テスラ モデルS P85D

異次元の加速。驚異的な走行距離。“自動運転”も認可。

神谷 龍彦

スタート時から信じられないほどの加速を見せた。0-100㎞/h加速3.3秒。3.0秒版もある。

前後にモーターを持つ4輪駆動車。トランクはもちろん、ボンネットの中にも一応何もない。

インパネ中央の17インチ大スクリーン。自動運転などのソフトは後からダウンロードできる。



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 電気自動車(EV)テスラがこの試乗会に参加するのは今年で2回目だ。昨年も試乗を希望したが抽選で落ちた。が、捨てる神あれば拾う神あり、今年は乗れた。
 試乗車のモデルS「P85D」は5人乗りのビッグセダンである。全長×全幅は4970×1950㎜もある。数値上もデカイが見た目もデカイ。前後にモーターを持つ4WD。トルクは997Nm!0-100㎞/h加速は3.3秒!それでいて最大航続距離は491㎞もある!意に反して“!”マークを続けてしまった。
 まず疑問に思ったのは、なぜこんなに長距離を走れるのかということ。その答えは簡単だった。バッテリーが大きいのだ。テスラの85kWhは日産リーフの約3倍。
 でもいいことばかりではない。価格は1369万円もする。頭のどこかにEV=シティコミューターという思いがある身にはびっくりポンである。しかし、実際にドライブしてみると、その素朴な違和感は強烈な加速とともに雲散霧消する。ゼロ・ヒャク3.3秒は確かに凄い数値だ。でも、同程度の速さを誇るクルマは世の中にないわけじゃない。
 何が違うのか? それは初期加速だ。モーターだから最初からもの凄いスピードに襲われる。大げさに言えば、アクセルを踏んだ途端に最高速域に投げこまれるような──いわゆるスーパーカーのように“徐々に”ではなく、突然なのだ。大磯付近の西湘バイパスで試せることは限られているが、その加速にはただただ脱帽するしかない。たしかにセダンとしては世界最速だろう。
 ダッシュボードのセンターには17インチのタッチスクリーン。ほとんどの操作はここで行う。ボンネットを開けるのにもここを使う。未来的すぎて、情報が多すぎて、少々戸惑う。
 テスラの新しいのは、インターネットを経由して新機能をダウンロードして入手できることだ。その最新版がソフトウエア7.0だ。これは自動運転補助機能が中心。100%EVは自動運転化でも有利だ。カメラ、レーダー、超音波、GPSを使って周囲の状況を360度把握する。自動運転のポイントは三つある。まず「オートパイロット」。これは高速道路や自動車専用道路で自動運転を可能にするシステム。次に「オートレーンチェンジ」。ウインカーを出すと車線を変える。ただ、試乗車の車線変更はやや荒っぽかった。最後に「オートパーク」。縦列駐車や車庫入れができる。
 これらの機能は必ずしもテスラだけのものではない。テスラモーターズの創業は2003年、シリコンバレーの数人のエンジンニアから始まったと言う。最初に走りありきの自動車メーカーとは出自が違う。最終的に目指すところは同じでもアプローチが異なる。自動車だけでなく世界のメーカーが自動運転の開発に取り組むなか、テスラが大きな一石を投じたのは間違いない。この勝負の行方、気になる。

http://www.npo-rjc.jp/forum/detail.php?No=47
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写真:佐久間 健

<神谷 龍彦> 最終更新:2016/02/21