テスラ モデルY Lは「究極のファミリーカー」か

いかにもテスラの電気自動車らしい、きわめて静かで快適な走りっぷり。しかも、その気になれば恐ろしく速い!

2列5人乗りのモデルYの全長を190mm、ホイールベースを150mm伸ばして3列6シーター化。ルーフラインなどは再設計された。

新デザインのリアスポイラーも採用。テールランプはモデルY同様、量産車初の拡散反射技術を用いた一文字タイプ。


16インチのタッチスクリーンだけの、シンプルなインパネ。センターコンソール左下に置かれた黒い四角がカードキー。

クルマのほとんどの機能は、ディスプレイにタッチして行う。シフトチェンジは右上の小さな「PRND」部分で操作する。

2列目は電動アジャストで、アームレストも電動で昇降する。ヒーター&ベンチレーションも備わり、ここが特等席か。


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 テスラ ジャパンが日本に導入を開始した最新モデルが、3列6人乗りのオールランドSUV「モデルY L」だ。ミニバンとは謳われていないが、ライバルとなるであろうラージサイズの日本製ミニバンにも影響を与えそうだ。

ただモデルYをロングボディ化したわけではない

 2023年に世界で最も売れた乗用車が、テスラのモデルY。その全長を190mm、ホイールベースを150mm伸ばして3列6シーターのオールラウンドSUVとしたのが、このモデルY Lだ。とはいえ、ただロングボディ化したわけではない。たしかにAピラーから前の部分はモデルYと共通だが、ルーフラインやボディ下部を再設計し、リアセクションは別デザインとし、新デザインのリアスポイラーも採用した。名称からモデルYの派生モデルのように思えるが、もはや別モデルといっても差しつかえないだろう。

 エクステリアデザインの再設計などにより、空気抵抗係数(Cd値)は0.216という驚異的な数値を達成。これは、モデルYの0.22はもちろん、セダンのモデル3の0.219よりも優れた数値だ。空気抵抗が少ないほどエネルギー消費量は減り、航続距離は延びる。テスラ社ではバッテリー総電力量や駆動用モーターのパワースペックは公表していないのだが、一充電あたりの航続可能距離は、モデルYはグレードによって547〜682kmだが、モデルY Lでは788kmと大幅に延びている。

 インテリアは、16インチのタッチスクリーンが備わるシンプルなインパネまわりはモデルYと共通だが、シートは全席とも再設計されが。2列目はセパレートタイプのキャプテンシートで、2列目の間をウオークスルーして乗り込む3列目はベンチタイプの2人掛け。シートは全席とも電動アジャストで、2列目はアームレストも電動で昇降する。1/2列目はヒーター&ベンチレーション付きで、2/3列目は荷室側から電動で折りたたむこともできる。

ラゲッジルーム容量はフランク(フロントのトランク)の117Lを含んで最大2539Lと、クラス最大級の広さだ。6人フル乗車時でも、リアに28インチ+20インチのスーツケースを、フロントには20インチのスーツケースなどを積むことができる。

極めて静かで快適。しかも、その気になればスゴく速い!

 テスラ車には、最初のモデルのロードスターからほとんどのモデルに試乗してきたが、モデルが新しくなるごとに「未来のクルマ」的なイメージが強くなってきた。全車がバッテリー電気自動車であることはもちろん、クルマに乗り込んで動かすまでも、いままでの「ふつうの」クルマとは違うからだ。

 まずクルマに近づき、カードキーでBピラーにタッチすればロックが解除される。シートに座り、センターコンソールにカードキーを置き、ブレーキペダルを踏めばシステムは立ち上がる。インパネ中央には前述のように16インチのタッチスクリーンが備わり、ステアリングホイールの左右スポークに物理スイッチ、そしてウインカー用のレバー(これもモデルYの初期型にはなかった!)があるくらいで、いわゆる「メーター」のようなものはない。

 ATセレクターもない! タッチスクリーンをよく見ると、右上に「PRND」の小さな表示がある。これを上にスワイプすれば「D」に、下にスワイプすれば「R」に、間をタップすれば「P」に入る。まさにスマホ感覚だ。というわけで、Dにスワイプして走り出す。

 今回は市街地のみの走行だったのでハンドリングうんぬんに関してのコメントは控えるが、その走りっぷりはテスラらしい、いかにも電気自動車といった感じ。つまり、極めて静かで快適、しかも速い。ラージサイズのミニバン的なスタイルで2トンを超える車両重量ながら、前の空いた道でフル加速を試みると信じられないような力強い加速を見せる。

 前述のようにテスラ社ではモーターのパワースペックなどは公表していないが、モデルY Lでは前後に2モーターを搭載した4WDで、0→100km/h加速は5.0秒と公表されている。この数値はハッタリではなさそうだ。なお、加速や減速(回生ブレーキ)のレベルは、タッチスクリーンで調整することができる。

どの席に座っても快適。これぞ「ポスト ミニバン」か?

 運転を代わってもらって2列目や3列目にも座ってみたが、どの席でも乗り心地は良い。これにはリアタイヤのサイズアップや電子制御ダンパーの採用が功を奏しているようだ。とくに2列目には電動昇降アームレストやベンチレーション&ヒーターも備わるから、ここがこのクルマの特等席となるだろう。3列目も、おとなでも十分なヘッド&フットスペースがあり、思ったより快適。しかも走行中に運転席と3列目でふつうに会話できるほど静粛性は高い。

 オートパイロット機能を活用すれば、高速クルージングはきわめて快適だろう。1/2列目サイドカーテンエアバッグと連動して全席を保護する3列目エアバッグ、空冷式ワイヤレス充電、全席USBポート、18スピーカー+1サブウーファーのオーディオシステムなど、安全&快適装備も高いレベルで充実している。そして近い将来には、自動運転機能の実装も目指している。

 ハザードスイッチはフロントウインドーの上、灯火類やエアコン、ドアミラーなど、ほとんどの機能の調整は、ディスプレイにタッチして行うなど、インターフェースは独特だから他のクルマから乗り換えると違和感は大きい。それでも、このクルマだけに乗っていれば慣れてしまうから問題はないだろう。

 ポスト ミニバンとしても最適なモデルY Lだが、テスラにはミニバンというセグメントはなく、このクルマは「究極のファミリーカーを目指した」という。ありきたりな6人乗りSUVではなく、広い室内空間と高い汎用性、そして利便性と安全性を備えた、妥協のない、家族旅行などに最適なテスラ車が、このモデルY Lなのだそうだ。

 車両価格は日本のラージサイズ ミニバンの上級グレード並みだが、国からのクリーンエネルギー自動車導入促進補助金が127万円あり、居住地によっては自治体からの補助金も併用できる。「究極のファミリーカー」を目指したモデルY L、その存在が気になる人も多いのではないだろうか。
報告:篠原 政明/写真:上野 和秀、ほか

■ テスラ モデルY L 主要諸元

●全長×全幅×全高:4980×1920×1670mm
●ホイールベース:3040mm
●車両重量:2090kg
●モーター:交流同期電動機×2
●最高出力:未発表
●最大トルク:未発表
●バッテリー総電力量:97.25kWh
●WLTCモード航続距離:788km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前255/45R19、後275/45R19
●車両価格(税込):749万円

最終更新:2026/07/05

 

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