アルファロメオ ジュニア

「スポーツ ハッチバックと呼びたい、アルファロメオのコンパクトSUV」

コンパクトなサイズは街中でキビキビ走るのにはちょうど良い。コンパクトSUVというよりはスポーツ ハッチバックといった印象だ。

全長は4.2m足らずとコンパクトなサイズだが、けっこう筋肉質で力強いプロポーション。リアサイドドアのハンドルはCピラーにある。

スパッと切り落とされたコーダトロンカのリアエンドやテールランプのデザインなど、リアビューも独特。ルーフスポイラーも装着。


1.2Lの直3ターボエンジンにモーター内蔵のDCTと48Vバッテリーを組みあわせたマイルドハイブリッド システムを搭載。

ドライバーオリエンテッドなコクピット。エアコン吹き出し口やメーター、コンソール周辺にはLEDライトと、アンビエントライトも装備。

試乗車の「プレミアム」はファブリック/テクノレザーのコンビシート。運転席はヒーター付きで電動アジャスト。


※画像クリックで拡大表示します。

 ステランティス グループがプロデュースする「アルファロメオ」ブランドから、久々のニューモデル「ジュニア」が日本デビューを果たした。日本仕様は電気自動車(BEV)とマイルドハイブリッド車(MHV)が設定されたが、まずはMHVのショートインプレッションをお届けしよう。

コンパクトでもアルファロメオらしい内外装

 ここのところ、ステランティス ジャパンのニューモデル攻勢が凄まじい。しかも「マルチエネルギー戦略」に則って、BEVだけでなくMHVもラインナップしている。「アルファロメオ」ブランドとしてはトナーレ以来、2年ぶりのニューモデルとして日本に導入されたのが、コンパクトSUVの「ジュニア(Junior)」だ。

 クルマ好きならご存じと思うが、このクルマは2024年に発表されたときは「ミラノ」という車名だった。だが、イタリアでは自国外で製造された(ジュニアはポーランドで生産)製品にイタリアを連想させる名称を使用することを法律で禁止していることから、1960年代の「GT1300ジュニア」をインスパイアした車名に変更された。

 ミトやジュリエッタがフェードアウトして、空席となっていたアルファロメオのコンパクトカーの位置を埋めるべく登場したジュニア。全長は4.2m足らず、全幅も1.8mを切るサイズながら、そのスタイリングは筋肉質でけっこう力強い。独特の3眼ヘッドランプに三つ葉形状のフロントグリル、そしてテールをスパッと切り落としたコーダトロンカなど、好きな人にはたまらないデザインだろう。

 フロントグリルは伝統の盾型だが、BEVとMHVの200台限定車「スペチアーレ」はアルファロメオのエンブレムをアレンジした「プログレッソ」と呼ばれるタイプで、MHVの「プレミアム」と「コア」はメッシュグリルに「AlfaRomeo」のロゴが入った「レジェンダ」と呼ばれるタイプになる。どちらもジュニアの顔つきには似合っているようだが、個人的にはクラシカルな「レジェンダ」のほうが好みだ。

 インテリアもエクステリア同様にスポーティだ。今回の試乗車は、MHVの「イブリダ プレミアム」。イブリダ(Ibrida)とはイタリア語でハイブリッドを意味する。前述の「スペチアーレ」のような本格的スポーツシートなどは装着されないが、BEVと同じファブリック/テクノレザーのコンビシート(ヒーター付き)やレザーステアアリングホイールを装備し、メータークラスターは伝統のテレスコープデザイン、インパネ中央には10.25インチのタッチスクリーンなどを備え、操作性も良さそうだ。

パワートレーンやプラットフォームは600HVと共通

 試乗車のパワートレーンは前述のようにMHVだが、1.2Lの直3 DOHC ガソリンターボエンジンに電気モーターを内蔵した6速DCTと48Vバッテリーを組み合わせた、いわゆる48Vマイルドハイブリッドだ。発進時や渋滞走行などではモーターのみでの走行も可能だ。駆動方式はFFのみ。

 このパワートレーン、エンジンやモーターのスペック、そしてDCTのギアレシオまで含めて、以前に試乗レポートを紹介したフィアット 600ハイブリッド(以下、600HV)と変わらない。それはつまり、両車ともステランティス グループの電動車用プラットフォームである「e-CMP」を採用しているからで、日本にはBEVしか導入されていない(いずれはMHVも導入される予定)ジープ アベンジャーも含めて、内外装は違うが中身は姉妹車ということになる。

 まずは走り出してみよう。600HVではインパネ下部のボタン式だったATセレクターだが、このジュニアではセンターコンソールのスイッチ式となる。今回の試乗は外気温計が30度以上を示す真夏の都会だったため、停車中などはエンジンが停止しているものの発進するとすぐにエンジンがかかってしまう。試しにエアコンをOFFにしてジワッと発進してみると、15km/hくらいまではモーター走行してからエンジンが始動した。

 それでも信号待ちの多い市街地走行では頻繁にアイドリングストップするし、燃費向上には効果があるだろう。WLTCモード燃費は23.0km/Lで600HVと同じ数値となっている。

 同じプラットフォームに同じパワートレーン、しかもカタログ上の車両重量も同じ。さらにタイヤのサイズ(215/55R18)と銘柄(グッドイヤー エフィシェントグリップ)も同じ。とはいえ、乗り味はけっこう違う。端的に言ってしまえば、600HVよりもジュニアのほうがスポーティだ。

 足まわりは、少し硬めにセッティングされているようだ。加速時にはターボが効き出す前の領域をモーターがアシストしているようで、その感覚は600HVと大きくは変わらない。アクセルペダルを戻すと回生ブレーキが強めに効き、ワンペダル的に扱えるのも600HVと同様だが、その効き方は600HVよりは抑えられているようだ。

初めてのアルファロメオ車には最適な1台

 今回の試乗では市街地走行を中心に首都高速を少し走った程度だが、アルファロメオ、それもGT1300ジュニアの名を受け継いだだけあって、軽快な走りが楽しめた。コンパクトなサイズは街中でキビキビ走るのにはちょうど良い。スポーツモデルに匹敵するクイックなハンドリング性能を実現したというが、それほどスパッと切れるのではなく、むしろそれはスポーティな走りを楽しむにはちょうど良いくらいの感覚だ。

 運転支援装備も充実しており、首都高速でアダプティブクルーズコントロールを少しだけ試してみたが、追従性やレーンキーピングアシストの直進安定性は不満ないレベルにある。

 ただ、これは試乗車の個体差なのかもしれないが、走行距離も少なく(約1700km)トランスミッションもアタリがついていないのか、DCTに少しギクシャク感があった。また、アルファロメオ車に共通の「DNA」ドライブモードセレクターも備わっており、基本は「N(ナチュラル)」で走っていたが「D(ダイナミック)」にするとエンジン回転数を高めまで引っぱる。とはいえ、市街地走行では極端な違いは分かりにくかった。

 Bセグメントとしては室内もラゲッジルームも広さは必要十分だろう。リアシート使用時でも415L(BEVは400L)のラゲッジスペースがあり、ハンズフリー機能付きの電動テールゲートも備わっている。大人4人の長距離ツーリングも問題なくこなせそうだ。

 ジュニアは「アルファロメオ」のブランド名からイメージされるほどのスポーツモデルではない。だが、初めてのアルファロメオ車として「アルファロメオのスポーティさを味わってみたい」と思う人には最適なモデルかもしれない。

 今回はMHVの短時間試乗だったが、じっくり付き合ってみると印象は変わるかもしれない。また、近いうちにBEVも試乗してみるつもりだ。こちらも同じパワートレーンとはいえ、フィアット 600eとはかなり違った印象が得られるだろう。

 ステランティス ジャパンでは、同じMHVのパワートレーンながら新開発のプラットフォーム「STLA-Medium(ステラ ミディアム)」を使用した新型プジョー 3008も日本導入を開始した。いずれ、ジープ アベンジャーもMHVを追加設定するだろう。そうなると、ますます選択肢が増えてくる。同じパワートレーンながら好きなデザインと走り味を選ぶことができるというステランティス ジャパンのマイルドハイブリッド戦略、今後の展開が楽しみだ。
(報告:篠原政明/写真:原アキラ、ほか)


■ アルファロメオ ジュニア イブリダ プレミアム 主要諸元

●全長×全幅×全高:4195×1780×1585mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1330kg
●エンジン:直3 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1199cc
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:230Nm/1750rpm
●モーター最高出力:16kW/4264rpm
●モーター最大トルク:51Nm/750−2499rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・44L
●WLTCモード燃費:23.0km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):468万円

最終更新:2025/07/13