ホンダ インスパイア

新しい時代への進化を果たしたラグジュアリー・セダン

小堀 和則



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 先代のインスパイアは、ホンダの走る実験車のような存在だった。ハイパワーと燃費性能を両立した可変シリンダーシステム(VCM)採用の3LV6エンジンや、白線を認識してハンドルを自動的にセンターに戻すLKAS、レーダーで前車との車間距離を保つIHCCなどを統合制御した運転支援システム(HiDS)には、感動すら覚えたほど。

 それから、約5年の歳月を経て登場した新型インスパイア。最大の特徴は、3.5Lに拡大されたV6エンジンと、さらに進化した可変シリンダーシステムにある。従来の3.6気筒制御のほかに、4気筒制御をプラスしたことで、よりスムーズな加速と燃費性能を手に入れた。実際にドライブしても、切り換わったポイントはほとんど分からないし、3.5lV6エンジンらしいトルクフルな加速も十分に味わえる。なにより、レギュラーガソリン仕様となったのは、うれしいかぎりだ。

 一方、運転支援システムに関しては、最大のウリであったLKASが廃止されてしまった。IHCC改め、ACC(アダプティブクルーズコントロール)は、VCMとの統合制御で効率よく気筒休止を働かせて燃費を向上させることを重視しているため、クルーズコントロールとしての制御は、やや扱いづらく感じた。ただ、試乗した高速道路は、大井南から大黒を回ってくるという比較的速度が保ちにくいコース。東名や中央道などでは、問題なく走行できると思う。

 乗り心地やハンドリングは、非常に安定していて大型セダンのよさをあらためて感じさせるもの。高級セダンはFRといった概念を覆してくれるほどだ。普通に運転するには、車体の大きさもあまり感じないが、全長でほぼ5m、全幅で1.85mというサイズは、やはり日本の道路事情では大きすぎ。狭い路地や車庫入れなどでは、扱いに苦労してしまう。しかし、後部座席やトランクルームの広さは特筆ものだし、堂々としたルックスを主張する大人のセダンとしては、このサイズがちょうどいいのかもしれない。

<小堀 和則> 最終更新:2010/04/23