ルノー・トゥインゴ

こまめに働くEDC。でも、これ日本専用。他国はすべてMT

東京でもこんな道は多い。物理的なコンパクトさはやはり重要。全幅は1650?。ひと頃の日本車の標準サイズだ。大きいことはホントにいいことかな? ちょっと考えさせられる。

サイドから見るといかに実用性にも考慮して造られたかがよくわかる。前後タイヤギリギリまで使い室内スペースを確保。細かいことを言えばホイールやストライプもデザイン変更。

Cシェイプと呼ばれるLEDランプを前後に採用。バンパーの形状も変わり、フロントバンパーからの空気はホイールハウスに抜ける。左リアフェンダーには吸気用エアインテークも。


フロントバンパーの下側からの空気はホイールハウスに抜けてCd値を稼ぐ。バンパー下部にフォグランプが付いたのも新しい。顔つきは全体にどことなくすっきりした。パリ風か?

897cc3気筒ターボエンジンは49°傾けてリアラゲッジの下に置かれる。最高出力は68kW(92ps)だがとくに不満はない。EDCと呼ばれるデュアルクラッチは日本だけ。ほかの国はMTのみだという。

シートは白かライトグレーで統一される。インパネの印象は大きく変わった。ダッシュボードには「EASY LINK」機能を持つ7インチタッチスクリーン。スマホ機能にアクセス可。


※画像クリックで拡大表示します。

 マイナーチェンジされたトゥインゴは、コンパクトカーのあるべき概念をまた一歩前進させる意欲を感じさせる。3気筒0.9LターボエンジンとツインクラッチEDCの組み合わせは、小排気量過給エンジンに代表されるダウンサイジジング・パワーユニットのネガを打ち消し、ストレスのないドライビングを満喫できる。
 低速トルクを重視した過給エンジンとはいえ、目まぐるしく変化する街中のストップアンドゴー、アップダウンの激しい郊外路では、小排気量過給エンジン特有のピーキーな特性がときに大きな足かせになる。しかし、それは6速ツインクラッチギヤボックスによるシームレスに近いシフトによって、常に最適なギヤを選ぶことで見事に解決している。
 ECUが車速とスロットル開度を常にモニターし、1〜6速のなかから最適なギヤを選んでいる実感は坂の多い市街地を運転すればすぐに分かるはずだ。VWゴルフのDSGと違ってメーターパネルに選んでいるギヤが表示されないのは残念だが、目まぐるしくギヤがセレクトされている感触は、少しスロットルを開けただけで思い通りの加速が得られることで実感できるだろう。

最小回転半径4.3m。高速での安定性も文句なし

 トゥインゴはスマートの兄弟車だけにリヤエンジン、後輪駆動レイアウトを取っているが、コンパクトカーとしての資質、パフォーマンスはFF車に勝るとも劣らない。後輪が路面を蹴る感触、心地よいエンジンを楽しめる車内、さらに信じがたいほどに利く小回り。炎天下の都内を走り回ったあとエンジンルーム上のハッチバックフロアを触ってみてもほんのり温かいという程度だった。
 軸荷重はフロント450kg、リヤ570kgとフロントがわずかに軽いが、高速道路における接地感はきちんと確保され、直進安定性も申し分ない。ハッチバック内のフロアがわずかに高いことを除けば、この小さなボディにRRレイアウトを採用したメリットはきわめて大きいといえるだろう。

報告:椎橋俊之
写真:佐久間健

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