フォルクスワーゲン・ポロ

“ビッグ”マイナーチェンジの面目躍如 新型フォルクスワーゲン・ポロに乗る



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もともと素性の良さは分かっていた。小兵なりとは言え、そこはドイツ車。生来の生真面目な造りはもちろんだが、それに加えてTSI過給エンジンとDSGツインクラッチのギアボックスが奏でるアップテンポのクレッシェンドは時としてラテンのアパッショナートを想わせ、単なる実用スモールの域を超えていた。好評のスタイリングはそのままに、エンジンを一新し、ステアリングをフル電動化した新型もその整然とした佇まいとリズム感に富んだ印象は変わらない。

「MQB=コスト偏重」ではない
変わらないどころか、VWの新しいモジュラー開発/生産方式である“MQB”戦略に従って1.2ℓの同排気量ながら吸排気を逆転されたエンジンはより一層静かでスムーズになり、ステアリングはサラサラと気持ちの良い軽さを手に入れた。こうなると、MQBが単にコスト削減だけでなく主要コンポーネントを規格化してその他の部分を迅速に開発するというその主張が納得できるというものだ。
強いて言えば旧型で特徴的だったスロットルオフ時のレーシーな排気共鳴が聞かれなくなり、走り屋にはややスパイスが薄れたようで一抹の寂しさを覚えさせないでもないが、そもそも新シリーズ第一弾として登場したこの“TSIコンフォートライン”は若い女性も主要なターゲットユーザーとして想定する標準的なモデルなのだから、むしろそれは一個の乗用車として確実な進歩以外の何物でもない。185/60R15と今や慎ましい部類に属するタイアについても同じことが言える。洗練されたハンドリングに気を良くしてタイトベンドを攻め込むと前輪はそれなりのスキール音を発して限界の到来を告げるが、それでいいのだ。それ以上元気に愉しみたい向きにはいずれホットな“GTI”が送り込まれるはずだからである。

上級車並みの最新装備
と一通りの結論を得て帰る道すがら、そうだ、同じコンフォートラインでもこの“アップグレードパッケージ”には内外問わずクラス初となるアダプティブクルーズコントロール(ACC)が付いているんだっけと事前のレクチャーを思い出した。60分間の短い試乗セッションとあって、本来はその目的にあまり似つかわしくない場面なのを承知の上でACCをセットしてみる。すると、遅いバスの背後に従いたまま峠道のコーナーごとに自ら加減速を繰り返し、適切な車間を保って走るから安楽なことこの上ない。この種のデバイスに過度な依存は禁物だが、あればあったで便利なのも確かだ。そう思わせたのもまた、システムの熟成度が高く、ごくごく自然な動きに終止したからにほかならない。コンフォートラインは223.9万円、同アップグレードパッケージは249.5万円だが、前者にも6.48万円也を投じればパドルシフトとのセットオプションで装着可能なのは朗報だ。(report & photo=道田宣和)

<道田 宣和> 最終更新:2014/09/13