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『女性の「好き」をカタチにした』というキャッチフレーズで登場した3代目アルト・ラパン。初代は2002年1月に誕生し、室内の広さに振らないややレトロな感じの個性的な箱型スタイルが話題になった。2008年11月に登場した2代目は「ラパン」という名前の由来であるウサギをキャラクター的に配し、女性向けを強調。そして、2015年6月に登場した3代目、徹底的に女性の好みを探ってカタチにしたところに感服した。
「とにかくデザインのこだわりを見てほしい」という技術者に、「クルマはデザインだけじゃないよね」とか、「女性、女性したクルマって人気がない」とか、内心ネガティブに思いつつ、試乗させていただいた。
「いやぁ〜、ごめんなさい!」なぜデザインばかり強調したのか、よーくわかりました。先に登場したアルトの技術があってこそのデザインだったんですね。アルト同様、R06A型エンジンを搭載して、エネチャージも採用。新プラットフォームを採用して、なんと120kgの減量を果たした結果、35.6km/ℓという低燃費も実現している。コーナリングでの気持ちいい踏ん張り感は、新プラットフォームに合わせて開発した新設計したサスペンションのたまもの。きびきびとした走行フィーリングは、「あら、いいんじゃない」と、納得した。それに、レーダーブレーキサポート(衝突軽減ブレーキ)、ESPなど、先進安全技術を全車に標準装備っていうのもいいところ。あれだけ、エクステリア&インテリアデザインのこだわりを強調する裏には、「クルマの基本がしっかりしているから、言わんでもわかるよね」って気持ちがあったんですね。
ところで、そのデザイン、外観は角丸の箱型フォルム。四角いカタチ、レトロな雰囲気、ほっとする感じ、シンプルな造形といった、ぬくもりのあるエクステリアを目指したという。たしかに個人的に嫌いじゃないカタチ。それにデザイン性だけでなく、ガラスエリアを広く取り、Aピラーを少し後ろにずらして、右左折時の視界も良好にしている。これ、もっとアピールした方がいいと思う。それに、美容の敵・日焼けと暑さを防ぐプレミアムUV&IRカットガラスは素直に喜べるところだ。また、ヘッドランプは、キラッと輝く指輪をイメージ。女性はヒカリモノ好きですからね。ここまでやったかと思ったのは、花びらモチーフのアルミホイールやホイールキャップ。「あら、可愛いんじゃないの」……と、次第にラパンの思惑にはまっていく感じがした。実用面でも、荷室の開口部地上高を680mmまで下げ、下部開口部幅が880mm、上部開口部幅も980mmと拡大されたので、大きく重いものを出し入れするのがラクになっている。
女性の女性による女性のためのスペシャルティ
好きな家具に囲まれているようなインテリアは、インパネにテーブル、フォトフレーム、置時計、そしてソファのようなシート。フォトフレームのようなモニターには、オプションだが、全方位モニター付メモリーナビゲーションもあり、運転に自信のない女性にもやさしいサポート機能が用意されている。
ところでこのテーブル仕様は、かなり昔、安全性確保のためにNGとなり、久しくお目にかからなかった気がするが、シートベルト着用が義務化され、エアバッグを装着されるようになった現在、安全性確保をさまざまな面から検討して、今回実現したという。ナチュラルな白木目調、ブラウン仕様があるが、個人的には白木目調が気に入った。BOXティッシュが入るサイズの引き出し式収納も、色々使えそうでいい。そのほか、キルティングイメージの天井も質感がよく、こだわりがわかる。そして、先代より進化したラパンキャラクターのアニメーションが現れる置時計のようなメーターパネル。イグニッションONからOFFまで、挨拶から車両状況まで、ラパンがお知らせしてくれる。ちなみに、キャラクター表示は、OFFできる。
グレードは、5AGTを搭載したGとCVT&エネチャージを搭載した中でエントリーモデルのL、ベーシックなS、上級モデルのXの4タイプ。ボディカラーは、ソフトなニュアンスの全12色。車体色によってモールカラーはネイビーとブラウンがあり、XとSの指定色ではホワイト2トーンルーフもあり、モール色とあわせて3トーンのカラーコーディネートもできる。ボディカラーとシートカラーの組み合わせは、なんと44通り。価格帯は、107万7840円〜149万2560円。「これは大いにあり!」ではないかな。
PHOTO:佐久間 健