メルセデスの最新SUVにイッキ乗り!

4モーターで4輪を駆動する電気自動車、G580 EQテクノロジー。日本仕様は導入記念の「エディション1」。

フルデジタル化されたメーターなど、インパネまわりの光景はエンジン車のGクラスと大きくは変わらない。

日本でいちばん売れているメルセデス車、GLCにエントリーグレードのGLC220d「コア」が加わった。


Eクラス ワゴンにSUVテイストを付加したクロスオーバーワゴン、E220d オールテレイン。

メルセデス・マイバッハ初の電気自動車、EQS680 SUV。内外装ともゴージャスで、走りは極めて静か。

メルセデス・マイバッハのフラッグシップSUV、GLS600。4LのV8ツインターボに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせる。


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 GLCに追加設定されたエントリーグレードから、マイバッハのフラッグシップSUVまで、メルセデスの最新SUVを一気に味わえる試乗会に参加する機会を得たので、各モデルのショートインプレッションを報告しておきたい。

日本でいちばん売れたメルセデス・ベンツ車はGLC

 2024年に日本でいちばん売れたメルセデス・ベンツ車は、CクラスでもEクラスでもなく、ミドルクラスSUVのGLCだった。純輸入車の年間登録台数でも第2位(1位はMINI)だが、MINIは全モデルの合計だから単一モデルとしてはGLCが1位かもしれない。また、ミドルクラスSUVとしても首位を獲得した。

 そんなGLCにエントリーグレードのGLC220d「コア」が加わった。従来モデルのGLC220dから装備をスリム化し、車両価格を57万円引き下げた。それでも、安全装備やオフロード性能に変わりはない。

 最新メルセデスに共通のスポーティなスタイリングに張り出したフェンダーやホイールアーチが、都会にも似合うスタイリッシュなSUVらしい。SUVとしてはアイポイントが低めなので、セダンなどから乗り換えても違和感は少ないだろう。

 2LのディーゼルターボはISG(スターター&ジェネレーター)を組み込んだマイルドハイブリッドで、ディーゼルらしく低速からトルクがあるがノイズは抑えられている。ISGによりアイドリングストップからの再始動もスムーズだ。

 車高は1600mmを超えるが、箱根のワインディングロードをそこそこのペースで走って楽しめるパフォーマンスは持ち合わせている。SUVとは「スポーツ ユーティリティ ビークル」の略だが、このGLCはSUVらしいクルマといえるかもしれない。最小回転半径は5.5mだが、オプションの後輪操舵を装着すれば5.1mとなる。

 都会で扱うにも適度なサイズで、室内も荷室も十分に広い。コンベンショナルなSUVボディに加え、よりスタイリッシュなクーペSUVも設定している。インフォテインメントシステムも進化し、タッチディスプレイも扱いやすくなった。予算的に問題がないのなら、初めての輸入SUVとしても最適な1台といえるだろう。


■ メルセデス・ベンツ GLC220d 4マティック コア 主要諸元

●全長×全幅×全高:4720×1890×1640mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1930kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1992cc
●最高出力:145kW(197ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm/1800−2800rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:軽油・62L
●WLTCモード燃費:18.1km/L
●タイヤサイズ:235/60R18
●車両価格(税込):819万円




SUVよりも普段使いで普通に乗りたいなら…

 このEクラス オールテレインは、正確にはSUVではない。Eクラス ステーションワゴンをベースに車高を40mmほどアップし、フェンダーアーチや前後バンパーのアンダーガード風ガーニッシュなどでSUVテイストを付加した、クロスオーバーワゴンだ。

 アウディがA4やA6に「オールロードクワトロ」なる、アバント(ワゴン)をベースにSUVテイストを加えたクロスオーバーワゴンを設定して人気を集めたが、このオールテレインは、そのメルセデス版といえるだろう。Eクラスのオールテレインとしては、この現行型で2代目となる。

 ドアを開けて乗り込んでしまえば、ノーマルのEクラスと変わらないインテリアが展開している。それでもアイポイントは少し高められていて視界は良い。サイズを考えると街中ではノーマルのEクラスより運転しやすいだろう。

 パワートレーンは前述したGLC220dと同じ、2Lの直4ディーゼルターボ+ISGだ。パワースペックは発生回転数まで含めて変わらない。車両重量は2トン近いが、1800rpmから440Nmの最大トルクを発生するディーゼルターボと、それをアシストするISGのおかげで発進や加速に不満はない。

 9速ATは普通に走っていると1500rpmくらいを保ってディーゼルとは思えないほど静かに走るが、少しアクセルペダルを踏み込めば力強く加速する。今回は高速道路を走る機会はなかったが、ハイウエイクルーザーとしても活躍できそうだ。

 普段使いを考えると、SUVはちょっとね…という人は少なくない。ワゴンとしては最高の1台でもあるEクラスにSUVテイストを加えたクロスオーバーのオールテレイン、全高も1.5m以下で都会の立体駐車場も問題なく使えるから、この点もけっこう大きなアドバンテージかもしれない。


■ メルセデス・ベンツ E220d 4マティック オールテレイン 主要諸元

●全長×全幅×全高:4960×1890×1495mm
●ホイールベース:2960mm
●車両重量:2060kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1992cc
●最高出力:145kW(197ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm/1800−2800rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:軽油・66L
●タイヤサイズ:255/45R19
●車両価格(税込):1103万円




電気自動車になってもGクラス「らしさ」は変わらず

 かつては「ゲレンデヴァーゲン」と呼ばれていたメルセデスの本格オフロード4WD、Gクラスにも電気自動車の「EQテクノロジー」が登場したのは、やはり時代の趨勢なのだろうか。現在のところ日本仕様のGクラス電気自動車は、導入記念の特別仕様車「エディション1」のみが販売されている。

 パッと見には、エンジン車のGクラスと基本的には変わらない。エンジン車ではリアにハードカバー付きのスペアタイヤを背負っているが電気自動車では収納ボックスになっていることと、リアフェンダー前には空力向上の目的で小さなスリットが設けられたことくらいだろうか。

 パワーユニットは驚異的だ。4WDの電気自動車は前後のアクセルに2モーターを搭載したものがほとんどだが、Gクラスでは4輪を独立したモーターで駆動する4モーターだ。各モーターは147psと291Nmを発生し、システムトータルで587psと1164Nmを発生する。バッテリーの総電力量は116kWhもあり、それゆえ車両重量は3トンを超える。

 エンジン車のGクラスと同様、ステップに足をかけてヨイショと乗り込む。フルデジタル化されたメーターなど、インパネまわりの光景はエンジン車のGクラスと大きくは変わらない。電気自動車ゆえ、アクセルペダルを踏み込めば静かに発進するが、ドライブモードを「スポーツ」にするとV8エンジンのような(疑似)サウンドを発する。

 4モーターによる走りっぷりは3トンを超える車両重量をものともしないパワフルなものだが、ブレーキングは強力なものの少し気を遣う。それでも重いバッテリーを床下に敷き詰めている関係で重心が低いせいか、ハンドリングは思ったほど悪くない。

 スポーツモードのまま走っていると、電気自動車であることを忘れ、エンジン車のGクラスに乗っているかのような錯覚さえ受ける。そう、電気自動車になっても、やはりGクラスはGクラスだった。


■ メルセデス・ベンツ G580 EQテクノロジー エディション1 主要諸元

●全長×全幅×全高:4730×1985×1990mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:3120kg
●モーター:交流同期電動機×4
●システム最高出力:432kW(587ps)
●システム最大トルク:1164Nm
●バッテリー総電力量:116kWh
●WLTCモード航続距離:530km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:275/50R20
●車両価格(税込):2635万円




マイバッハのウルトラ ラグジュアリーSUV電気自動車

 メルセデス・マイバッハ初の電気自動車として日本に導入されたのが、このEQS680 SUVだ。全長は5m、全幅は2mを超え、ホイールベースも3.2mを超える。前後に2モーターを搭載した4WDで、システムトータルの最高出力は484kW(658ps)、最大トルクは955Nmというパワースペックは、前述のG580 EQテクノロジー(こちらは4モーター)より最大トルクは劣るが最高出力は上回っている。

 エクステリアはラグジュアリー ブランドのマイバッハにふさわしいもの。フロントグリルやリアエプロンはマイバッハ専用、ヘッドランプには片側100万画素以上のデジタルライト、LEDリアコンビネーションランプ、ブランドロゴ プロジェクターライトなど、枚挙に暇がない。

 インテリアはさらにゴージャスだ。リアシートは通常は3人掛けだが試乗車はオプションのファーストクラスパッケージを装着して2人掛けとなっている。その名のとおり旅客機のファーストクラスのような左右セパレートのシートで、格納式テーブルやクーラーボックスも備わる。

 まずは運転手となって走り出そう。その気になれば0→100km/h加速は4.4秒というパフォーマンスを発揮するが、アクセルペダルを静かに踏めば3トンを超える(それでもG580よりは少し軽い)ボディはスルスルと加速する。エアマチックサスペンションのおかげで乗り味はきわめて快適。

 高速道路を走る機会も得たが、きわめて静かで、そしてスムーズだが、いままでのクルマとは違う、異質の乗りものを運転している感覚に陥る。だが、このクルマをオーナーが運転することはまずないだろう。

 ウルトラ ラグジュアリーなクルマの市場も多くのブランドがEV化を進めている。はたして、どんなオーナーがこのクルマを選ぶのだろうか。

■ メルセデス・マイバッハ EQS680 SUV 主要諸元

●全長×全幅×全高:5130×2035×1725mm
●ホイールベース:3210mm
●車両重量:3050kg
●モーター:交流同期電動機×2
●システム最高出力:484kW(658ps)
●システム最大トルク:955Nm
●バッテリー総電力量:118kWh
●WLTCモード航続距離:640km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:275/40R22
●車両価格(税込):2790万円




V8ツインターボを搭載したマイバッハのフラッグシップSUV

 最後に紹介するメルセデス・マイバッハ GLS600は、メルセデス(ベンツおよびマイバッハ)では最高価格となる、マイバッハのフラッグシップSUVだ。

 それでも、パワートレーンはかつてのようなV12ではなく、557psと770Nmを発生する4LのV8ツインターボ。これに48V電源とISGを組み合わせたマイルドハイブリッドで、9速ATを介して4輪を駆動する。

 ベースはメルセデス・ベンツ GLSだが、大きなラジエターグリルにマイバッハのロゴを散りばめたエアインテーク、ドアの開閉に連動して出現する電動ランニングボードなど、エクステリアはゴージャス。サイズ的には前述のマイバッハ EQS680より全長は少し長く、幅はほぼ同じだが車高は10cm以上高い。それでもホイールベースは少し短い。タイヤは前後異サイズの23インチだ。

 インテリアの豪華さは、マイバッハ EQS680とほぼ変わらない。ベース車は3列7人乗りだが、こちらは2列5人乗りで、オプションのファーストクラスパッケージを選べるのはEQS680と同じだ。試乗車は5人乗りだったが、リアシート中央は巨大なアームレストになる形状で、実質的には2人掛けといった感じだ。

 このクルマも2.8トンを超える車両重量だが、ISGがアシストして発進からトルクは十分で、アクセルレスポンスも良い。普通に走っていればエンジンは2000rpmも回っておらず室内は静かだが、そこから少しだけアクセルペダルを踏み込めばV8ツインターボのサウンドを感じながら力強く加速する。

 エアサスペンションを進化させたEアクティブ ボディコントロールにより、乗り心地はきわめてフラット。このクルマもオーナーの指定席はリアシートだろうが、運転手としては、前述のEQS680よりはこのGLS600のほうがファン to ドライブを味わえるように思えた。

■ メルセデス・マイバッハ GLS600 主要諸元

●全長×全幅×全高:5210×2030×1840mm
●ホイールベース:3135mm
●車両重量:2810kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:3982cc
●最高出力:410kW(557ps)/6000-6500rpm
●最大トルク:770Nm/2500-4500rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・90L
●タイヤサイズ:前285/40R23、後325/35R23
●車両価格(税込):3220万円

(報告/写真:篠原 政明)

最終更新:2025/06/24