ダンロップの新スタッドレスタイヤ「アイス プロ」を北海道の雪道で試す

テストコースでアイス プロを履いたゴルフに試乗。氷上性能に特化したとはいえ、雪上性能は従来品に優るとも劣らない。

氷上路面での発進では従来品より食いつきが良くなった。氷上ブレーキングでの停止距離も、しっかり縮まっていた。

公道でも試乗してみたが、アイス プロの雪上性能に不満はなく、さまざまな路面でしっかりグリップしてくれた。


氷上性能に特化した、ダンロップの降雪エリア用スタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイス プロ」。

アイス プロのサイズは、145/80R13から255/45R22まで計99サイズと幅広い展開。ほとんどのクルマに対応する。

シンクロウェザー装着車も公道で試乗してみた。雪上性能はスタッドレスタイヤとほぼ変わらないのを再認識した。


※画像クリックで拡大表示します。

 2026年7月、ダンロップ(社名は住友ゴム工業)がスタッドレスタイヤ「ウインターマックス」の新シリーズ「アイス プロ」を発表(発売は同年8月から)。これに先がけて、同年2月に北海道のテストコースと一般公道で試乗会が開催されたので、その印象を報告しておきたい。

氷上性能に特化したスタッドレスタイヤ

 年に数回しか雪が降らない準降雪・非降雪エリアでもスタッドレスタイヤの販売需要は高まってきたことから、ダンロップでは2024年に次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」を発表。雪道はもちろん、ドライやウエット路面でも十分なパフォーマンスを発揮して好評価を得た。

 ならば、準降雪・非降雪エリアはシンクロウェザーにまかせ、降雪エリアのために進化させたスタッドレスタイヤを、として生まれたのが今回の「ウインターマックス アイス プロ(以下、アイス プロ)」だ。

 これまでのウインターマックスでは、氷上/雪上/ノイズ/ドライ/ウエット/ライフといった性能をまんべんなく向上させてきた。だが、アイス プロでは降雪エリア用に氷上性能を特化させ、これと相反するライフ/ウエット/ドライ性能をおさえた氷上性能に注力した「氷に振り切ったスタッドレスタイヤ」とした。

 まず、低温でゴムの柔軟性を持続させる「低温ふんばり剤」を配合した「ふんばり吸水ゴム」を採用し、ゴムがしなやかに変形し続けて密着を高める作用を生み出した。それにより大きな力が加わっても密着状態を持続することが可能になった。

 このゴムの性能を最大化するため、接地面積を増大させる「新開発プロファイル」と、サイプ量を大幅に増やして除水・エッジ効果を高めた「新開発トレッドパターン」も採用している。

 さらに、タイヤ内部のオイル抜けを抑えてゴムの硬化を抑制する「うるおいポリマー」を従来品から増量して配合。これにより柔らかさが維持され、新品時だけでなく4年が経過しても氷上での効きが持続し、過酷な冬道での長い安心感を提供する。

 これらにより、従来品のウインターマックス03より氷上ブレーキ性能は25%、氷上コーナリング性能も9%アップしているという。

実際に乗れば分かる、氷上性能のアップ

 北海道旭川市の郊外にある、ダンロップのテストコース内で、まずは従来品の「ウインターマックス03(以下、03)」との比較テストを行った。試乗車種は、現行型ゴルフ。タイヤサイズは205/55R16。真冬の北海道ではあったが天気が良く、外気温も摂氏0度近くあり、氷上テストにはツラい条件だ。

 まずは氷上路面を発進。とはいえタイヤが空転してなかなか動き出さない。なんとか30km/hまで加速して、指定ポイントでフルブレーキング。もちろんABSが作動するも空走し、停止までには20mほどの距離を要した。次に15〜20km/hで氷上パイロンスラロームを行うが、前述のように高めの気温で氷上には水膜ができており、グリップ感は弱い。氷上路面から雪上路面に映ると、コーナリング、パイロンスラローム、下り勾配のタイトターンなど、さまざまなシチュエーションでグリップはしっかりしており、問題なく走ることができた。

 続いて、アイスプロを履いたテスト車(車種は同じゴルフ、タイヤサイズも同じ)で同様のテストを行う。まず、氷上路面からの発進時でもグリップが良く空転が少ない。30km/hまで加速してフルブレーキングすると、ABSが作動しながらも空走するが、03よりは食いつきが良く15mほどで停止した。氷上パイロンスラロームでも15km/hくらいならグリップしてくれるようだ。雪上路面でのパフォーマンスは、03と変わらない。むしろ、雪上でのブレーキング性能はアイス プロのほうが上と思われる。

 さらに、ボルボ XC60で公道走行も試してみた。タイヤサイズは、235/60R18。真冬の北海道の公道は路面が露出しているところは皆無で、場所によってはけっこう踏み固められているが、今回は新雪の路面や多少のアップダウンなども試せた。公道での試乗は03と比較できなかったが、アイス プロの雪上性能に不満はなく、さまざまな路面でしっかりグリップしてくれた。

シンクロウェザーの雪上性能も侮りがたい

 今回、公道走行ではシンクロウェザーを履いたテスト車にも試乗できた。アイス プロと比べると、若干トラクションが抜けたような状況を感じることもあったが、グリップレベルに不満はない。雪上性能はスタッドレスタイヤとほぼ変わらないことを再認識した。そして、ウエット性能やドライ性能などはスタッドレスタイヤよりシンクロウェザーのほうが優れていることは、いままでのテストで確認している。

 都市圏に住んでいて、年に1〜2回ウインターレジャーを楽しむこともある人はもちろん、基本は市街地ユースだが何年かに1度の積雪時でもクルマに乗ることがあるという人なら、スタッドレスタイヤを買って冬場に履き替えるより、シンクロウェザーを1年中履いているほうが良いだろう。外したタイヤの保管場所を気にしないで済むというメリットもある。

 ダンロップでは、アイス プロのターゲット像の居住エリアは降雪エリアに絞っている。たとえば、北海道在住の4人家族で、通勤や送迎で毎日氷上路面を走行する人たち。ドライバーは、氷上路面でしっかり止まり、しっかり曲がるアイス プロなら、運転にも心理的な余裕が生まれ、安心感も高まり、事故防止にもつながることになる。

 もっとも、氷上性能に特化した降雪エリア用スタッドレスタイヤとは謳っているが、準降雪・非降雪エリアに住んでいても降雪エリアに頻繁に出かける人などのために、アイス プロは全国展開で販売される。また、従来品のウインターマックス03も当面は併売される。

 サイズは、145/80R13から255/45R22まで計99サイズと幅広い展開。なお、価格は現段階では発表されていないが、オープンプライスになるものと思われる。
(報告:篠原 政明/写真:住友ゴム工業、ほか)

最終更新:2026/07/05

 

一覧に戻る