スズキ・アルト・ターボRS

派手だがイヤミのない外観。129万円は安いかも?

この足はコーナーでもよく粘る。ロールも余り多くはない。安心!

乗り心地はやや硬めだが、とくに不満はない。バランス良し。

ちょっと見にくいが、リアバンパー下部もルーフスポイラーも赤。


随所に赤を取り入れ、タコメーターも追加。十分にスポーティだ。

例によって最高出力は64馬力。低中速トルクはややアップ。

専用のポテンザRE050A。乗り心地と操縦性の両立をはかる。


※画像クリックで拡大表示します。

 ターボRSのボディカラーは赤、黒、白の三色。どのボディカラーのモデルにも、前後バンパー下部、ボディサイド、そしてミラーとルーフエンドスポイラーにレッドが使われている。ちょっと迷ったのち、ホワイトを選んだ。赤じゃノーマル・アルトとかぶるし、ブラックはいかにもという感じがし過ぎる。インテリアも同様に随所にレッドが配されている。シートの模様、エアアウトレットのまわり、メーター(RSはタコメーターが付いた)の一部、ステアリングのステッチなど。フツーのアルトに比べると派手だがイヤミは感じない。
 駆動方式は2WD(129万3840円)と4WD(140万5080円)、高価になりがちな最近のスポーティ軽自動車としては割安感さえ感じさせる。トランスミッションはAGS(オート・ギア・シフト)。一般的にはAMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)と呼ばれるシステムで、5速AT走行も、パドルシフトを使ってのMT走行もできる。免許はAT限定でOKだ。
 走りだしてまず感じるのはエンジン音が少々大きいこと。これは覚悟の上。問題はその音質だが、これは合格点。音は大きいがツブが揃っていて不快感はない。エンジン自体はよく回る。トルク(前モデルよりも0.3kgmアップ)感も圧倒的とは言えないまでも期待を裏切ることはないだろう。
 AGSもそう。一般的な加速時には問題はない。が、レッドの始まる7000回転までフルスロットルにすると、変速時に息継ぎが出る。これは快適とはいいがたい。このショックを防ぐためには、パドルシフトによるシフトチェンジ時にアクセルを戻し気味にしてやればいい。ダイレクト感の強いは走りが楽しめる。でもそれならいっそMT仕様も用意してくれればいいのにとスズキに技術者に問うと、「販売目標台数は月に500台ですから、コスト面でも……」という返事。まあ、企業だからね。ちなみにCVTにしなかったのは「スポーティモデルらしいダイレクト感を重視したから」とか。

大人になったターボ。ノーマルの良さも見直す

 乗り心地はフラット。しかもこの手のモデルとしては不快感が少ない。ハンドリングも同様だ。かなり正確でナチュラル。個人的にはもう少し重くてもいいと思ったが、実はここがターボRSのキモらしい。かつてのアルト・ターボはスポーティさを非常に強くアピールしていた。言ってみればボーイズレーサー的側面が強かった。このRSはもっと大人の方向を向いたターボだ。
 サスペンションのばね定数を変更し、ダンパーを調整、ストラットバーを追加し、タイヤも専用の165/55R15(ポテンザRE050A)を選んだ。十分にスポーティな出で立ちだが、しなやかさも確保している。アルトでは一部車種だけに標準装備されていたアイドリングストップ(停車時のみ)やレーダーブレーキ―サポートなども標準で付く。居住性と操縦性の両立と言えば、言ったとたんに陳腐になりがちだが、ベストとは言わないまでもRSの志の高さはうかがいしれる。もちろん、街乗りにも十分対応する。
 ところで、今回の試乗会でひとつ驚いたことがある。それは同じ山岳路で乗ったノーマル・アルトが予想以上に素晴らしかったことだ。RSに比べれば、ロールは多いし、コーナーでの限界も低い。でも、それが何だというのだ。こちらの方がある段階までは軽快で安心感が高い。ノーマル・アルトの610kg(RSは670kg)という超軽量と新サスペンションが効いているのかもしれない。ニュー・アルト、その実力は侮りがたし。

写真:佐久間 健

<神谷 龍彦> 最終更新:2015/03/30