボエンジンとツインクラッチEDCの組み合わせは、小排気量過給エンジンに代表されるダウンサイジジング・パワーユニットのネガを打ち消し、ストレスのないドライビングを満喫できる。
低速トルクを重視した過給エンジンとはいえ、目まぐるしく変化する街中のストップアンドゴー、アップダウンの激しい郊外路では、小排気量過給エンジン特有のピーキーな特性がときに大きな足かせになる。しかし、それは6速ツインクラッチギヤボックスによるシームレスに近いシフトによって、常に最適なギヤを選ぶことで見事に解決している。
ECUが車速とスロットル開度を常にモニターし、1〜6速のなかから最適なギヤを選んでいる実感は坂の多い市街地を運転すればすぐに分かるはずだ。VWゴルフのDSGと違ってメーターパネルに選んでいるギヤが表示されないのは残念だが、目まぐるしくギヤがセレクトされている感触は、少しスロットルを開けただけで思い通りの加速が得られることで実感できるだろう。
最小回転半径4.3m。高速での安定性も文句なし
トゥインゴはスマートの兄弟車だけにリヤエンジン、後輪駆動レイアウトを取っているが、コンパクトカーとしての資質、パフォーマンスはFF車に勝るとも劣らない。後輪が路面を蹴る感触、心地よいエンジンを楽しめる車内、さらに信じがたいほどに利く小回り。炎天下の都内を走り回ったあとエンジンルーム上のハッチバックフロアを触ってみてもほんのり温かいという程度だった。
軸荷重はフロント450kg、リヤ570kgとフロントがわずかに軽いが、高速道路における接地感はきちんと確保され、直進安定性も申し分ない。ハッチバック内のフロアがわずかに高いことを除けば、この小さなボディにRRレイアウトを採用したメリットはきわめて大きいといえるだろう。
報告:椎橋俊之
写真:佐久間健