BMW 2シリーズ グランツアラー

そうきたか、グラン ツアラー ひとりで(も)乗りたい7人乗り

道田 宣和

「グラン」は「アクティブ」 より215mm長く95mm高い。 立体駐車場には入らないが、 代わりに得るものも多い。

鼻先に収まった横置きユニッ ト。ローギアードだが、8AT と組み合わされ、ステップア ップ感は自然。330Nm。

2列目は40:20:40の分割式。 3列目は完全フラットになり、 5シーターワゴンとしての使 い勝手も良さそう。



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 プロペラマークと3つのアルファベットでファミリー派の日本車ユーザーを惹き付けているBMW初の前輪駆動車、2シリーズ“アクティブ ツアラー”。マルチ・パーパス・ヴィークルながら取り敢え ず2列シート/5人乗りでスタートした“ツアラー”に、発売半年にして3列シート/7人乗りの“グラン ツアラー”がさらなるブースト役を買って出た……どころか、早くも主従 逆転の形勢である。

ワインディングロードで精彩を放つ異色のMPV

 鬱陶しい梅雨空の下、御殿場の先までノコノコと出掛けた割には正直言って大した期待もしていなかった“グラン”の試乗会だが、人には接してみよ、クルマには乗ってみよの言葉どおり、それが謂われなき誤解だったことはクルマを借り受けて一歩会場を後にした瞬間から思い知らされた。試乗車はガソリン1.5ℓ直3ターボ、同2ℓ直4ターボ、ディーゼル2ℓ直4ターボと3種用意されるうちの後者で、グレードはBMW得意の“M Sport”。主催者の思惑どおりBMWらしい「駆け抜ける歓び」を見せつけるにはベストの組み合わせだったのだろう、FWD処女作にしてはまずまずの仕上がりながら特段の印象も受けなかった“アクティブ”とは見違えるような躍動感と走りの高質さに満ちていた。
 新設計ディーゼルはアイドリングでこそカラカラとそれらしい音を立てるが、一旦回り始めると4700rpmで自動的にシフトアップされるまで終始一貫、これが本当にディーゼルかと舌を巻かされるような鋭いレスポンスとデッドスムーズなマナーで一気に回り切る。モリモリと沸き上がる力はトルキーそのものだ。ステアリングはFWDらしく直進附近でのみ若干キャスターアクションの強さを感じさせるものの、操舵の過程はどこか有機的な「湿り気」を感じさせる“BMWステアリング”そのもので、それこそ油を引いたように滑らかでインフォメーションに富んでいる。

明らかな、ロング・ホイール・ベースの効用

 このグラン、7人乗りとするため+110mmのロング・ホイール・ベース仕様とした。同時に全高も+95mmの1645mmとなってセカンドシートの居住スペースをさらに大きく拡げてみせたのだが、実はこれが乗り心地にも単なる副産物に留まらない効果を発揮。穏やかにしなやかに、しかも路面の起伏を長い周期に変えてみせるその大人びた挙動にはあのハイドロニューマチック・シトロエンを彷彿させるものがあると言ったら誉め過ぎか?
 惜しむらくは日本車に比べてプライスタグがやや高価なこと。グラン ツアラーはガソリン1.5ℓ“218iグランツアラー”の358万円からガソリン2ℓ“220iグラン ツアラーM Sport”の452万円まで。試乗車は標準状態 で426万円だった。なお、“アクティブ”にも5月になって同じユニットを載せた“218d”ディーゼルが追加された。

<レポート & 写真=道田宣和>

<道田 宣和> 最終更新:2015/07/09